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【特集】隣接住民が困惑の「マンション計画」...説明ないのに『説明会行った』と市に報告?市の対応にも不信感

2020年09月14日(月)放送

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突然のマンション計画で“ベランダからの眺めが失われる”と訴える住民たちがいます。事業者側から適切な説明がない中、「説明を義務付ける」としていた大阪市の対応についても不信感を募らせています。

距離1m…突如浮上した12階建てマンション計画

(岸本有加さん)
「建物の計画は看板があるんですけども、高さが12階建てでワンルームマンションのようなものが建つような計画になっています。」

大阪市中央区天満橋にある公園に隣接するマンションに住む岸本有加さん。そのマンションの南側の敷地に今、『12階建てのマンション建設計画』が持ち上がっているといいます。岸本さんは2年前に駅から近いという立地条件とマンションからの眺望を気に入り、この部屋を購入しました。
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(岸本有加さん)
「ここのベランダに出た時にすごく環境がいいなという印象を持ったので、それが(購入の)決め手になったというのも1つなんですけれども。一日中部屋の中が明るいといいますか、その辺のところもすごく気に入っているんです。」

南側には元々4階建てのマンションが建っていましたが、今年1月から突如、解体工事が始まりました。跡地がどうなるのか…その計画を知った時は驚愕したといいます。

(岸本有加さん)
「(ベランダから)たぶん1mあるかないかぐらいの距離に、一面壁になるような建物が建つと聞いています。怒るべきなのか悲しむべきなのか、ということすらも分からない。」
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岸本さんが住む部屋は南側にベランダがある中層階です。4階建てのマンションが建っていた時は影響を受けませんでしたが、12階建てのマンションが建つと、今の眺望はほとんど失われることになります。
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岸本さんは白いカーテンを閉めて…

(岸本有加さん)
「少なくとも明るさはこれくらいになる。」

ベランダからの景色が壁になるという受け入れがたい状況です。

「お知らせ」の紙1枚でマンション計画を知る

岸本さんがこうしたマンション計画を知ったのは、ポストに投函されていた事業者からの1枚の「お知らせ」でした。

【事業者から投函された資料より 一部抜粋】
『建築計画のお知らせ 鉄骨造 地上12階』

大阪市では高さ20m以上のマンションを建設する際には「建築計画事前公開制度」に基づいて、近隣の住民に対して「説明会などにより説明を行うことを“義務付ける”」とされていました。説明が行われていない場合は、建築許可が出ないことになっています。(※建築基準法では住民説明は義務付けられていない)
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しかし、岸本さんは…

(岸本有加さん)
「十分な説明というより、説明を一切受けたという意識はないです。」

「説明会」案内来たのは開催日2日前で平日の午後3時から 誰も参加できず

近隣住民らが適切な説明を受けていないにもかかわらず、大阪市は事業者側から『説明会を行った』などとする報告書を受理していたことが発覚しました。市に対して現状を訴えたところ、事業者側から今度はこんな案内が…。

【事業者から投函された案内より 一部抜粋】
『建築計画及び工事に関する説明会を開催いたします』

マンション住民らがこの案内を受け取ったのは“開催日の2日前”で、しかも平日の午後3時からという参加しにくい時間に設定されていて、結局1人も参加できなかったといいます。
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8月21日に開かれた隣のマンションの住民集会。目の前に壁のようなマンションが建設されるにもかかわらず、事業者側から適切な対応がなく、住民らは不信感が募るばかりです。ベランダ同士が向き合う可能性のある部屋もあり、防犯上の不安を訴える住民も。

(マンション住民)
「住民のことを本当にないがしろにされている感覚があります。おかしいです。」
(マンション住民)
「どれくらい(距離が)空いているのか。ベランダからベランダにヒョイっと渡れなくもない。」

大阪市にも不信感 嘆願書提出後に「義務付ける」を消去…なぜ?

住民らは、今年7月に500人以上の署名を集めて、大阪市の松井市長に「事業者は説明責任を果たしておらず、市の指導も不十分」として、対応を求める嘆願書を提出しました。しかし、思わぬ展開に…。

大阪市は8月25日にホームページを更新。高さ20mを超えるマンションなどを建設する際には住民に対して「説明を行うことを義務付ける」と元々は表記していましたが、「義務付ける」という文言が消去されたのです。これは一体どういうことなのか?大阪市の松井一郎市長に直接話を聞くと…
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(大阪市 松井一郎市長 9月11日)
「指摘を受けるまではHPでその文言が消えているのかは知りませんけど、どちらにしても法にのっとって担当部局が地域住民の皆さんの理解を得るべく努力はしているはずです。」

住民の理解を得るため努力していると話す松井市長。

では、担当部局は…。

(大阪市都市計画局建築指導部 吉川玲子課長)
「今回嘆願書もいただきましたので、その趣旨を踏まえて、よりよい制度になるように、どのように運用していくかについては議論させていただいています。(Q説明の実態を行政で確認することは難しい?)届け出は虚偽がないということをもとに受け取りをするということが前提となっていますので、全て調べるということは行っていません。」

市は、住民への説明は『元々義務ではなかった』として消去したといいます。事業者側に問い合わせると…。

(事業者)
「なぜ説明する必要があるのか。取材は受けられない。」

マンション計画を巡っては住民側と事業者側がトラブルになるケースが多く、MBSでは京都市の新選組ゆかりの地で計画されているワンルームマンションの建設を巡り住民らが計画の見直しを訴えている実態も取り上げました。京都市では、問題が解決しない場合、住民側と事業者側との話し合いの場を京都市が設ける制度があり、その後、ほとんどのケースが解決しているといいます。

一方、大阪市には問題に介入する制度はなく、トラブルが解決しないケースもあるといいます。

専門家「話し合いができる場を」

問題解決には何が必要なのか。建築問題に詳しい専門家は…

(神崎法律事務所 神崎哲弁護士)
「お互いの立場を尊重し合いながら、円滑に話し合いができるような仕組みを作る。アリバイ的に住民説明会を開くのではなくて、きちんと話し合いができるような場を設定する制度があればいいのになと思います。」

マンション住民らは現在、建設計画の中止を求めて裁判所に仮処分申し立てを行っています。今、岸本さんが一番求めているのは…。

(岸本有加さん)
「一体どんなものが建つのか、ということを知りたいです。この先、何十年かは暮らしていくところなので、安心して住みたいですね。」
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終の棲家として購入したマンション。その景観が失われる住民らに適切な説明は必要ないのでしょうか?

(9月14日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

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