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【特集】"透過"がポイント!土砂災害防ぐ...注目の『改良型砂防ダム』とは?流木対策に新発想

2020年09月23日(水)放送

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大雨による土砂災害を防ぐために全国1万か所以上に設置されている『砂防ダム』。近年の想定を超える豪雨で機能しきれなかったケースもありましたが、今、課題を克服した“新しい形の砂防ダム”に注目が集まっています。

土砂災害に特化した「砂防ダム」

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急峻な地形が続く兵庫県の六甲山。車を降り、山道を20分歩いた先にあるのが…

(六甲砂防事務所 西村信彦副所長)
「砂防ダムです。高さは30m、幅は78mです。」

『五助堰堤』は土砂災害に備えるため造られた砂防ダムです。神戸市東灘区を流れる住吉川の上流に1957年に建設されました。

(六甲砂防事務所 西村信彦副所長)
「昭和42年の大雨災害の時に、一晩で12万立方メートルの土石流を止めています。(Qもし砂防ダムがなかったら?)下流側がもっとひどい災害を受けていたと思います。」
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一般的な大型ダムは、川の水をせき止めて、農業用水や発電などに利用したり、大雨時の氾濫を防いだりする役割があります。

一方、渓流に設置される砂防ダムは、全国1万か所以上とされ、大きさこそ様々ですが、土砂災害の防止に特化しているのが特徴です。大雨で山の斜面が崩れた際に発生する土砂や流木を食い止めて下流の町を守る役割があります。
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ところが、2018年の西日本豪雨。死者・行方不明者が240人以上に上り、特に広島県は甚大な被害を受けました。土砂崩れで発生した流木が下流の橋桁に引っかかるなどして、せき止められた水があふれ出しました。この川の上流には砂防ダムがありました。しかし、大量の流木を受け止めきることはできなかったのです。

西日本豪雨で甚大被害…「砂防ダム」で防げなかったものは?

あの日、砂防ダムでは何が起きていたのか。河川工学を専門とする立命館大学理工学部の里深好文教授の協力で、実験を行いました。

(立命館大学理工学部 里深好文教授)
「上流から水を与えて土石流化させて、その土石流が流木と一緒になって流れ下って、この構造物のところでうまく止められるかどうかを見る。」

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まず、土砂と流木に見立てた小石と木を混ぜあわせます。そして、“砂防ダムに見立てた板”に向けて一気に水とともに流します。すると、“砂防ダムに見立てた板”は小石は受け止めましたが、木は軽いため板の上からあふれる水に流され、次々と乗り越えていきます。

(立命館大学理工学部 里深好文教授)
「流木は土砂よりも軽いので、水に浮いたり取り込まれたりして、流木はどんどん越えいってしまう。ここまで流木で被害が拡大するのが明らかになったのは、この10年くらい。」

「透過型砂防ダム」流木含んだ土石流を受け止める

課題が浮き彫りになった一方、注目を集める砂防ダムが兵庫県宍粟市にあります。

(兵庫県龍野土木事務所 鶴野聡副所長)
「これが“透過型砂防堰堤”という砂防堰堤です。」

高さ10m以上ある『小野川堰堤』。鉄製の管が格子状に組まれています。「透過型砂防ダム」と呼ばれるタイプで、約1億5000万円かけて、2016年に完成しました。
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その2年後の2018年に西日本豪雨が発生しました。このダムの上流側でも土砂崩れが発生しましたが、約1万立方メートルもの流木を含んだ土石流を受け止めることができたのです。その結果、下流域では氾濫被害は起きなかったといいます。

(兵庫県龍野土木事務所 鶴野聡副所長)
「もしこれがなければ、かなりの流木と土砂が下流に流れていたので、下では橋に木がかかって、氾濫していたと思います。」

透過型砂防ダムは「想定外の事態にも一定の効果が期待できる」

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なぜ透過型だと流木を食い止められるのか。再び、立命館大学の里深教授に実験を行ってもらいました。

透過型砂防ダムに見立てた格子状の板をセットした上で、大量の小石と木を流してみると、ほぼ全てを受け止めることができました。透過型の場合、上から水があふれないため、ほとんどの木は格子にひっかかりました。小石もそれぞれがかみ合って、隙間をすり抜けることはほぼありませんでした。

(立命館大学理工学部 里深好文教授)
「流木が減れば、下流の橋で詰まって水があふれ返って住宅に、という可能性はうんと低くなる。想定外の事態にも、一定の効果が期待できる。透過型は不透過型にかわって今は土石流を待ち受ける主力選手になろうとしている。」

『都賀谷堰堤』透過型へ改良工事中

ただ、既存の砂防ダムはほとんどが従来の形で、透過型は圧倒的に少ないのが現状です。そこで…。

(六甲砂防事務所 西村信彦副所長)
「『都賀谷堰堤』の改築になります。」

従来の砂防ダムから透過型への改良が進められています。
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『都賀谷堰堤』は神戸市灘区を流れる都賀川の上流に1973年に完成しました。元々は開口部がない従来型の砂防ダムでしたが、流木などをしっかり受け止められるようにと、去年から透過型へ改良する工事が行われています。

(六甲砂防事務所 西村信彦副所長)
「お金は新設すると倍以上くらいかかるので、より効果的にするには改築していかないといけない。工事も改築の方が早いと思います。」
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今年度末には改良工事を終える予定ですが、想定外の災害が頻発する今、警戒心を解くことはできません。

(六甲砂防事務所 西村信彦副所長)
「想定外の雨は絶対に起こりうるので、(住民には)雨の情報を確認していただいて、避難を事前にしていただけたらと思います。」

(9月23日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

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