MBS 毎日放送

ミント! ミント!

毎週月~金曜日 ごご3:49~放送関西のニュースは毎週月~金曜日 ごご4:30~放送

憤懣本舗

【特集】「ペテンにかかった...」"文化施設"と言っていたのに『葬祭場』建設開始 奈良市による住民置き去り計画

2020年12月21日(月)放送

SHARE
Twitter
Facebook
はてなブログ
LINE

2004年に閉園した奈良市の「あやめ池遊園地」の跡地を巡り、市が当初の計画を変更して冠婚葬祭業者に売却していた問題。住民らは“寝耳に水”だとして計画の撤回を求めていましたが、ついに葬祭場の建設が始まりました。

「葬祭場」が建つ土地

奈良市内に住む滝田千裕さん(55)。23年間住んできた地域で12月9日、大規模な建設工事が始まろうとしていました。この空き地に造られるのは「葬祭場」です。

(滝田千裕さん)
「本当にショックです。この道を通ると、これで私たちの生活が一変してしまうんだなというのが、さみしく辛い気持ちです。」

「あやめ池遊園地」の跡地は「文化芸術情報館」が建設される予定だったが…

ことの発端は16年前に遡ります。奈良市の北西部に位置するあやめ池地区。このあたりにはかつて「あやめ池遊園地」がありましたが、相次ぐ巨大テーマパークの台頭などで、2004年に閉園しました。跡地を所有していた奈良市や近鉄、地元の自治会などが街づくり計画を作成して、10年ほど前から住宅街ができ、近畿大学附属小学校が移転してくるなど開発が進められてきました。

そんな中、3年前に住民らが突然知らされたのが、「葬祭場」の建設計画でした。当初の街づくり計画では、この場所は『教育・文化ゾーン』に分類され、奈良市が土地を買い取って「文化芸術情報館」が建設される予定でした。しかし、奈良市は住民らに十分な説明を行わないまま、土地をネットオークションにかけ、冠婚葬祭業者が落札していたのです。
2c.jpg
(地元住民 2019年取材)
「我々には情報が何もない。(Q変更の情報も?)何もないです。『葬祭場』とかが建つことを1回も聞いていない。我々はペテンにかかったと。計画当初は、奈良市の『文化芸術情報館』ということで説明を受けて、それができるのだろうとずっと思っていた。」

計画に反発した住民らは、2019年1月に撤回を求めて約3400人分の署名を提出。さらに土地を売却した近鉄側も…。

(近鉄不動産のコメントより一部抜粋 2019年)
『当社は周辺環境に十分配慮した公共施設を建設することを前提に、奈良市に売却をいたしました。土地を転売され、葬祭場が建設されることは誠に遺憾であり、奈良市に対して抗議の申し入れを行いました。』

ようやく開かれた住民説明会 「土地を売る前に住民に説明しなかった」奈良市認める

住民らは2019年3月に奈良市側に経緯の説明を求める要望書を提出。そして2019年9月になって、ようやく住民説明会が開かれました。

【住民説明会】
  (住民)「あなたが勝手に売ったことで、こうなっているんですよね。自分で尻ぬぐいしようという気はないんですか?売る前に、みなさんに確認したんですか?」
(奈良市 仲川げん市長)「みなさんにはしておりません。」
  (住民)「していないのに、売ったのは奈良市ですよね?」
(仲川市長)「そうです。」
  (住民)「『悪いけど売ってしもたけど、やっぱり僕たち間違っていました』と。『もういっぺん白紙に戻します』と。元に戻してほしいと願います。」
3b.jpg
住民らは仲川市長に激しい怒りをぶつけますが、市長は「計画は前市長の時代のもので、自身の公約通り、新たなハコモノの建設は行わない」と説明しました。

(仲川市長)「引き続きお金がなくても公共施設を建てるべきだという意見があることは私も理解しますが、現実的には難しいという判断をしました。」

奈良市は説明会の後、葬祭業者と“別の土地利用について交渉する”と住民らに伝えていました。その後、一向に動きがないまま、2020年10月に「交渉は不調に終わった」として、予定通り葬祭場が建設されることが一部住民に伝えられたのです。

「市長は1年間何をして…」落胆する住民

そして2020年11月3日、奈良市は“カメラ撮影はできない”という条件で、自治会長らを対象に説明会を開きました。

【11月3日の説明会(住民提供の音声より)】
(仲川市長)「結果として今回事業者側との交渉については不調に終わったということになります。おわびを申し上げる次第でございます。」

仲川市長は、落札業者に葬祭場以外の土地利用の検討を求めたり、隣接する近畿大学などに土地の買い取りを打診したりしたが、交渉はうまくいかなかったと説明しました。

【11月3日の説明会(住民提供の音声より)】
(仲川市長)「(業者は)それぞれの地域で反対の声も出るのが常であると。反対の声が出るたびに場所を変えていると事業が成り立たない、という考えもうかがいました。それも一定理解できる。葬儀会館という事業形態については、いろんな地域で住民との軋轢が出ていることもありますので、(売却地の)用途から外して入札することも必要だったのかなと思っています。」
  (住民)「もう打つ手はないのか、これが最後なのか?」
(仲川市長)「誠に申し訳ないのですが、(業者は)この間、市の都合で事業を止めておられます。相当費用もかかっているということもあり、早く決断を、早く判断をと言われながら、もうちょっと待ってほしいと交渉をしてまいりました。」

結局、当初の計画とは全く違う結果になったことについて、住民の滝田さんは…。

(あやめ池地区に住む滝田千裕さん)
「1年も待って、なにか交渉の結果を持って帰ってきてくれると思って、みんな期待して待っていたんですけれども。『やっぱりだめでした』のひと言で。いったい市長は1年間何をして、時間稼ぎしただけなのかな、という思いでいっぱいです。」
4c.jpg
一方、土地を取得して3年あまり、予定より大幅に遅れて葬祭場を建設することになった業者側は、取材に対して「そもそも葬儀会館を建設するとして入札に参加した。市からの要請で1年以上待ったが、土地にかかる経費もすでに発生していて、もうこれ以上は待てない」と説明しました。

奈良市長は…

後味の悪い結果になったことについて、奈良市はどう考えているのか。取材班が12月16日、仲川市長に話を聞きました。

(奈良市 仲川げん市長)
「結果として住民のみなさんの思いにはかなわなかった。願いとは違う形になってしまったということについては、申し訳ないという思いはいたしております。今後、市が住宅近接地で土地を売却するという際には、今回のことも踏まえて、どのような仕様で土地の売却を進めていけばいいのか、改めてしっかりと見直していきたい。」

葬祭場は必要なものではありますが、住民を置き去りして進めていい計画だったのか。住民らは奈良市に対し、二度と同じようなことを繰り返さない仕組み作りを求めていく方針です。

(12月16日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

最近の記事

バックナンバー