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【特集】北陸新幹線「金沢ー敦賀」延伸計画に遅れ 2023年春までのはずが...地元の期待と落胆

2020年12月02日(水)放送

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東京ー金沢間を最短約2時間半で結ぶ「北陸新幹線」。開通から5年が経ち、金沢などに賑わいをもたらしています。北陸新幹線は今後、2023年までに福井県敦賀市まで、そして46年までに大阪まで延伸される計画でした。この計画に大きな期待を寄せるのが福井県です。しかし、2020年11月、思わぬ事態が持ち上がりました。福井県の期待と落胆を取材しました。

「鉄道」と「港」知られざる敦賀の魅力

琵琶湖の真北に位置する福井県敦賀市。延伸される北陸新幹線はこの街を通って新大阪駅と福井駅を結びます。実はこの敦賀市、知られざる魅力でいっぱいです。
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100年以上前、日本からヨーロッパに行くには敦賀港からシベリアに渡るのが最短のルートでした。「東京ー経由ーベルリン」と書かれた1枚の切符が残っています。

(観光ボランティアガイドつるが 向和夫さん)
「敦賀で波止場で船に乗り換えて、ウラジオストクまで渡って、それからシベリア鉄道でヨーロッパに行けるようになった。敦賀がヨーロッパの玄関口だったんです。」
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そして今も残る線路は、1882年に国内で3番目に敷かれたといわれる敦賀港線(2019年に廃線)です。東京~敦賀~ヨーロッパを結び、東京からの旅人を乗せた欧亜国際連絡列車が走っていました。

再現された終点駅の敦賀港駅は敦賀鉄道資料館となっていて、当時の歴史を伝えています。
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(観光ボランティアガイドつるが 向和夫さん)
「当時、日本でも有数の規模を誇った機関区のジオラマです。敦賀の琵琶湖側も、あるいは福井に抜ける側も山越えしないといけないので、(蒸気)機関車がたくさん必要だった。そのためにたくさん敦賀にはSLが置かれていた。」
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また、敦賀は「杉原千畝」ともゆかりの深いまちです。第二次世界大戦中にナチスドイツから逃れる多くのユダヤ人のために「命のビザ」を発給。逃げてきたユダヤ人たちは、ここ敦賀港で日本の地を踏みました。

(敦賀市観光部 落合崇係長)
「発給したビザを持って全ての方とは限りませんけれども、敦賀に降り立って、そのあと神戸や横浜に行って、第三国に渡っていったということになります。」

かつて敦賀市は日本の玄関口ともいえる賑わいのある街だったのです。

「北陸新幹線」2023年春までに“敦賀まで延伸”の計画に大きな期待

しかし今、一歩街中に入ると、往時の面影はありません。シャッター街と化した駅前の商店街。2005年をピークに人口は減少を続けています。だからこそ、敦賀の人たちは新幹線開通に大きな期待を寄せています。

(呉服店の店主)
「(新幹線が)敦賀止まりで、きているから、お客さんがどれだけ来てくれるのか楽しみにはしているんやけど、駅前も人口がだんだん減ってきているから。」
(文具店の店主)
「まちづくりというか、まちの魅力を金沢みたいに(新幹線が)来るまでに、どういう形で(まちを)盛り上げる、どう活用するかというのが大事。」
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既に東京ー金沢間で開通している北陸新幹線。2023年春までに金沢から敦賀まで延伸。そして46年までに大阪まで開通する計画です。

JR福井駅前では…。

(福井県新幹線建設推進課 砂村秀成参事)
「えちぜん鉄道の駅舎があるのですが、その横側に新たな新幹線駅の上屋がいま建設中だと。」
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福井市内では2020年10月から新幹線駅舎の建設が始まりました。高架橋やトンネルなどの工事も着々と進んでいます。敦賀市と同じように多くの人が「新幹線が活気を取り戻す起爆剤になる」と期待しています。福井市民に話を聞くと…。

(福井市民)
「町一体となって準備していますよ。新幹線が来れば賃貸業者は新しいテナントを期待していましてね。テナントに空きが多いところですから。」
「新幹線を見込んで商売を始めた方もいると思うので、1日も早く新幹線が通ったらいいなと思います。」

すぐに知らされなかった「工事計画の遅れ」

ところが2020年11月、ある事実が突然明らかにされました。約1年半という工事計画の遅れです。

(鉄道・運輸機構 北村隆志理事長)
「工事の完成と開業が約1年半程度遅れる。ご支援いただきながら申し訳ございません。心からお詫び申し上げます。」
(福井県 杉本達治知事)
「一体いつから工事が遅れているのか明らかにしていただきたいという風に思います。」
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遅れるのは石川と福井の県境にある「加賀トンネル」で地盤にひび割れが見つかり、追加工事が必要になったなどの理由からです。さらに、この遅れの見通しはすぐに知らされませんでした。新幹線への期待が大きかっただけに、国側の対応に知事の言葉も厳しくなりました。
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(福井県 杉本達治知事)
「今までも情報交換はしていたんです。ですけれども、それ(遅れ)を明らかにしていないだけ。本当の状況についての説明をしっかりいただけるような環境を作っていきたい。」

老舗駅弁会社も落胆「腰を折られたような感じ」

大阪ー福井を結ぶ中継点となる敦賀市の関係者も落胆を隠せません。1903年創業の老舗駅弁会社「塩荘」。100年以上前からある鯛の押し寿司で知られています。

(塩荘 早猟俊行営業課長)
「塩荘の売りは『鯛の舞』というお弁当です。昨年度のお弁当・お惣菜大賞で最優秀賞をいただいています。」

北陸新幹線が敦賀まで来ても、大阪に延伸するまでさらに20年あまりかかります。その間、「敦賀止まり」になるため、新たな駅弁の需要が生まれるのではと期待していましたが…。

(塩荘 早猟俊行営業課長)
「敦賀駅で必ず乗り換えが発生する。弁当をたくさん発売できるかなと思っていたが、1年半伸びるということでかなり落ち込み、がっかりしております。徐々に新しい弁当、新幹線向きの弁当を作っていこうと取り組みをしているのですが、腰を折られたような感じを受けています。」

北陸新幹線の延伸に期待を寄せる沿線自治体と住民。今後、国側は1年半の工期の遅れを短くできないか検証委員会で議論し、2020年12月上旬までに対応策をまとめることにしています。

(12月2日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

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