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【特集】誰が何のために?"子牛"や"子豚"の窃盗相次ぎ関西の牧場も警戒 SNS上には"豚に関する"投稿が

2020年09月25日(金)放送

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子牛や子豚が盗まれる事件が北関東で相次いでいます。数多くのブランド牛を抱える関西の畜産農家も危機感を強めていますが、厳しい管理体制のもと、盗んだ牛や豚を販売することは不可能だといいます。一体、誰がどこへ何のために盗んだのでしょうか。

ぐったりした子牛を運ぶ姿がカメラに…

今年8月22日、栃木県足利市で、暗闇にまぎれて2人組が子牛を運ぶ盗難の様子が防犯カメラに記録されました。映像では、ぐったりした子牛の前後の足をつかんで車に押し込んでいます。

(被害にあった「鶴田ファーミング」 鶴田一弘社長)
「(盗まれたのは)子牛です、生まれて2か月弱くらいの。ものすごく価値があるので残念な気持ちです。」

さらに、群馬県前橋市の養豚場では約50頭の子豚が盗まれるなど、今年に入り北関東を中心に家畜の盗難が相次いでいるのです。
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ブランド牛を数多く扱う関西でも関係者は怒りや危機感を強めています。9月18日に兵庫県の淡路島で開かれた「子牛の競り市」で畜産業者に話を聞くと…

(畜産業者)
「怒りを覚えるな。」
「あんなの考えられない。ちょっとやばいなと思う。」
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ただ、疑問の声も…

(畜産業者)
「正規の屠場とかで処分しない限りは肉として流通してお金になることはないと思いますよ。肉としての流通は無理だと思う。ルート的には。」

“10桁の番号”で生産者情報などを管理

国内では子牛の段階から耳に“10桁の番号”が書かれたタグがつけられます。これは「個体識別番号」と呼ばれています。個体識別番号では生産者の情報などが管理されているため、登録者以外が取り引きすることはできないというのです。
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神戸市のスーパーを訪れると、精肉売り場では、確かに、卸した和牛に個体識別番号を含む証明書がありました。流通のどの過程でも個体識別番号による確認が行われるため、盗品の牛がつけ入るスキはないといいます。

(いろは精肉店 松本茂吉代表取締役)
「ちゃんと(個体識別番号の)10桁番号が記載されています。(Q番号がついていない肉を買うことはある?)それはもう我々の中ではそんな流通は絶対ないです。」

“数十kg”ある子牛を「素人」が運ぶのは難しい

兵庫県丹波篠山市の牧場に話を聞きました。こちらでは但馬牛を200頭あまり育てています。
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牛舎内には監視カメラを取り付けていて、スマートフォンを使えばライトをつけるなど遠隔操作が可能です。牛の分娩の様子を見るために取り付けたものですが、今は防犯用も兼ねています。

(兵庫田中畜産 田中久工社長)
「アプリで自分たちの牧場の様子が一目瞭然で24時間見られる。僕らにとってはお守りであって、ものすごく安心ができる。」
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関東で頻発する盗難事件について、田中社長は、盗む手際の良さから畜産の知識があるとみています。というのも、子牛でも数十kgの重さで、暴れることもしばしばあり、素人が運ぶのは難しいからです。了解を得て、記者が子牛を持ち上げようとしても…

(記者リポート)
「生後10日ほどで重さ30kgということなんですが…全然持ち上がりません!」
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(田中久工社長)
「一般の人が夜中に牛舎に入ってきて、近寄れます?ちょっと怖いでしょ。スタンガンだったら可能性はありますね、失神させる。こういったところに平気で入れる人じゃないと無理やと思います。」

寝る間を惜しんで「夜回り」する牧場

9月26日、近江牛を育てる滋賀県近江八幡市の牧場でも話を聞きました。関西では被害が確認されていないものの、牧場長は危機感をあらわにしています。こちらでは、深夜になると牧場のスタッフが交代で夜明けまで何度も「夜回り」をしています。
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夜回りに同行させてもらい、牛舎に入ると…歌謡曲が流れていました。

(亀井牧場 松下真矢副牧場長)
「(Qこの音楽は?)音をかけることで誰かいるかなと思って警戒してもらえたら。(牛泥棒の)ニュースを見て、ぼくらもびっくりやし、なんで牛を盗むねんと。」
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歌謡曲は1300頭の牛を守るための秘策でした。寝る間を惜しんで夜回りする日々。牛は近江牛という商品としての価値はもちろん、自分たちの子どものような存在だといいます。

(亀井牧場 中村光之介牧場長)
「乳を飲ませて、下痢したら薬を飲ませて、熱が出たら先生に診てもらって、体温計で毎日測ってということを繰り返していくので、気持ちとしては自分の子どもと同じように愛情を注ぐしかない。(Q牛の窃盗の映像を見てどう思う?)悔しいですね。無念だし。いつ関西地区に来るのか。滋賀県の近江牛、京都にもありますので、そこを狙いに来たら嫌だねと。」

盗んでも流通させることは難しいとされる家畜。一体、誰が何のために盗んでいるのか。

SNSに「焼かれた豚を売る」の投稿

そんな中、SNS上で、ベトナム語で「焼かれた豚を売る」とした書き込みが見つかりました。

【8月6日の投稿 フェイスブックより】
「子豚の丸焼き。内臓やハーブもつけます。」
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関係者によりますと、関東地方で子牛や豚が盗まれる被害が続出した8月にベトナム人コミュニティーでこうした投稿が相次いだといいます。

(投稿を見た日本在住のベトナム人)
「(Q豚はいくらくらいで売られていた?)投稿のように、7kg~9kgは1万9000円です。投稿された時間と日本のニュースで話題になっていた時間がほぼ同じなので、盗まれた子牛と豚の事件と関係があるかなと。」

9月25日現在、こうした投稿は大半が削除されています。家畜を狙った非道な窃盗事件。警察はSNSの書き込みと事件との関連を捜査していますが、畜産農家の不安な日々が続きます。

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