MBS 毎日放送

ミント! ミント!

毎週月~金曜日 ごご3:49~放送関西のニュースは毎週月~金曜日 ごご4:30~放送

特集記事

【特集】嗚呼!京都大学応援団 飛沫飛ぶ大声封印...『拍手』に万感の想い乗せ 団長4年目の模索

2020年12月01日(火)放送

SHARE
Twitter
Facebook
はてなブログ
LINE

返事は「押忍」のみ。独特の厳しい環境で日々鍛錬に励む集団、それが応援団だ。しかしコロナ禍にあって飛沫が伴うとして、あの絶叫エールができない。かつてない困難に直面したまま、京都大学の応援団団長が引退を迎えようとしていた。

京都大学応援団の団長「大きな声で叫びたい」 変化した「応援」

関西学生野球、京都大学対同志社大学の一戦。スタンドには京大応援団の姿もあった。ただ…マスク姿の彼らから、応援団特有の叫びにも似た声援が送られることは…ない。コロナ禍で「応援」の在り方も変化を余儀なくされている。
1b'.jpg
京都大学では2020年4月以降、課外活動が禁止された。応援団も例外ではなく、対面での練習が再開となったのは2020年10月に入ってからだ。しかし、飛沫感染を防ぐため、大学は大きな声を出す練習は認めなかった。

(京都大学応援団 森谷勇志団長)
「喉がなかなか弱くなっているなというのが自分の思うところ。やっぱりもどかしいというのが一番です。大きな声で叫びたいです。」

64年の伝統を持つ京都大学応援団。第64代団長を務めるのは農学部4年の森谷勇志。ブラスバンド部、チアリーダー部、そして花形のリーダー部、全18人を束ねる。なぜ応援団に入ったのか尋ねた。
1c.jpg
(森谷勇志団長)
「最初に行った新歓が応援団の新歓だったんですが、そこで見た先輩の姿がかっこよくて、こういうふうになりたいなと思って、応援団に気づいたら入団していました。厳しい状況でも応援をするだとか表情を崩さない強い意志を持つという応援団特有の精神的なところが、一番学べたし、成長できたかなと思います。」

ここ3年新入部員がいない「花形のリーダー部」

京大応援団が誇るのは、脈々と受け継がれてきた第一応援歌「新生の息吹」。しかし今、コロナ禍に加え逆風が吹いている。花形のリーダー部にはここ3年、新入部員がいない。部員は団長含め2人だけだ。

(森谷勇志団長)
「リーダー部の特有の厳しい世界でいうと、先輩から受け継いだものをなんとか後輩にも受け継いで、強い京大リーダー部というものを残したい。」

そう、応援団は上下関係が絶対だ。その厳しさは他に例をみない。上級生に直接話しかけることすら出来ない学校もある。京大はどうなのだろうか?この日、団長の森谷らは喫茶ケニアを訪れていた。

(森谷勇志団長)
「練習後だと『ごっつあん』と言って、ご飯に行くことが多いというか毎回行く。な!」
(ブラスバンド部3年 岡部俊)
「押忍!(Q暴力は?)ないです。昔の話で聞くことはあります。うちは昔も今もないですけど、都市伝説レベルで聞くことはあります。」

オンとオフを分けるのが京大流のようだ。

Q:森谷団長のキャラクターは?
 (リーダー部4年 竹内瑛祐)「面倒見、良いと思いますよ。」
(ブラスバンド部3年 岡部俊)「日ごろから、こういう風にしたいと応援のことを考えていて、私たちも感化されるような、そういう存在だと思います。」

コロナで思うように活動ができず、SNSでアメフト部などに向けて動画配信するなど、今できる形を模索し続けた。

気合の入った「拍手」で野球部を応援

10月、主催者側の方針で、やっと4年生のみ野球部の応援参加が可能になった。ただし、ここでも大きな声を出すことは禁じられ、数少ない応援手段のひとつが「拍手」だ。拍手といっても気合の入った方法があるという。
3b.jpg
(森谷勇志団長)
「声を出したいところなんですけど、そこはぐっと抑えて、その気持ちを拍手に乗せて選手に伝えようと思います。普通拍手は空気を含ませて叩くと、空気が破裂する音で鳴るんですけど、特にリーダー部の拍手はそうではなく、手のひらで音を出す感じの音になる。そうすると、鋭い音が出る。力強い音を出すことができます。」
3d.jpg
この日は4年生揃って最後の野球応援だった。拍手に万感の想いを乗せた京大応援団。しかし、応援むなしく、関西学院大学に負けてしまった。

最後の花舞台にむけ…自宅で練習

このまま引退かと思われたが…団長・森谷は自宅で独特の発声練習に励んでいた。タオルを小さくたたみ、それで口元を抑え、歌っている。

(森谷勇志団長)
「家で声を出そうとしたらこれぐらいしかないので。ポピュラーといったらそうではないと思うんですけど、工夫するとしたらこれくらいという感じですね。」

例年11月に演舞を披露する学園祭も、2020年は延期となったため、自分たちで会場を借りて集大成の舞台を用意したのだ。

(森谷勇志団長)
「何かしら私たちの演舞演奏をやっている姿を見て、少しでも勇気づけられたり、元気が出たと思ってもらえたりするようなものを作り上げたいと思っています。」

「本気の応援」この1年を、4年を、ぶつけた本番

そして、本番当日の11月23日、会場は京都市東部文化会館。袴姿の森谷は大声で応援ができなかったこの1年の想いを、ぶつけた。そして、京大伝統の応援歌「新生の息吹」も披露された。

(森谷勇志団長)
「人のために本気になれるってなかなかないと思うんですけど。本気の応援というのを通すと、自分のためじゃなくて人のために何かできる。4年目はなかなか活動は出来なかったんですけど、その中でも最大限、自分のやるべきことはできたかなと思います。」

(12月1日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

最近の記事

バックナンバー