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【特集】マスクをつけ出産~ある家族のコロナ禍の出産記録~ 「地域の出産を守る」病院のジレンマ

2020年11月18日(水)放送

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日々誕生する新たな命。ただでさえ困難が伴う“出産”に、いまは感染という不安まで付きまといます。そんなコロナ禍での出産に挑んだある家族の記録です。

赤ちゃんの誕生を楽しみに待つ家族

10月31日に取材したのは、兵庫県明石市に住む池町万梨子さん(34)。夫の俊彦さん(37)と2歳3か月の俊亮ちゃんの3人で暮らしています。そしてもう一人。
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(池町万梨子さん)
「今もう妊娠10か月になりました。ただただ待ち遠しい。」

池町さんのおなかには新たな命が宿っていて、出産予定日は8日後に迫っていました。

(池町万梨子さん)
「おなかの子のことを『ポッポちゃん』と呼んでいて。(俊亮ちゃんが)いつも『ポッポちゃん』と言って、おなかを撫でてくれます。」

もうすぐお兄ちゃんになる俊亮ちゃんも、赤ちゃんの誕生を楽しみに待っています。

妊娠発覚の翌月に『緊急事態宣言』 妊娠を悔やんだことも

妊娠がわかったのは2020年3月のこと。未知のウイルスが世界中で感染拡大し始めた頃です。妊娠発覚の翌月には『緊急事態宣言』が発表され、妊娠したことを悔やむことさえ、あったといいます。

(池町万梨子さん)
「得体の知れないコロナウイルス。自分がもし感染した時に、自分は良くても赤ちゃんがどうなっていくんだろうと。ずっとネットで調べたり、ニュースを見たりしていたんですけど、それが逆に不安になったり。この子(俊亮ちゃん)と2人で日中過ごすのも、自分も体も気持ちも不安定な時に、家も出られない、出たら何があるかわからない…怖かったですね。なんで今妊娠したんやろうな、なんでこんなコロナなんやろうな、大変やな、というようなことは…すごく、落ち込みましたね。」

厚生労働省の緊急調査によりますと、2020年5月~7月の妊娠届の届け出件数は、2019年の同時期に比べて11.4%減っているといいます。妊娠・出産に対して不安を抱える人が増えていることが伺えます。

「妊婦さんにもマスク着用」母子の命を守るための対策

池町さんが出産する予定の「あさぎり病院」(兵庫県明石市)。母子の命を守るため、コロナ禍での分べんはいくつかの対策を講じています。

(あさぎり病院 産婦人科 田中あゆみ診療部長)
「どんな妊婦さんも『もしかしたら新型コロナウイルスにかかっているかもしれない』という前提で、(分べん時は)個人防護具をスタッフ全員がきちんと付けた上で、しかも妊婦さん自身にもマスクを着用してもらう形でお願いしている状況です。」
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出産時にはマスクを着用してもらうほか、分べん台にはビニールカーテンを設置しています。

(田中あゆみ診療部長)
「分べん台でマスクをして頑張ってもらうけど、どうしてもの時にマスクを外していても、ビニールカーテンで一応、飛沫を何とか抑えるみたいなことで。」
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あさぎり病院では、2020年7月下旬から、家族1人のみ出産時の立会いを認めています。しかし、日本産婦人科医会などが2020年10月に公表した調査結果では、現在も立ち合い分べんを中止している病院が50%以上、産後入院中の面会を制限している病院も80%以上となっています。

万一を考え対策…病院の葛藤

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車で病院にやって来た池町さん。出産前の最後の検診です。ただ、院内に入れるのは妊婦のみです。

(俊亮ちゃん)「しゅんくんしゅんくん、しゅんくんも~」
(万梨子さん)「じゃあ、いってきます。」
 (俊彦さん)「は~い、またね。」

(万梨子さん)「いつもさみしそう…。」
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年間1000件程度の分べんを受け持つあさぎり病院。苦渋の選択でした。

(あさぎり病院 産婦人科 田中あゆみ診療部長)
「すごくジレンマですね毎日。本当はもっと今までと同じような対応ができたらいいんだろうなとは思うのですが、それをやって万が一、やっぱりここの診療を止めなきゃいけないとなってしまうと、地域の出産を守るという意味でも、絶対そこ(分べん)は止められない、止めないようにしないといけない。」
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検診を終え、病院から出てきた池町さん。

(Qどうでしたか?)
「(エコー写真を見せて)きょうは顔を見せてくれました。」

厳しい環境が続いていますが、赤ちゃんは順調に大きくなっていました。

赤ちゃん誕生の瞬間

それから5日後の11月5日。

(池町万梨子さん撮影の動画)
「今から病院に行きます。(午前)5時半です、陣痛は(午前)3時くらいから来ていました。」

病院に到着し、車いすに乗って分べん室へ向かいます。
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夫の俊彦さんが立ち会う中、池町さんはマスク姿のまま痛みや息苦しさに耐えます。その約1時間後…

  (助産師)「赤ちゃん見えますか?おめでとうございます!6時24分。」
(万梨子さん)「良かった…。」
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元気な男の子が無事誕生しました。「恒城(こうき)」ちゃんと命名されました。

 (俊彦さん)「はじめまして。」
(万梨子さん)「おうちに帰ったらね、お兄ちゃん待っているよ。かわいい~。」
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長男の俊亮ちゃんが弟と会うのはお預け。産後5日間の入院中は家族も面会禁止なのです。

そして11月10日、待ちに待った退院の日。

(俊亮ちゃん)「いこ。」
 (俊彦さん)「え、まだやで。俊くんは入られへんで、俊くん入れない。」

入院中の俊亮ちゃんの様子を聞くと…。
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 (俊彦さん)「大変でしたけど、思ったより(俊亮ちゃんが)泣かなかったので。本人が頑張ったんだと思うんですけど、全然『ママ、ママ』言わず。パパとばあばやな、俊くん。」
(俊亮ちゃん)「パパとばあば。」

そして…
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(俊亮ちゃん)「ママ」
(万梨子さん)「俊くん~。帰ってきたよ。赤ちゃん、ポッポちゃんだよ。」
 (俊彦さん)「俊くん、誰やった?」
(俊亮ちゃん)「こうきくん。」
(万梨子さん)「そう、こうきくんだよ。お留守番ありがとうね、俊くん。」

やっと家族4人がそろいました。

(池町万梨子さん)
「兄弟のふれあいを見ると、元気で生まれてきてくれて良かったと思いましたね。家族が増えるってこんなに幸せなんだって思いました。」
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ただ、これからも感染に気を付けながらの育児となります。

(池町万梨子さん)
「やっぱりまだ、出産は終えたんですけど、コロナは収まっていないので。これから新生児との生活、お兄ちゃんとの生活で、まだまだ気を付けていかないといけないですし…。気を抜けないなと思います。」

(11月17日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

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