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【特集】高さ50mの炎の竜巻『火災旋風』の脅威 巨大地震が発生したら...大規模火災の危険性が高いのは"大阪"?

2021年01月14日(木)放送

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阪神・淡路大震災の発生からまもなく26年。当時、200か所以上で火災が発生し、大きな被害をもたらした。そして、今後想定されている巨大地震では『火災旋風』と呼ばれる炎の竜巻が発生する可能性が指摘されている。その脅威とは?

炎の竜巻「火災旋風」 50mの高さになることも

今から26年前、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災。火災の被害が大きかった神戸市長田区では、戦前に建てられた古い木造家屋が密集していて、それらが倒壊して出火。別の家屋へ次々と燃え広がるなどして、多くの人命が奪われた。

こうした地震による大規模火災で、今、警戒されているのが『火災旋風』だ。この火災旋風について研究を続けている専門家がいる。
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(山形大学大学院理工学研究科 桑名一徳教授)
「火災旋風は“炎の竜巻”だと言えます。大規模な火災旋風が起きますと、50mくらいは炎が上がるのではないかと考えられます。」

火災旋風をめぐっては、今後起こりうる地震でも発生がすでに想定されている。
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政府が発表した首都直下型地震が発生した際の被害想定などを基に作られた映像にも火災旋風が。火災旋風は一度発生すると、倒壊した家屋を燃やしながら勢いを増していくのが特徴だ。さらに…。

(山形大学大学院理工学研究科 桑名一徳教授)
「火災旋風の周りの竜巻のような流れは、毎秒数10m、100m近くに至ることもある。火の粉が風に乗って遠くまで飛んでいくということが起こりえますので、飛び火による延焼に繋がりやすいです。」

火災旋風が発生する“隙間”

では、どのような条件を満たせば火災旋風は発生するのだろうか。桑名教授に再現してもらった。

可燃性の液体に火をつけ、半分に切ったアクリルのパイプを少しずらした状態で置く。
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すると…一瞬にして渦を巻いた炎が立ち上がった。高さは1m近くにもなった。発生のポイントは「風の流れ方」だという。

(山形大学大学院理工学研究科 桑名一徳教授)
「隙間が空くようにアクリルのパイプを置いています。この隙間を通ってしか空気が入れない。空気が回転しながらパイプの中に入っていって、上昇気流で上にいく、そういう流れが起きますので。ぐるぐるぐるぐる炎が回転しながら燃える。どのような向きで、どう風が吹いているかということが、運悪く火災旋風が発生しやすい状況になってしまうと、火災旋風が起きる。」
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実は1923年に起きた関東大震災で火災旋風は発生していた。その様子が描かれた絵がある。絵の中では、家屋の一部だけでなく、自転車までもが炎の渦に巻き上げられている。墨田川を通り抜ける風が影響し、4万人近くが火災旋風に巻き込まれるなどして死亡したという。

風が弱まり…高さ5m・渦を巻いた炎が発生

ただ、火災旋風が発生する要因は風向きだけではない。桑名教授は2020年10月、風速を計測しながら火災旋風を発生させる実験を行った。この時、風速は2mほど。炎は風に流されているだけだ。
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ところが…風が弱まり、風速約1mになると、突然、渦を巻いた炎が発生した。大きく燃え上がり、高さは最大で5mほどまで達した。

(山形大学大学院理工学研究科 桑名一徳教授)
「風が全く吹いていないと発生しないし、風が強すぎても発生しない。火災旋風が起こりやすい風速というものがあります。」

風の方向や速度。大規模火災だとこうした偶然が重なる可能性が高くなるという。

(山形大学大学院理工学研究科 桑名一徳教授)
「火災が大規模になればなるほど、炎がいろんな形をして燃えていますので、風が当たる時に、火災旋風が起こりやすい条件がどこかでそろいやすいと。そういった意味で、大規模な火災になるほど火災旋風が起こりやすくなるといえる。」

大規模火災の恐れのある地域「大阪市生野区の木密地域」

阪神・淡路大震災の時は、風がほとんど吹いていなかったことから、火災旋風は発生しなかったとされている。

火災旋風が発生するような大規模火災の恐れが指摘されている地域は数多くある。古い木造住宅が密集する大阪市生野区の「木密地域(木造住宅密集地域)」もその1つだ。

国の基準で延焼の危険性が特に高い「地震時等に著しく危険な密集市街地」は、2019年度末時点で14都府県に約3000ヘクタール残されているが、実は大阪府がワーストで1815ヘクタールと全国の6割以上を占めている。
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そのうち、半分以上は大阪市内の7区に広がっていて、中でも最大となる294ヘクタール残っているのが大阪市生野区だ。

都市防災を研究する京都大学防災研究所の牧紀男教授と生野区を歩いてみた。幅2mほどの狭い道の両側には木造住宅が建ち並んでいる。
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(京都大学防災研究所 牧紀男教授)
「住宅と住宅の間が狭いと隣にすぐ火が移ってしまうので、やはり道が狭いというのは大きな問題。」

こうした木密地域の多くは、太平洋戦争での空襲を免れた地域で、区画整理が行われないまま今に至っている。そのため道も入り組んでいる。
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(京都大学防災研究所 牧紀男教授)
「あ、ここはもう行き止まりなので、ここだと奥の住人は入り口の家が倒れると逃げられない。また空き家が多いと、そこから火が出るというのもありますし、メンテナンスがされない。」

「木密地域」の解消のため、大阪市は建て替え促進策として、1950年以前に建てられるなどした住宅の解体費用を最大75万円補助している。しかし、高齢な住民も多く、建て替え自体に多額のお金がかかることもあり、なかなか進んでいない現状だ。

大阪市の中心部を南北に貫く「上町断層帯」

大阪の木密地域が特に危険と考えられる理由、それは「上町断層帯」の存在だ。大阪市の中心部を南北に貫くこの上町断層帯が動けば、最大で震度7の揺れに襲われると想定されていて、国内の活断層の中では発生確率が高いグループに属している。

(京都大学防災研究所 牧紀男教授)
「ひとたび起きると26年前の阪神・淡路大震災と同じような被害が想定される。何地点も火災が発生した場合には、消防が消す能力を超えてしまって、延焼していくのを止められない。そうなると自動的に止まるのを待つしかない。」

火災旋風の危険をはらんでいる都市部の大規模火災。阪神・淡路大震災の発生からもうすぐ26年が経つが、課題は今も残されたままだ。

(1月14日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

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