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【特集】「子どもたちの居場所守りたい」経営苦慮するブラジル人学校 コロナ禍で親の収入減少し「月謝滞納」「退学」相次ぐ

2020年10月14日(水)放送

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約1万人の日系ブラジル人らが暮らす滋賀県。その子どもたちの居場所となっているのがブラジル人学校です。運営費の大半は月謝で賄っているのですが、月謝の滞納や退学する子どもが増えるなど、コロナが学校経営を直撃していました。

日系ブラジル人らが通う『日本ラチーノ学院』

「ボンジーア!(おはようございます)」

教室に響き渡るポルトガル語。ここは滋賀県の東近江市にある1歳児~高校3年生まで日系ブラジル人を中心に約180人が通う『日本ラチーノ学院』です。授業のカリキュラムはブラジルに合わせ、教科書もブラジルから取り寄せています。
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もちろん日本語の授業もあります。日本の公立学校に通ったものの言葉や文化の違いから不登校になるケースがあり、ラチーノ学院はそうした子どもたちの居場所になろうと、2000年に開校しました。
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(9年生(中学3年生))
「すごく楽しいです。みんな知っているし友達もいっぱいいます。(Q学校好き?)うん、大好きです。」
(9年生(中学3年生))
「(日本の学校では)勉強する時にみんな静かになって、先生が言っていることを聞いて。私はブラジル人だから、ちょっとわかりにくかった。こっち(ラチーノ学院)に来たらもっと楽しい。」

約1万人の日系ブラジル人らが暮らす滋賀県。産業の4割を製造業が占めていて、彼らの大半が工場などものづくりの現場で働いています。そこに新型コロナウイルスが直撃しました。

学校運営費の大半は「月謝」 滞納相次ぎ退学する人も

日本ラチーノ学院事務局長の鳥越さつきさん(44)。鳥越さんの長男もラチーノ学院に通っています。日系ブラジル人の経済的な困窮は深刻だといいます。

(日本ラチーノ学院 鳥越さつき事務局長)
「今年のコロナが始まった2月くらいから28人くらいが学校を出ています。地域の小学校に行ったお子さんもいますし、ブラジルへ帰りますって帰った家族もたくさんいます。(日本の学校では)言葉がわからないので、引きこもっている子とかもいるんじゃないかと、常に懸念しています。」

そして学校の運営にも影響が出ていました。「準学校法人」であるラチーノ学院は運営費の大半を1人約3万円~約5万円の月謝で賄っています。ところが、コロナの影響で滞納が相次いでいるというのです。

(鳥越さつき事務局長)
「月謝を『待ってください』と言われても『じゃあ来ないでください』とは言えない。子どもたちはみんなここが居場所やと思っているので、それを守るために何とか学校の努力でやっていきたいと考えています。」

転校を選んだ家庭「『5月は仕事ない』と言われた」

経済的な理由から転校を選んだ家庭もあります。滋賀県甲賀市に住む日系ブラジル人2世の西本フミオさん(45)は3人の子どもたちをラチーノ学院に通わせていました。しかし…。

(日系ブラジル人2世 西本フミオさん)
「一番苦しいのは4月の真ん中くらい。会社で『5月は仕事ない』と言われた。今まで(日本に来てからの)30年で、リーマンショックでも仕事があったけど、そんなこと今までなかった。」

金属部品などを作る会社に勤める西本さんは今年春ごろから大幅に出勤日が減らされ、収入は以前の40%ほどになったといいます。

(西本フミオさん)
「例えば給料30万円もらっていたのが、13万円くらいに下がっていた。それで、ものすごく不安になっていた。何か考えても、何にも出てこない。」

収入の落ち込みにより、ラチーノ学院に通わせていた3人の子どものうち、三女のアキちゃん(9)を日本の公立小学校に転校させました。

日本の公立小学校に転校したアキちゃん 言葉がわからず…

ラチーノ学院を卒業している長女のイザベラさん(20)に、アキちゃんの転校について聞きました。

(イザベラさん)
「心配…。言葉のこと、あんまり(日本語を)話せないし。ずっとブラジルの学校(ラチーノ学院に)行ってたから。どういう感じになるのかと心配していました。」

日本の学校とラチーノ学院の違いをアキちゃんに聞きました。イザベラさんが通訳して聞いてくれます。

(ポルトガル語で話すアキちゃん)
「掃除とごはん。」

あまり不安は口にしないと言いますが、こんな出来事もあったそうです…。

(ポルトガル語で話すアキちゃん)
「先生に怒られても(言葉がわからず)返事ができなくて怖かった。」
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経済的にやむを得なかったというアキちゃんの転校。西本フミオさんは…

(西本フミオさん)
「毎日話している。うちの場合はみんな集まって、今の生活はこれくらいしかできないから、もうちょっと我慢してと。みんなわかっている…。」

月謝の滞納が300万円以上に

今年9月末までにラチーノ学院では月謝の滞納が300万円以上になりました。バスのリース代や建物の維持費など毎月約600万円の支出が重くのしかかります。

(日本ラチーノ学院 鳥越さつき事務局長)
「月謝も全く入ってこない状況になったら、(学校は)もって2か月だと思います。そうならないために一生懸命あちこち動きますけど…。」

緊急支援金約2000万円の支給決まる「月謝を下げて少しでもお手伝いしたい」

9月25日。これまで様々な団体に支援を呼び掛けていましたが、嬉しい知らせが届きました。8月に申請していた公益財団法人による緊急支援金約2000万円の支給が決まったのです。

(鳥越さつき事務局長)
「親御さんの生活が大変なのはわかっていたので、なんとかして月謝を下げて少しでもお手伝いしたいと思っていた時にこの話があったので、飛び上がるほど喜びました。皆さんを何とか協力して守りたいので、少しでも手助けできるならこんな幸せなことはない。」
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先が見えないコロナ禍で、子どもたちの居場所を守るため、支援のあり方を考える必要がありそうです。

(10月13日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

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