MBS 毎日放送

ミント! ミント!

放送終了放送終了

特集記事

【特集】「無理だと答える絶望的な日もある」重症患者を受け入れる"コロナ専用病棟や救命救急センター"からの訴え

2021年02月05日(金)放送

SHARE
Twitter
Facebook
はてなブログ
LINE

コロナ禍で厳しい状況に身を置く医療現場。一刻を争う事態と常に向き合う現場で今何が起きているのか…患者と向き合う最前線にカメラが入りました。

「通常医療はある程度犠牲にしてコロナ患者に特化」

今年1月22日、神戸市は“ある決断”を下しました。

(神戸市健康局 花田裕之局長 1月22日)
「通常医療はある程度犠牲にしてコロナ患者の方に特化せざるをえない状況になった。助かる命を何とか助けるために、どうしても何かを犠牲にしてでも難局を乗り越えていくと。」

この日、神戸市でのコロナ病床使用率は98%と、全国的にも極めてひっ迫した事態に陥っていて、市内3つの公立病院で一般の入院や手術を最大4割制限することを決めたのです。

ベッドには“複数のコードが繋がれた”患者

神戸市の中核病院である神戸市立医療センター中央市民病院は、去年11月に第3波の感染拡大に備えてプレハブの「コロナ専用病棟」を建設しました。全36病床で重症患者を受け入れる準備を整えていました。現場では今、何が起きているのでしょうか。
7.jpg
1月28日、病棟内の取材が許されました。病棟内に入ると、すぐに患者が入院している病室が見えました。病室は“レッドゾーン”内にあります。
8.jpg
(記者)「病室の前でパソコンを操作している人は何をしている?」
(職員)「パソコンを打っているのは看護師さんなので、看護記録をいろいろつけているんだと思います。」
10.jpg
ベッドの上に横たわる高齢の男性も確認できました。人工呼吸器が取り付けられていて、体には複数のコードが繋がれ、厳しい状況であることがわかります。
12.jpg
通路をさらに進むとナースステーションがあります。コロナ専用病棟は重症患者専用になっていて、A病棟とB病棟に分かれています。症状が最も重い患者が入るのがA病棟(14床)です。
14.jpg
  (職員)「Aは満床やんね?」
(別の職員)「はい。」
  (記者)「高齢の方が多い印象ですね。」
  (職員)「そうですね。この人は完全に挿管されている。基本的にはこういう人は全く動けない。」
17.jpg
防護服を着た看護師が患者に付きっきりで治療にあたっています。中には時折体を震わせる患者もいました。患者が急変しないか、ナースステーションでは全患者の状況がモニタリングされています。
19.jpg
そしてレッドゾーン内の看護師とのやり取りは窓越しです。病室側は陰圧されているため窓を開けて行います。厳しい環境で働く医師や看護師たち。時間は午後7時を過ぎています。

(職員)「本当にずっと付きっ切りとまではいかないですけど、ちょっと動かしたり患者さんの様子を1個1個見ていかないといけない。」
21.jpg
ナースステーションから病棟内へは、着衣所で防護服や専用のマスクを装着してから、中へと入っていきます。逆に、戻ってくる時は必ず2人でと決まっていて、脱衣所では汚染された部分を触らないように2人がかりで脱衣を行っていました。

病床が空いてもすぐに埋まる 取材中にも搬送されて来る患者

もちろん現場は24時間体制。最も重い症状の患者が入院するA病棟では常に患者が入れ替わります。

(神戸市立医療センター中央市民病院 阿部祐也総務係長)
「本日、A病棟の病床から2人がB病棟に転入して、B病棟の病床から4人転出・退院しています。(Q結構出入りが激しい?)そうですね、かなり動いているほうだと思います。ひっきりなしに依頼がきて、それを受けるか受けないか判断して、急変した場合はまた重症病床に入ったりします。」
29.jpg
この日、A病棟の2人がB病棟へ移り、2床の空きがでました。しかし…。

(記者リポート)
「まもなく新たに患者が運ばれてくるということで、部屋で準備が進んでいます。」

慌ただしくなる病棟内。午後7時半すぎ、救急車が専用病棟の前に到着。市内の高齢者施設から重症患者が搬送されてきました。すぐに患者が陰圧室へ運ばれます。
32.jpg
【患者に声をかける救急隊員や看護師】
「病院着きましたよ。」
「動くよごめんね。」
「どこが痛いですか?」
「点滴刺したりしますよ。」
「ちょっと手チクリしますね。」

高齢のコロナ患者で、施設で療養していましたが、病状が急変したため緊急搬送されてきました。

【診療の様子】
「ちょっとだけお腹見せてください。痛いこと何もないんで。」

(記者リポート)
「午後8時、放射線技師がCTの撮影を始めました。」

コロナ優先で一般診療に影響

一刻を争う事態と常に向き合うコロナ専用病棟。働くスタッフは、本来は集中治療室などを担当してきた医師や看護師です。コロナ患者を優先する一方で、どうしても一般診療には影響が出てしまいます。

(神戸市立医療センター中央市民病院 小林謙作総務課長)
「緊急性はちょっと低い、直接今やらないと命にかかわるという状況ではない、というようないわゆる予定手術と呼ばれているようなもの。こういったものは2~3割削減をする。病院全体で2割くらいの機能を縮小して専用病棟のパワーをねん出している状況が続いています。首の皮1枚で何とか繋がっている状況だと言えます。」

「かかりつけの患者」を診られないケースも

1月29日、神戸大学医学部附属病院の救命救急センターにカメラが入りました。『感染症指定病院』ではありませんが、去年末から重症のコロナ患者を受け入れています。

(神戸大学医学部附属病院・救命救急センター 小谷穣治センター長)
「ここはたった1つしかない陰圧室。今はコロナ疑いの患者さんをここで診るしかない。」
48.jpg
交通事故で運ばれてきた救急患者でも、発熱などの症状があれば、コロナ疑いの患者として陰圧室で処置されます。

(神戸大学医学部附属病院・救命救急センター 小谷穣治センター長)
「1日のうち7~8割くらいの時間は患者さんが陰圧室に入っているんじゃないかと思う。」
50.jpg
陰圧室はわずか1室。時にシビアな決断を強いられるといいます。

(神戸大学医学部附属病院・救命救急センター 小谷穣治センター長)
「患者さんが陰圧室に入った瞬間に、うちでかかりつけの患者さんの状態が悪くなり40℃発熱しているという依頼があった。『無理だ』っていうふうにお答えしましたね。絶望的な日もありますね。一晩中申し訳ない気持ちでいっぱいになる。受け入れられないですからね。」
52.jpg
助けたい患者を救えない。極限の精神状態の中、苦渋の選択を強いられています。感染者が減らない限り、事態はさらに深刻化します。そんな現場からの訴えとは。

(神戸大学医学部附属病院・救命救急センター 小谷穣治センター長)
「言葉は悪いですが、どの患者さんを優先して助けるかと、いわゆるトリアージっていいますが、これをやらないといけないということはこれは災害なんです。今までのようにケガしたらどこかに行って助けてもらえるということはできない時もあるかもしれない。自粛生活は大変だと思います。もう少し我慢して頑張ってほしいなと思います。」

最近の記事

バックナンバー