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【特集】風光明媚な観光地に"爆音""水しぶき"...地元悩ます「水上バイク」を規制できないワケは?

2020年09月28日(月)放送

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水面を気持ち良さそうに走行する「水上バイク」。しかし、京都の天橋立や滋賀の琵琶湖などの観光地では、一部のマナーの悪い水上バイクによる騒音などに長年悩まされています。なぜ、規制することができないのでしょうか?

神聖な鳥居をくぐる水上バイクに宮司も困惑

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鳥居が琵琶湖にある白鬚神社(滋賀県高島市)。日本遺産にも登録され、普段は厳かな雰囲気が漂っています。しかし、水上バイクが次々と鳥居の下を通過し、取材班が9月20日に確認しただけで、わずか1時間で19台もくぐっていきました。

(白鬚神社 梅辻春樹宮司)
「鳥居からこちら(神社)側は神域になるので、乗り物に乗ったまま鳥居はくぐるものではないと私は思います。」
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鳥居には、2年前に水上バイクが接触して損傷したとみられる大きな傷があり、今も修復されずに残っています。しかし、このエリアでは水上バイクの航行が“禁止されていない”ため、打つ手がないといいます。
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(白鬚神社 梅辻春樹宮司)
「規制区域にしようと思うと何mかおきにブイを並べるみたいなんです。それがかえって景観を損ねるのではないかと。けれども、ブイが並ぶよりも、水上バイクで通ってほしくないという思いのほうが強いですね。」

神聖な場所を脅かす不届き者たち。水上バイクに悩まされているのはここだけではありません。

天橋立を爆音で爆走する水上バイク 観光客も困惑

日本三景の一つ、京都府宮津市の天橋立。船が通るたびに90度旋回する「廻旋橋」は人気の撮影スポットにもなっています。

(観光客)
「景色がきれいで自然でゆったりできるから良いなと思います。」

そんな、風光明媚な景観が一変します。

遠くから聞こえるエンジン音。近づいてくると“爆音”へと変わります。大きな水しぶきをあげれば…大音量で音楽を鳴らす水上バイクも。観光客は…

(観光客)
「これはあかんわ。」
(観光客)
「岸まで近くに寄って水をかけていくじゃん。あれ危ないよね。」

インタビューをしている最中にも水上バイクが通過していきました。

(観光客)
「あれは危険ですね、すごく。ホテルも(海の)すぐ横にあったんですけど、結構音もすごいので。景観とはちょっと合わない感じがします。」

さまざまな被害…修理した橋にも“錆”

10年以上も前から、水上バイクが大音量で音楽を鳴らして水しぶきをあげながら暴走するなど、地元は悩まされてきました。

(天橋立観光協会 幾世健史副会長)
「騒音だったりとか、潮が高い時に波しぶきで植木に水がかかったりとか、通行のお客さんに水がかかってしまうとか、そういった被害もありました。」
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6年前に修理されたという「廻旋橋」も…。

(幾世健史副会長)
「これって見えますか?錆が真ん中あたりに。」

水上バイクの水しぶきで「廻旋橋」に錆が発生するなど、深刻な被害を受けています。

「自主ルール」定めるも…ルールを守らない水上バイク

こうした事態に地元では2020年7月に水上バイクについて『自主ルール』を定めました。自主ルールでは、沿岸から50m以内の場所や「文殊水道」と呼ばれる廻旋橋の下を流れる幅約30mの水路では、▼波が立たない時速8km以下で走行し、▼騒音や音楽を鳴らさないよう、決められました。

地元では、ビラを配るなどして自主ルールを守るよう呼び掛けていて、速度規制のエリアに入ると波が立たないように静かに走行する水上バイクの姿もあります。しかし、あくまで“自主規制”で罰則がないため、ルールを守らない水上バイクもいます。

(記者リポート)
「狭い文殊水道に水上バイクが並んで走行しています。歩道に人が歩いていますが、水しぶきをあげて水上バイクを運転しています。」

「文殊水道」では、観光船や漁船なども航行していて、2年前には水上バイクと観光船が衝突する事故も発生しました。
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観光船会社も憤っています。

(観光船会社)
「船が出航する際に、船の前方や後方に(水上バイクが)立ちふさがる行為で、船が走れないような状態もあります。周辺に水上バイクがいるかを気にしながら、安全に運航するために船長も気を配っています。」

「自主ルール」のため「注意するのが精一杯」の海上保安庁

文殊水道では、土日になると海上保安庁も出動して目を光らせていて、水上バイクへの声かけも行っています。

 (海上保安庁)「観光船の前を横切らないようにしてください。」

音楽をかけている水上バイクが現れました。

 (海上保安庁)「天橋立付近は音楽ダメで時速8km未満で。」
(水上バイカー)「ああ、徐行やね。」

2019年からは、水路が狭い文殊水道に対応すべく、ゴムボートを導入してパトロールに当たっていますが、宮津海上保安署の寺井幸一次長に話を聞くと…
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(Q自主ルールができてから苦情は減った?)
(寺井次長)「変わらないですよね。『声をかけたけど全然聞いてくれない』という苦情もあります。」

自主ルールがあっても、航行禁止区域ではないため、厳しく取り締まることはできず、“注意”するのが精一杯だといいます。

(寺井次長)
「遊んでいるところをわざわざ邪魔するようなことはできないですね。原則、船はどこを走っても航行は自由なので、マナーを守ってというか、事故のないように安全な速力でやっていただければと。」

地元は厳しい規制求めるも…京都府は「消極的」

自主ルールでは解決しない水上バイクの問題。地元からは厳しい規制を求める声があがっていますが、京都府は「本来、海は自由航行であるため『事故が絶えない』などの合理的な根拠がないと禁止区域にすることは難しい」として、規制強化には消極的です。

(天橋立観光協会 幾世健史副会長)
「これがずっと続くということで、ある程度ルールを定めないと難しいのではないかと、地元としては思っています。ここは本当に神聖な場所で穏やかな場所なので、みなさんが楽しめるようなエリアになることを願っています。」

観光地を悩ませる水上バイクのルール違反。ひとりひとりのモラルが問われています。

(9月28日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

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