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【特集】コロナ禍での"家賃支援"でも不正受給が起きている?疑惑の人物を記者が直撃 書類を偽造か

2021年01月21日(木)放送

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新型コロナウイルスの影響で収入が激減した事業者などを支援する「持続化給付金」で不正受給が相次いでいるが、事務所などの家賃を支援する「家賃支援給付金」でも不正が横行していることがわかった。その手口とは…取材班は疑惑の男を取材した。

“家賃を一度も払ったことがない入居者”が家賃支援給付金を不正受給?

去年12月、1通のメールが取材班に寄せられた。それは、ある不正疑惑を告発する内容だった。

『営業許可していない会社名で給付金支払い通知ハガキが届きました。…これは詐欺ではないのでしょうか?』

新型コロナウイルスで売り上げが激減した事業者などへ給付される「家賃支援給付金」を不正受給しているという疑惑だ。
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メールをくれたのはマンション管理会社「SAKURA管理」の社長・佐藤太一さん。去年12月17日、取材班は直接話を聞聞いた。

(SAKURA管理 佐藤太一社長)
「ある方に家賃給付金が振り込まれましたというはがきが来たんですけれども、家賃を一度も払ったことがなく、現時点でも滞納されている方で、家賃を払ったことがない人に対して給付金が振り込まれたと。」

佐藤社長によると、入居してから家賃の滞納が続いている住民A氏に対して『家賃支援給付金を給付した』とする通知が国から届いたというのだ。

売り上げ減少の事業者などへ支援「家賃支援給付金」

家賃支援給付金とは、新型コロナウイルスの影響で一定以上売り上げが減少した事業者などへの支援として家賃の一部を補助する制度だ。申請は、売り上げが減ったことを示す確定申告書や3か月間の家賃支払い証明などを添付して国にオンラインで申請する。例えば、法人事業者で事務所の家賃が75万円以下だと、1か月分の家賃の3分の2を6か月分受け取ることができる。

A氏は「住居用」として部屋を借りる

住民A氏の家賃は15万円。総額で60万円の給付を受け取ったとみられている。

(SAKURA管理 佐藤太一社長)
「そもそもA氏が住んでいたマンションは“事務所として使用できない”というのが契約書の規定の中にもあります。使用する場合は、もちろん申請していただければ大丈夫なんですが、そういった申請も一切されていないという状況です。入居の際は婚約者と呼ばれる方とそのお子さんと住むという前提だったんですけれど。」
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A氏は個人の住居用として部屋を借りていて、給付の対象となる事務所としての使用を届け出ていない。さらに家賃を滞納している場合には給付金を申請する際に『支払いを免除している』などとする家主の署名が必要になる。

(SAKURA管理 佐藤太一社長)
「他の方に関しては皆さんいろいろな書類を送ってこられて、家主さん貸主さんの自筆の証明をくれということで、当社の方にメール・郵送・電話をされてこられた。他の方に関しては特に不審に思う点はなかったんですけれども、A氏に関してはそういった書類も一切書いていない。」

そもそもA氏は支給対象の事業者ではなく、さらに申請書類を偽造した可能性が高い。管理会社ではこれまで何度もA氏に確認しようと電話をかけているが、電話は全くつながらないという。
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新型コロナウイルスの救済支援をめぐっては、簡素化された手続きを利用して、事業者ではない学生らが「持続化給付金」を不正受給していたことが問題となっている。そして家賃支援給付金でも去年12月に初めて逮捕者が出た。約170万円を不正受給したとされているが、給付後に国から管理会社に送られる通知書で事件が発覚したという。

A氏“知人が書類を作成して給付金を申請”

去年12月18日、マンション管理会社のもとにA氏から電話があったという。その時の音声が残っている。

【佐藤社長とA氏の通話の音声 2020年12月18日】
(社長)「うちの申し込み、今年の6月に申し込みしている時に正社員と書いてあったが?」
(A氏)「社会保険に入れなくて、○○社で社会保険をかけてもらっていたので、表向きは○○社の社員になっているはず。そこを独立して個人で○○社から仕事もらっていたって感じなんで。」

管理会社側に申告していなかったが、個人で事業を行っていたと話すA氏。架空の申請書を提出していたのか。

【佐藤社長とA氏の通話の音声 2020年12月18日】
(社長)「書類に絶対家主さんの自筆サインがいるんですよ、自署の。うち書いてないじゃないですか。代理人か誰か頼んだんですよね?」
(A氏)「知り合い関係の。今行っている会社の弁護士みたいな。」
(社長)「そこが筆跡が違ったりするとまずいかなと思うんですけどね。申請した書類はA氏は持っているんですか?」
(A氏)「書いた書類とかもらっていないのでわからないですね。」

A氏は『知人が書類を作成して給付金を申請した』と話した。
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持続化給付金と同じように、家賃支援給付金も手続きの簡素化が不正につながっている可能性がある。

(なにわ総合法律事務所 吉岡康博弁護士)
「できるだけ不正を防ぐという観点からすると、家主に通知をして一定期間経過後に振り込みをするというのが有効かと思います。事前に申請の際にきちんとペナルティについて告知をするということが重要になってくるかと思いますね。お金もだまして受け取っているわけですから、詐欺罪も当然該当します。」

部屋を退居することになったA氏 給付金の疑惑を記者が問う

去年12月31日。家賃滞納が続くA氏は話し合いの上、部屋を退去することを決めた。管理会社の佐藤社長は退去手続きのため部屋の中へと入っていった。

(社長)「滞納金額が結構な金額になるんですよ。払える額で払ってもらえるんだったらうちは別に何年かかっても大丈夫なんで、払っていただきたいんですけど、それは2万円というかたちで大丈夫ですか?」
(A氏)「月に2万円くらいなら全然いけると。」
(社長)「家賃結構高いじゃないですか?」
(A氏)「元々は結婚して住むということだったが、いろいろお金とかでもめていて、一緒に住まないということになって。」
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A氏は一体どのように申請を行ったのか…取材班がA氏を直撃した。

(記者)「家賃支援給付金を受け取られていますよね?」
(A氏)「はい?」
(記者)「家賃支援給付金を受け取られていますか?」
(A氏)「いや…」
(記者)「A氏に支払いがされているという通知が来ているが、A氏で間違いないですよね?」
(A氏)「違いますよ。」
(記者)「お名前をお伺いしてもいいですか?」
(A氏)「ハヤシです。」
(記者)「持たれている紙にA氏と書かれていますが?」
(A氏)「え?」
(記者)「A氏ですよね?」
(A氏)「ハヤシですよ。」
(記者)「ハヤシさんですか?」
(A氏)「はい。」
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(記者)「申請はどのようにされた?」
(A氏)「急いでいるので帰ってもいいですか?」
(記者)「資格がないのに給付金を受け取っていると詐欺にあたると思うんですけど?」
(A氏)「なんですか?」
(記者)「受け取っていたら詐欺にあたるという自覚はありますか?」
(A氏)「詐欺?詐欺はしていないのでわからないですけど。」

A氏は取材に全く応じようとはしなかった。しかしその後、ハヤシと名乗っていたA氏から電話があり、次のように話した。

(A氏)
「手続きは知人に任せていたので不正があったかはわからない。取材を受けて疑われるのが嫌なので給付金の返還手続きをしている。」

家賃支援給付金をめぐっては、摘発されたケースが数件ほどしかなく、こうして不正が発覚しているのは氷山の一角にすぎないとみられている。

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