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【特集】『売れ残り服』を個人がライブ配信で格安販売!在庫処分したいメーカーとのマッチングも人気 コロナで動くアパレル業界

2021年01月08日(金)放送

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新型コロナウイルスの影響で窮地に陥るアパレル業界に今、新しい風が吹いています。カギとなるのは業界の課題だった大量の売れ残りや余った生地。これらを有効に活用する動きが活発化しています。

「売れ残った服」を個人が買い取りライブ配信で格安販売

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滋賀県彦根市の主婦・米森麗那さん(26)。日が暮れて保育園に通う子どもの世話がいち段落するころに始めることがあります。週に一度のペースで行っているSNSでのライブ配信です。開始と同時に参加者がどんどん増えていきます。米森さんのライブ配信、その目的は“洋服の販売”です。次々に着替えて、紹介していきます。

【米森麗那さんのライブ配信の様子】
「今はやりのベージュ、これほんまに形がかわいい。下にニット着ても着られるコート。めっちゃ暖かいです。」
「新品未使用タグ付きで定価1万2000円、白色、これが1500円。」
「このショルダーバッグは700円。」

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人気のワケはその安さです。実はライブ配信で紹介している商品はお店で売れ残ったもの。まとめ買いすることで格安で仕入れているのです。

(米森麗那さん)
「このコートの仕入れ価格が1枚あたり200円。2500円で売っても売り上げとして上がる感じですね。」
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一度は売れ残ってしまったものでも、米森さんが実際に着てコーディネートを提案することで、飛ぶように売れていきます。コロナ禍で店に行くのを控えている人にも買いやすいようです。

(米森麗那さん)
「みんな家にいる時間が増えたので、配信を見てくれる人は増えたなと実感しています。」

“在庫処分を個人とマッチング" ブランド数10倍・在庫は30倍に

小島ファッションマーケティング調査によりますと、大量生産の一方で、年間約15億点が売れ残っているとされるアパレル製品。新型コロナウイルスの影響で業績が低迷する中、余った商品を少しでも有効活用しようという動きが加速しています。

在庫処分がしたいメーカーとそれを仕入れて販売したい個人らを結び付けるマッチングサイト「スマセル」。出品するブランド数はこの1年で約10倍に、取り扱う在庫も約30倍に増えたといいます。
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(スマセルを運営するウィファブリック 福屋剛社長)
「超大手のアパレルブランドの出店が毎月増えている状況です。今まではどちらかというと、今だと2019年以前の商品が多数を占めていたのですが、今は3割前後は今季の商品。」

トレンドが変わらないうちに処分したいメーカー側にとっては、正規の店舗で値下げしてブランド価値を損なうよりも、こうしたサイトを通じて個人間で売買してもらう方が痛手が少ないというわけです。

(福屋剛社長)
「最終的にブランドを好きになってもらって、今季の商品を買いに自社店舗や自社オンラインショップに買い物に来てもらうことができれば、非常にメリットがある。」

「サンプル生地」でワンピース 可能にした工夫とは?

こんな取り組みも始まっています。大阪府八尾市の倉庫に積み上げられた大量の生地。そこで入念に生地を探し求めているのは、去年アパレルブランドを設立した西側愛弓さん(25)です。子どものころからファッションが大好きだった西側さん。大学時代に世界中を旅した際、服装から伝わる貧富の差に衝撃を受けたといいます。
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こうした経験から、西側さんのブランド「coxco(ココ)」では“服を通して社会問題を考える”をテーマにしています。

(coxco 西側愛弓社長)
「トレンドがすごく早いところや、過剰生産・大量消費・大量廃棄がアパレル産業のサイクルになっている。業界にも消費者にもしっかり(問題点を)伝えることが必要だと思っていた。」
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去年9月に発表したコレクションでは、倉庫に眠っていた『サンプル生地』を使ってワンピースなどを作りました。サンプル生地とは、アパレルメーカーなどが服を作る際に参考にするためのもので、いわば見本です。一部は試作に使われますが、余った生地のほとんどが倉庫に眠ったままになるか、汚れをふく布などになる運命だったといいます。

大阪の繊維商社ヤギでは、西側さんから「サンプル生地で服を作りたい」という提案を受け、無償で提供することを決めました。

(繊維商社ヤギ営業一課 卜部司課長)
「(サンプル生地は)僕らもなんとかしないといけないと思っていたけれども、問題解決の具体的な策を出せていなかったですし、行動にも移せていなかったんですけども。今まで有効活用されていなかったものがあるので、そういったものがみなさんの手に届くような形を増やしていきたいなと思います。」
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ただ、これまで誰もサンプル生地に手を出さなかったのにはそれなりのワケがありました。サンプル生地は種類は多いもののあくまでも見本のため、長いものでもシャツ20枚分ほどしかありません。さらに、製品化を前提とした検品はしていないため、キズや織りムラなどがあるケースも。それらを避けながら手作業で裁断するとなると、大量生産はできないのです。そこで西側さんは、ひとつのデザインの服をいろんな生地で作って枚数を確保、サイズもワンサイズにすることでコストを抑えました。

コレクションのテーマは「AWAKE(目覚める)」。倉庫に眠っていた生地が目覚めました。

(coxco 西側愛弓社長)
「光沢のある方だとドレッシーというか華やかになる。光沢のない方はすごく軽やかなので普段着に向いている。自分にあう生地を選んで、それにあわせたファッションを楽しんでいただけるのが面白い点かなと思っています。」

今後目指すのはアパレル業界以外の課題にも目を向けてもらえるような服作りです。

(coxco 西側愛弓社長)
「コロナのこともあって、たくさんの方の価値観が変わった1年だったのかなと思っているんです。デザイン性も大事だけれども、社会的に意義があることやストーリーに共感できるものに、消費者も興味・関心を寄せているのかなという印象を受けています。」

新型コロナウイルスによって急速に変わっていく人々の暮らし。アパレル業界のあり方にも一石を投じたようです。

(1月8日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

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