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【特集】"復興住宅"で孤独死71人...進む被災住人の高齢化 市の支援事業は3月で廃止へ〈阪神・淡路大震災26年〉

2021年01月15日(金)放送

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阪神・淡路大震災の発生から今年1月17日で26年です。震災後、神戸市をはじめ兵庫県内には「復興支援住宅」が建設され、2万8000人あまりが暮らしています。そこで今課題となっているのが、住人の“高齢化”、そして“孤独死”です。コロナ禍で訪問も十分にできない中、行政からの支援事業がまたひとつ廃止されようとしています。

避けることのできない“別れ”

川畑幸夫さん(78)は26年前の震災で自宅が全壊し、神戸市内の復興住宅で20年以上1人で暮らしています。

(川畑幸夫さん)
「1人でテレビ見るか新聞見るか犬の散歩行くか、その程度ですね。」
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自治会長を務める川畑さん。年月が経つにつれ、避けることができないのが別れです。

(川畑幸夫さん)
「僕が見守りしていた人、向かいの棟の人がね、去年の5月16日に亡くなった。病院で亡くなったんだけどね。」

中には“孤独死”となるケースもあります。去年12月には近所に住む80代の男性が浴室で亡くなりました。

復興住宅の高齢化率は54.3% 高齢者の2人に1人は“独居”

川畑さんが住んでいるのは神戸市にある「HAT神戸・脇の浜」。『災害復興住宅』と呼ばれ、被災者に住まいを提供しようと建設されました。ただ、県内の復興住宅で孤独死した人は去年1年間だけで71人に上ります。

(川畑幸夫さん)
「僕が面倒見ていた人、部屋で亡くなっていた人もいるしね。入っていった時、ベッドの上で亡くなっていた、そういう人もいる。ほとんどの人がね、何らかの事情があるね。子どもさんがいても来ないしね。自分もそうだけど、あまり深入りもできないしね…さみしい。」
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復興住宅の高齢化率は去年11月時点で54.3%で、さらに高齢者の2人に1人は“独居老人”です。また復興住宅は、“災害弱者”とされる人たちを優先して地域に関係なく入居を進めたため、コミュニティーは希薄だとされています。

(1人暮らしの女性)
「年寄りが多い。(Q友達などつながりはある?)もうないです、この歳でつながりはないです。家にこもっていますから。」

入居者が入居者を見守る“老々介護” コロナ禍で面会が困難になった実情も

同じ被災者である入居者らの孤独死を目の当たりにしてきた川畑さん。ほかの住民らとともにボランティアで訪問活動を行っています。

(訪問先の入居者)
「仏壇の花も替えていただいて、買い物や洗濯もしてもらって、お世話になっています。」
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もちろん訪問する側も大半は高齢者。危機感を募らせています。

(川畑幸夫さん)
「老々介護です。こうして家に入れてくれるところはまだいいけどね。自分が体が弱っていても、意地をはっているのか、そういう人も中にはいるからね。(見守りできている人は)4割~5割くらいかな。」
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新型コロナウイルスの感染が拡大する中、直接面会して見守る活動ができないという声もあります。26年間、被災者の見守り活動を続けてきたNPO法人「よろず相談室」理事長の牧秀一さんによると、持病のある人も多く、重症化のリスクもあり、面会や定期的な集会ができない状態が続いています。

(NPO法人「よろず相談室」 牧秀一理事長)
「集会は開けない、コロナの関係でね。去年6月は当然ダメだったし。去年12月もなんとかしようと思っていたけど、当事者の人たちが高齢やし、コロナに恐怖感を感じる。恐怖感を感じる間は無理やわ。」

高齢被災者サポートの「見守り事業」は財源不足で…

神戸市内の復興住宅には、市が委託した「見守り推進員」が配置されています。その1人である金澤章子さんは、住民の相談に乗ったり、イベントの手助けをしたり、様々な面で高齢化した被災者らをサポートしてきました。兵庫県内では2006年度から見守り事業がスタートし、神戸市では推進員を33人配置しています。
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(見守り推進員 金澤章子さん)
「被災されてここに来ている方々に、身近なところに安心して相談できる相手がいるというのは、心強いことだったのではないかな。」
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しかし今年、神戸市はある決定を下しました。見守り事業は“財源不足”を理由に今年3月で廃止されることになったのです。他の自治体でも廃止が相次いでいて、神戸市は唯一事業を継続していました。

(見守り推進員 金澤章子さん)
「断腸の思いですね。肉親を見捨てるような、そんな感じがしますね。」
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今年1月、金澤さんは川畑さんたちの住む復興住宅を訪ねました。話題は見守り事業の廃止にも及びました。

(話し合いで発言する川畑幸夫さん)
「年寄りばっかりなってきている中で、なんでこんなこと…。もうちょっと温かく見守って、神戸市・国もしてくれないのかなと思う。今からが大事。住民は後期高齢者もいいところ。年寄りが見捨てられるようなもの。」
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廃止について神戸市は「高齢化の問題は復興住宅に限った問題ではなくなったため」としています。

(神戸市高齢福祉課 吉村千波課長)
「復興住宅だけが高齢化がすごく高いとまで言い切れなくなってきている実情がありますので。復興住宅にだけ手厚いというよりは、ある程度、高齢者の皆さんにできる限り広く必要な支援をやっていくということにシフトをせざるを得ない。」
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孤独死に詳しい専門家は、コロナ禍の今、むしろ見守り事業の必要性は高まっていると指摘します。

(兵庫県立大学大学院・減災復興政策研究科 室崎益輝教授)
「震災の傷が深い人ほど、今の高齢化社会の矛盾が重くのしかかってくると思う。特にコロナ禍でますます孤立を深めていった時に立ち上がることができない。どういう形で高齢者の見守りをすればいいかということは、方針を行政は出さないといけないと思うし、実践しないといけないと思います。」
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あれから26年。川畑さんは行政の支援が縮小してもできることは続けたいと言いますが、どうしても不安は隠せません。

(川畑幸夫さん)
「どうなるんやろうなぁ思ったら、言葉で言えないぐらい心配しています。行政に『1から10までせえ』いうのも無理なことやしね。どうしたらいいんでしょうか。」

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