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コロナ禍の潜在看護師たち...復職への不安は「進化する医療技術」「注射や採血」 17年ぶりに「現場へ戻る」看護師も

2020年12月08日(火)放送

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新型コロナウイルスの感染が拡大する中、全国各地で起こっているのが看護師不足。そこで、看護資格があり現場を離れている「潜在看護師」に注目が集まっています。2019年に大阪労働局などが潜在看護師にアンケートを行ったところ、85%が復職を希望するというデータもあります。それでも「復帰できない、しない」理由とは…。潜在看護師の“不安”を解消する取り組みを取材しました。

12月2日に大阪府枚方市の関西医科大学で行われた潜在看護師向けの講座「関医・看護師リカレントスクール」。集まっていた全員が「潜在看護師」です。

(現場を離れて15年の潜在看護師)
「看護師としてのブランクが長いので。」
(現場を離れて20年ほどの潜在看護師)
「医療の現場から離れてかなり経っていて、もう一度、医療の現場に戻れるかわからないけど…」

日本には潜在看護師が70万人以上いると推計されていて、2020年4月に日本看護協会が潜在看護師5万人にメールで復職を呼びかけたところ、それに応える形で1995人(11月17日現在)が就業しました。しかし一方で、「復帰できない、しない」理由が別のデータでわかりました。

2019年11月に、大阪労働局などが潜在看護師3562人にアンケートを行ったところ、看護職への復帰を希望する人は全体の85%でした。しかし、それでも「復帰できない、しない」理由を聞くと…

▼夜勤ができない 42%
▼職場の受け入れ環境が不安 38%
▼現在の医療技術についていけない 30%
▼急な休みが取れない 29%
▼責任が重く医療事故が怖い 29%

勤務条件とは別に「現在の医療技術についていけない」という“ハード面”の理由が30%も占めていることが明らかになりました。そこで、復職を目指す潜在看護師のための研修や講座がさまざまな自治体や医療機関で行われていて、関西医科大学で行われていた講座もその1つです。

この講座に参加していた専業主婦の古田裕実さん(45)。潜在看護師歴17年です。山口県の病院で7年間、内科とICUの看護師をしていましたが、結婚を機に関西に引っ越し、看護師を辞めました。

(潜在看護師 古田裕実さん)
「働こうと何回も思ったんですけれども、看護師をする自信がなくなり復職する自信がなくなり、何年も経過して。責任感が重い仕事だったので、一回離職した自分にその責任を負う自信がなくて戻れなかったです。」

そんな古田さんの気持ちを動かしたのは、同じ免許を持つ看護師たちの「現状」でした。

(古田裕実さん)
「毎日テレビで医療従事者は大変だとか、看護師が働いているニュースを見て、『私は看護師免許を持っているのに働いていない。何かしら自分にできることがあるんじゃないか』と思い、(講座)応募しました。」

「潜在看護師」の復帰には現場を離れた時間に比例して、“不安”が付きまとうといいます。それを解消するために、講座では約2か月間、週に2回、日々変化する“今の医療”を学びます。

(関西医科大学 安田照美総括看護部長)
「医療機器が開発されて、それにともなう操作、管理。薬剤も後発薬品ができて名称変わっていきますよね。あまりにも離職期間が長いと(復帰を)躊躇されているんですね。復職支援の窓口があれば、そこに入って一歩復職に近づける。」

講座では普段、医大生や看護学生が使う設備も用いられるのですが、中には“ハイテク機器”もあります。患者の恰好をした人形です。

(関西医科大学・看護師 籔内育栄さん)
「『Physikoさん』というシミュレーターで、実際に胸の音や心電図をとるのを受講生に対してやっていた。(受講生は)ブランクのある方なので、学生のときに、こういうシミュレーターを使った授業がない、ハイテクなものがあるんだと驚かれた。」
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人形のスイッチを入れると…聴診器から聞こえる肺炎など、疾患に合わせた呼吸や腸の音が再現されていて、受講生は聴診器を当てて「疾患の音」を学べるといいます。

そして、ブランクの長い潜在看護師が“最も不安を感じる”という「注射の練習」もします。正しい位置に、正しい角度で針を刺さないと血液は採れません。その模擬練習の機材もありました。

(関西医科大学・看護師 籔内育栄さん)
「静脈血採血の練習用の模擬で、(機械の)スイッチを押すと血液が流れます。(復帰したら)注射の採血は絶対ついてくるもの。実際に練習を兼ねて、もう一度手技の見直し、(技術を)獲得し直す。」

古田さんにとって17年ぶりの採血、どうだったのでしょうか。

(潜在看護師 古田裕実さん)
「ちょっとやったら勘は戻りました、刺した瞬間、血管を見つけた感触とか思い出しました。思い出すものなんですね。(講座を)終了して、この波にのって看護の場に出ていかないと、また引きこもる、潜在看護師になってしまいそうな気がするので、このまま復職してみようと思いました。」

特別講座「関医・看護師リカレントスクール」の受講料は無料で、これまでに3回行われています。卒業した14人のうち、10人が在宅医療の看護師として復帰したということです。

病院で働く看護師は最先端の医療への対応が求められるため、復帰のハードルがどうしても高くなってしまうということですが、大阪府看護協会の高橋弘枝会長は、「どんな形でも復帰することが現状を変える」と話します。

(大阪府看護協会 高橋弘枝会長)
「(Q在宅医療の看護師で復帰してから再び病院で働くという期待感は?)すごくあります。ベースは一緒なので、ある程度働きだすと勘は戻ってきますので、(潜在看護師に)本当に帰ってきてほしい。1人でも多くの方に。本当に1時間でも2時間でもいいです。」

(12月8日放送 MBSテレビ「ミント!」内より)

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