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【特集】『空飛ぶクルマ』2025年には完成!?「頭の中では飛んでいる」有志で集まり本気で取り組むエンジニアたち

2020年09月16日(水)放送

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夢のような乗り物が実現しようとしています。現在は4つのタイヤで地上を走行するクルマが…近い将来“空を飛ぶ”というのです。いわゆる『空飛ぶクルマ』は世界中で開発が進められていますが、神戸でも有志連合によるプロジェクトが進行しています。

神戸の山中で「空飛ぶクルマ」の開発に取り組む人たち

空飛ぶクルマの開発現場は神戸市西区の人里離れた山の中にありました。森本高広さん(41)は、輸送機器メーカーに勤めながら、仲間と空飛ぶクルマの開発に取り組んでいます。建物2階の作業場を見せてもらうと…

(スカイリンクテクノロジーズ 森本高広さん)
「“検証機”といいまして、開発している試験機です。」
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開発途中の空飛ぶクルマはケーブルなどがむき出しの状態です。まずは小さなサイズで、形状などを決めて、最終的に作業部屋くらいの大きさになるといいます。
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(森本さん)
「(完成すれば)時速400km、かなりのスピートです。日本の本州なら大体2時間以内でどこでも行ける。」

空飛ぶクルマに明確な定義はありませんが、“自動車が飛ぶ”というイメージではなく、▼電動▼自動運転▼滑走路が不要、などが特徴とされています。

2040年には市場規模が160兆円を超えるという試算もあり、『空の移動革命』を巡り、世界で熾烈な開発競争が繰り広げられています。
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トヨタ自動車の出身者が立ち上げたベンチャー企業は、人を乗せた飛行試験に成功しました。

有志で参加する仲間 装置の多くは手作り

一方、森本さんが一緒に開発を進めるのは、有志で集まった約40人の仲間です。

(有志で参加するエンジニア)
「人によっていろいろですが、フェイスブックで知り合ったり、(森本さんの)講演を聴いて集まったり。こういうのに興味を持つ方は何らかのものに自信のある方が多いので。」
(有志で参加するエンジニア)
「うまい具合にいろんな人が集まって、得意分野がずれていて、うまく補完しあっている。」
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そのため、作業はおのずと土日や仕事終わりが中心です。時間は限られていますが、自分たちのイメージするものを形にするため、装置の多くは手作りです。

(森本さん)
「世の中にないものは作ります。(Qここまでの開発費は?)ゼロいっぱいですよ。開発費ってほとんど人件費じゃないですか。そこを有志で無償でやっていただいているので、値段はつけられない。ということで“プライスレス”。」

2018年:初号機は1人乗りのグライダータイプ

2018年に初号機のテストフライトをする様子を見てみると、グライダーにエンジンがついた1人乗りタイプです。機体は大空を舞い、見事成功。しかし、離陸や着陸で距離を要することや、定員の数など、課題も浮き彫りになりました。

(森本さん 2018年)
「ここから制御できるようにして誰でも空を飛べるように仕上げていきたい。」

現在は“垂直離着陸・定員4人・自動運転”が目標

テストフライトを経てバージョンアップされたのが、現在開発を進めているタイプです。垂直に離着陸することで街中のヘリポートなどでも自在に利用できるのが利点です。定員は4人。スマートフォンで呼び出し、行き先を入力すると、自動運転で目的地まで連れて行ってくれる想定なんだとか。
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今は垂直離陸を可能にする羽根の部分をつくっています。

開発のきっかけは東日本大震災「モノづくりで何か役に立てることがしたい」

2025年の完成を目標に進めていますが、森本さんが開発に乗り出したきっかけは、2011年の東日本大震災でした。

(森本さん)
「津波のショッキングな映像を見て。その時は私は何もできなかったんですけど、自分はモノづくりしかできないので、モノづくりで何か役に立てることがしたいなと。」

津波による被害で道路が遮断され、緊急物資さえスムーズに運べない。そんな現実を見て、自由に空を飛ぶことができたら、こうした事態を打開できるのでは。そう考え、突き動かされるように取り組んできたといいます。

(森本さん)
「想像するものはいずれできる。もう頭の中では飛んでいるので。」

試験フライト「さらに調整必要」

取材した日、2週間ぶりにデータの収集のための試験フライトが行われました。安全面からワイヤーで高度を制限し、前回と設定を変えてどのような変化が表れるか、試します。万が一に備え、車の中から様子を確認します。

(森本さん)「回転数ゼロ了解、主電源ON」
(スタッフ)「上げていきます」

試験機が浮上しました。ですが、少し飛行が安定しないようです。一旦、試験機を止めますが、ピーピーと警告音が鳴っています。森本さん、試験機に駆け寄ります。

(森本さん)「いっぱい鳴っている。」
(スタッフ)「ほとんど鳴っている感じ?」
(森本さん)「うん」

(森本さん)「必死に訴えているので、あまりいい状態ではないですね。」
  (記者)「きょうは暴れた方ですか?」
(森本さん)「きょうは…そうですね。まだまだ…さらに調整が必要ですね。」

テスト飛行は貴重なデータ収集の場。情報の蓄積が次の改善につながります。

「必ず夢を形に」22の中小企業が参加する航空機部品のグループとタッグ

9月4日、森本さんの姿は神戸国際展示場(神戸・中央区)にありました。この日は森本さんにとって、とても重要な意味を持つ日でした。

(森本さん)
「上のスピードを狙って市場の価値というか競争力を出していく。」

これまで森本さんは個々で技術者らと繋がってきましたが、新たに22の中小企業が参加する航空機部品のグループとタッグを組むことになったのです。金属3Dプリンターを使った加工や特殊な表面処理など、それぞれに強みをもった地元のモノづくり集団との共同開発が可能となり、実現に向けた弾みと期待できます。

(会場で話す森本さん)
「提携が決まりましたということで、1歩踏み出すという内容を皆さんにお伝えできることを大変うれしく思います。」
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この日、連携協定が結ばれました。必ず夢を形にする。決意を新たにしたようです。

(スカイリンクテクノロジーズ 森本高広さん)「むっちゃ力強いパートナーなんで。」

(Q2025年までに完成できる?)
(スカイリンクテクノロジーズ 森本高広さん)「大丈夫です。」
(神戸エアロネットワーク 酒井誠会長)「やっていきましょう。」

完成目標まであと5年。神戸発の挑戦は新たなステージに入りました。

(9月16日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

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