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【特集】「GoToトラベル」"観光業"救済のはずが...恩恵受けていない? なぜか聞こえる「嘆き節」 現場から見えた"ひずみ"とは

2020年09月29日(火)放送

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「GoToトラベルキャンペーン」で大阪の観光客数も回復傾向にあるようですが、取材を進めると恩恵を受けているはずの観光業界から、なぜか「嘆き節」も聞かれ始めています。現場から見えた、「GoTo」のひずみとは。

にぎわう嵐山 観光客「GoTo利用」

京都・嵐山。取材をした9月27日、多くの人で賑わっていました。

(観光客)
「(Qどこから来ましたか?)愛知県から来ました。(Qきょうは宿泊ですか?)宿泊です。Gotoキャンペーンを使って。(Q安くなりました?)結構安いです。」
(観光客)
「きのうから泊りで愛知から来ています。GoToキャンペーンを使って。(Qどのようなホテルに泊まりましたか?)リゾートホテルですよね。普段あまり行けないところかな。」

新型コロナウイルスで苦境に立つ観光業界を支援しようと、7月下旬からスタートした「GoToトラベルキャンペーン」。

(菅義偉首相 9月16日)
「Gotoトラベルについては7月のスタート以来、延べ1300万人の方にご利用いただきましたが、利用者の感染者は10人にとどまっています。」

菅義偉首相が官房長官時代に推し進めた“肝いり政策”とされ、就任会見でも成果を強調。ただ、こんな側面も見えてきました。

「ゲストハウス」GoToキャンペーンに参加するも「人が流れてこない」

京都市上京区にあるゲストハウス「日暮荘」。築90年の京町屋を1000万円かけて改修し、日本文化を体験できる宿として外国人観光客に人気でした。部屋を見せて頂きました。
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(日暮荘 山畑真理オーナー)
「庭を見ながらゆっくりと過ごしていただける6畳の部屋です。週末だったんですけど、残念ながらご利用いただくお客さんがいなくて、空いている部屋です。」

4月から9月までの客室稼働率は1割にまで減少しました。そこで「日暮荘」もGoToキャンペーンに参加。ホームページ上でもPRし、期待を寄せていましたが…。

(山畑真理オーナー)
「(QGoToキャンペーンでの予約は何件ですか?)今までで3件です。かなり少ないです。1泊当たりの料金が1人4000円くらいの宿なんですけど、35%オフになったとして1400円。うちらみたいな価格帯の宿には、あまり人は流れていないと感じています。」
2c.jpg
9月の予約はシルバーウィーク中のわずか5件だけ。GoToの恩恵はもともと安いゲストハウスなどではなく、割引額が大きい高級旅館やホテルに集中しているのです。

たった数か月前まで宿泊客で賑わい忙しい日々でしたが、最近は日中に庭の草むしりをすることも。

(山畑真理オーナー)
「お客さんが多いと、こんな所まで手をかけられないですが、今だからこそゆっくりできる。将来に向けて考えられるのは確かにあります。」

現在も賃料や人件費などの固定費がかかるため、毎月の赤字は50万円に上ります。

(山畑真理オーナー)
「ひとまずは今年いっぱい乗り切ることを考えていて、来年の春以降に先々どんな感じに見えてくるのか期待はしているんですけども、その時点でいろいろ判断をしたいと思っています。」

代理店は一時的に“割引分”を立て替え 3か月で“300万円”にも

一方、旅行代理店ではキャンペーンの効果はどうなのでしょうか。9月25日に大阪市東住吉区にある「摂陽観光」を取材しました。4月からの3か月間、売り上げはほぼゼロでしたが、GoToキャンペーン開始以降、売り上げは順調に回復。ところが…。

(摂陽観光 藤原雅彦社長)
「来店客数もすごく増えました。GoToキャンペーンの影響なのかなと思います。お客さまさえ送客すれば、客への還元もできて、私たちの売り上げも増えて収益が上がると。夢みたいな話と思っていたんですけど、やはりちょっと違うのかなって。」

「GoToトラベルキャンペーン」は事業者ごとに予算を割り当てた上、旅行代金の35%、もしくは1人1泊1万4000円を上限に割引きするものです。代理店は一時的に割引分を立て替えて負担し、宿泊施設や交通機関などへの支払いを行います。その後キャンペーン事務局に申請し、後日立て替え分の振込を受けます。

藤原さんは申請後、約1か月で立て替え金が振り込まれると説明を受けたということですが、7月分の立て替え金約33万円は未だに振り込まれていません。さらに、8月と9月分も合わせると立て替え金は約300万円に上り、このまま振り込みが遅れると経営上、死活問題だといいます。

(摂陽観光 藤原雅彦社長)
「うまく資金を回転させるにも入金がない。あてにならない入金はめちゃくちゃ怖い。『誰がこのお金を立て替えているの?』ということを考えて頂きたい。やはり末端の中小旅行業者ですよ。これで潰れたらどうするのって。」

立て替え金は一体いつ? 売り上げが上がるほどに“苦しい”

事務局側の手続きが滞っているという指摘も。団体旅行を中心に取り扱う京都市北区の「アイレックストラベル」では、7月と8月の立て替え分約20万円が未だ振り込まれていません。さらに9月分については…

(アイレックストラベル 中村佳史社長)
「100万円弱ぐらいあるかな。このままいくと11月の中旬に振り込まれるという予定だと思うので、2か月間、中小の旅行会社が100万円を立て替えることになるので、大変なことになります。」

立て替え金は一体いつ振り込まれるのか。9月25日には7月分について、新たに提出書類が必要になったとメールが来たといい、期待は持てそうにありません。さらに。

(中村佳史社長)
「修学旅行をメインにしているところ(業者)なんですけど、GoToトラベルでの立て替えのために、金融機関に何百万、何千万になるかわかりません。そのお金を金融機関に(融資の)相談をしているよ、と言っている。旅行会社を助けるためのGoToトラベルキャンペーンが、売り上げが上がるほど、自分の首を絞めていかないといけないのかなと。」

専門家「中小の事業者にしわ寄せ」

観光政策などに詳しい専門家は、GoToトラベルキャンペーンは一定の成果はあったものの、中小の事業者にしわ寄せが出ていると指摘します。

(京都府立大学 宗田好史教授)
「あまりにも迅速だったので、業界の複雑な構造を理解しないままスタートしたことに大きな原因があると思います。旅行業界、特に中小事業者の方が多いですよね。代理店も宿舎にしても。そこへ早く、お金が流れていくような仕組みにまではできなかった。」

国土交通省は中小の旅行業者や宿泊施設に割り当てる予算枠を増やす方針ですが、立て替え金の振り込みが滞ったままだと現場の負担は増すばかりです。

(9月29日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

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