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【特集】大行列の名店と"そっくり"の『天ぷら店』看板も"貝殻を床に捨てる"のも似ているが「違う」 経営者男性を直撃

2021年01月19日(火)放送

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大阪府堺市のある天ぷら店では、深夜0時からのオープンにもかかわらず、その味を求めて行列が絶えません。40年近く守られてきた創業者の味。ところが2020年夏ごろ、北新地で同じ名前の店がオープンし、本家との間でトラブルになっています。

大阪・堺で人気の天ぷら店が北新地に…?「お店は堺と難波と梅田だけ」

緊急事態宣言が出される前の1月8日、気温が氷点下に迫る午後11時半すぎにもかかわらず、堺市堺区の魚市場では行列ができていました。その行列の先にあるのが、天ぷらの人気店「天ぷら大吉・堺本店」です。
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新鮮な魚介と野菜の天ぷらが23品豪快に盛られた『大吉盛り』(税込み3300円)。元々、漁港の仲買人相手に営業していた名残で、今も深夜0時からオープンする店として知られています。

(お客)
「背徳感がいいですよね。12時から天ぷら食べるっていう。」
「くせになってしまいますね。」
「友達が行っているのをSNSとかで見て来ました。」
「めちゃめちゃ有名ですね。」

そして、天ぷら大吉の名物が、あさりがたっぷり入ったおみそ汁。貝殻をそのまま床に捨てるのがこの店ならではのスタイルです。
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(天ぷら大吉・堺本店 津本繁徳社長)
「もう昔からずっと母親の代から同じスタイルで、あさりのみそ汁を飲んだら殻を下に捨てる形のスタイルをずっと一緒にやっている。」

約40年前に母親の千鶴子さんが自宅のガレージで店を始め、今は長男の繁徳さんがその伝統を守っています。そんな中、2020年夏ごろ、突然こんな話が飛び込んできたといいます。

(天ぷら大吉・堺本店 津本繁徳社長)
「友達から『北新地にお店出したんやな?花でも贈ろうか』と言われたけど、『あれうちのお店じゃない』と言うたんですけど、相手も友達もびっくりしていて。お店はうちのところは、堺と難波と梅田だけなんでね。」

大阪の北新地に「天ぷら大吉」という同じ名前の店がオープンしているというのです。

“そっくり”な北新地の店 堺の店に問い合わせ相次ぐ

一体、どういうことなのか?取材班が北新地を訪れてみると…。

(記者リポート)
「店は閉まっていますが、よく見ると、堺のお店にそっくりです。」

2020年9月、北新地にオープンしたという「大阪天ぷら大吉北新地」。
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店のSNSには、天ぷらやあさりのみそ汁などが掲載されていて、堺の店には問い合わせが相次いだといいます。

Q間違えられることもある?
(天ぷら大吉・堺本店 津本繁徳社長)「いっぱいありますね。ご来店のお客さんとか電話かかってくるお客さんとか。あと友人から。ひっきりなしに電話があります。名前もそうやし、“あさりも下に捨てる”という形も一緒なんでね。」

看板まで“ほぼ同じ”「絶対にやめてほしい」

同じなのは屋号やメニューだけではありません。本家の「天ぷら大吉」は、梅田や難波に系列店がありますが、弟の津本啓之さんが経営する難波店の“大切なモノ”が盗まれたというのです。

(天ぷら大吉・難波店 津本啓之代表)
「全く一緒ですよね。ロゴも全て一緒なので正直言ってびっくりしています。看板だけで“大吉さんや”と行ったお客さんもいると僕も聞いているので。味も保証できないので、こういうお店ができることは不愉快なんです。」
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「天ぷら大吉・難波店」と「大阪天ぷら大吉北新地」の看板を比較すると、“大阪”と“北新地”の表記以外は、天ぷらの“ぷ”や、吉の“口”の字体が酷似している他、全体としてもぼぼ同じです。

実際に北新地で街行く人に話を聞いてみると…。

「『あの堺の天ぷらがくるよ』『新地でやっていけるのかな』みたいな話はしていて、一度は寄らしてもらいたいなと思っていたところだったので。びっくりです、今それ聞いて。」
「姉妹店やと思っていたんですけど。おかしいなとは思っていたんですけど。」

やはり勘違いは起きていました。難波店を経営する津本啓之さんは、大切に守ってきた母親の味が誤って伝わるのではないかと懸念しています。

(天ぷら大吉・難波店 津本啓之代表)
「市場に愛されるお店みたいな感じで、やっていたお店なんです。元々料理得意な母で。食べてもあっさりしている。出汁は甘めに炊いて、大根おろしで胃にも優しく、という感じの出汁を使って天ぷらをしている。伝統の味をずっと引き継いでやっているので、看板を使ってお客さん自身が混同することは絶対にやめてほしい。」

経営者の男性を直撃 言い分は?

では一体、誰が北新地の店を経営しているのか?取材班が調べると、経営者は別の店で働いている人物であることがわかり、直接話を聞くことにしました。

      (記者)「毎日放送の記者ですが、○○さんはいますか?」
(北新地店の経営者)「私です。僕は一切わからない。僕の名義だけ貸しているけど、堺の事情はわかっていない。」
      (記者)「知り合いに名前を貸してと言われたと?」
(北新地店の経営者)「その人がお店いろいろやりたいけども自分の名前が使えないから、僕の名前で。」
      (記者)「安易に名前貸すのもどうかと思うのですが。」
(北新地店の経営者)「うかつすぎたなと。」

経営者の男性は「名義を貸しているだけで実質経営者は他にいる」と話しました。
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2020年9月に北新地の店で店長と名乗る男性に話を聞くと…

(店長と名乗る男性)
「よく聞かれるんですよ、(堺の店と)一緒の系列とか。全然経営者が違うので、ここを1号店として、北新地を皮切りに2号店、3号店を考えています。」

店名の使用差し止め求め提訴

2020年12月、津本さんら兄弟は北新地の店側に対して、店名の使用差し止めを求めて大阪地裁に提訴しました。

こうした屋号や商品名を巡る問題はこれまでも度々起きています。焼き鳥チェーンの「鳥貴族」と店名が酷似する「鳥二郎」や、北海道の人気菓子「白い恋人」と酷似した「面白い恋人」などは、いずれも和解しています。
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今回は名前も同じでメニューも同じ…。本家「大吉」側の代理人弁護士はこう指摘しています。

(辻村和彦弁護士)
「大吉という店名が様々なテレビ番組やその他のメディアにも多々取り上げられていて、少なくとも大阪府下ではかなり有名。さまざま店名を取りうる中で、あえて『大阪天ぷら大吉北新地』という名前を用いる必要はないでしょう、というところが基本的な発想になる。」

大吉の社長「正常に戻りたい」

そして1月18日、大阪地裁で2回目の裁判が非公開で行われました。北新地の店側はこれまで裁判所に請求棄却の判決を求めていましたが、新たな展開があったといいます。

(天ぷら大吉・堺本店 津本繁徳社長)
「(北新地側が)看板は下ろすことの和解案は持ってきました。(応じるかは)弟と話して、それからですね。1日でも早く看板を下ろしてもらって、正常に戻りたい、それだけです。」

飲食業界全体が苦境に立つ今、他の店の人気にタダ乗りする行為は許されるものではありません。

(1月19日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

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