MBS 毎日放送

ミント! ミント!

毎週月~金曜日 ごご3:49~放送関西のニュースは毎週月~金曜日 ごご4:30~放送

真相R

【特集】「ネット中傷」投稿男を直撃取材!2年間の事実無根の中傷...男が話した"歪んだ正義感"

2020年09月10日(木)放送

SHARE
Twitter
Facebook
はてなブログ
LINE

人を傷つけ、時には命すら奪いかねないインターネット上の誹謗中傷。一体、誰が何のために投稿しているのか。取材班は、2年間にわたって中傷を繰り返していたとされる男を直撃した。

ネット上に溢れる“攻撃的”な投稿

インターネット上に溢れる匿名による書き込み。自由に意見を発信できる一方で、誰かを攻撃するような投稿も多い。著名人のSNSを見ると…

(記者リポート)
「こちらはZOZOタウン創業者の前澤友作さんのツイッターです。9月6日には『株式投資で44億円の損失を出した』と投稿し、6万回以上リツイートされています。」

日本で最もフォロワー数が多い前澤氏に対しては、「死ね」や「気持ち悪い」といった中傷するような投稿も数多く見受けられる。一体、誰が何のために投稿しているのだろうか。
3.jpg
今年8月31日に「死ね」などと投稿していたアカウントに取材班は直接メッセージを送ってみた。すると、その1時間後、投稿自体が削除された。

“加害側”から不安の声が相次ぐ

今年5月、自殺をうかがわせる遺書を残して亡くなった女子プロレスラーの木村花さん(当時22)は、出演していた番組での言動をめぐり、SNS上で激しい誹謗中傷を受けていた。

【木村さんのツイッターより】
「死ね、気持ち悪い、消えろ、今までずっと私が1番私に思ってました。」

木村さんの死後、誹謗中傷を行った人たちは相次いで投稿を削除している。NPO「あなたのいばしょ」が運営する匿名で悩み相談ができるチャットには、当時、ある変化があったという。

(NPO「あなたのいばしょ」 大空幸星代表)
「(中傷の)加害側からの相談はほとんどきていなかったが、倍以上にはなっているかと思います。」
5.jpg
中傷を行った投稿者から「身元が特定される」などと不安の声が相次いだという。

【実際に寄せられた相談内容】
「花ちゃんにキモとか悪口を言いました。逮捕されちゃいますか。」
「お母さんが犯人を特定しているというニュースを見て、もうどうしようもない気持ちです。私の人生はこれで終わりなんですかね。」
6.jpg
(大空幸星代表)
「『自分は誹謗中傷したつもりはなかった。アドバイスしたつもりだった』という相談もいくつかありました。自分の言葉の重みとか、それが相手にどう伝わるのかということを想像できていない方が多いと思うんです。」

2年にわたり執拗な攻撃を受ける 運営会社に通報したが…

ネット上での誹謗中傷に2年間にわたり悩まされた人がいる。サイエンスライターの片瀬久美子さん(55)だ。

(サイエンスライター 片瀬久美子さん)
「『科学テロリスト』というような言葉を書かれたり…。すごい形で炎上してしまったんですね。」

片瀬さんは2017年に『森友問題』などについて「政府には説明責任がある」とSNSに投稿したところ、「理不尽な要求をしている」などと批判する投稿が相次いだ。そんな中、同一人物とみられる複数のアカウントから攻撃が続いたという。

【片瀬さんへの中傷投稿】
「若い頃淫売やって学位取得。今も研究費着服。旦那は強姦魔。」

(片瀬久美子さん)
「ひどく下品ですし、勝手に決めつけていて。非常に執拗で、おそらく同じ人が別のアカウントに乗り換えて延々と嫌がらせ。」

事実無根の執拗な中傷に対して片瀬さんはツイッター社に何度も通報したが、ツイッター社は「攻撃的な行為を禁止するツイッタールールの違反にはあたらない」と回答してきた。

(片瀬久美子さん)
「(中傷を)ずっと放置されて、図に乗ってエスカレートしだした。(中傷を)信用する人も出てきました。こんなの誰も信用しないだろうと思うかもしれないですけど、いるんですよ、やっぱり。」

その後、片瀬さんは自ら民事裁判や刑事告訴などを行い、投稿者を特定した。裁判では投稿者に慰謝料200万円の支払いなどを命じる勝訴判決を得たが、未だに賠償も謝罪もないという。

取材班は投稿者のもとへ…語った理由とは?

片瀬さんに事実と異なる投稿を続けていたのは一体どんな人物なのか。取材班が調べると、投稿者は無職とみられる60代の男で、埼玉県内に住んでいることがわかった。9月2日、取材班は男を直撃した。家のドアが開くと、白髪の男が現れた。男はカメラに映ることは拒否したが、インタビューに応じた。

(60代の男)
「基本的に私がやっているのは、その人が言ったことをその人に適用するという対処しかほとんどしていないんですよ。馬鹿なことを言ったら、馬鹿なことをね、『そうですね、そうですね』と言って(相手に)適用してあげる。そうすると気付くんですよ、大概。」

男は森友問題などで「説明責任がある」と投稿した片瀬さんを非難するため、根拠のない「学位の不正取得」などと投稿したと話す。

 (男)「それを言ったらあなた逆になるよと、自分にかかってくるよと、そういう世界でいいの?という話を私はしている。私は論理的で安心した世界がほしいですから。」
(記者)「学位を不正に取得したとか、研究費を着服したという事実はあるんですか?」
 (男)「いや、知りません。」
(記者)「中傷の意図はない?」
 (男)「全然ない。」

男は中傷ではなく正しいことをしたなどと不可解な説明を繰り返した。

「攻撃することで快楽を得て不安を解消」

なぜ、見知らぬ人を中傷する書き込みをするのか。専門家は要因の1つとして、投稿者側の“ある心理現象”をあげる。

(ネット中傷問題に詳しい山口真一国際大学准教授)
「許せないとか失望したという『正義感』から書いているので、『こいつは悪いことをしているので叱るのは当然だろう』とか、『責めるのは当然なんじゃないですか』というふうに思っている。不安やストレスを抱えている時に、誰か敵を作って、その人を攻撃することで快楽を得て不安を解消している。」

「ネット中傷」対策を提供する企業も

いま、ネット中傷から被害者を守ろうとする動きも広がっている。IT関連企業「アディッシュ」では、依頼者の名前と「死ね」などといったキーワードが含まれた投稿を自動で検出し、中傷にあたるかチェックしている。そして、後に法的手段をとる場合に備え、証拠として残しておくという。
14.jpg
(アディッシュオンラインコミュニティ事業部 吉川敏広部長)
「(投稿の画面を)画像で保存しますので、投稿が削除されても画像として残っている状態になります。(SNS投稿は)膨大な量がありますので、非常に時間がかかる。やはり誹謗中傷に関する投稿を自分が目にするのは精神的にもかなりつらいものがあるんじゃないかということで、第三者の我々が入って客観的な視点で判断させていただく。」

自分は正しいと思い込み匿名で相手を攻撃する。そんな“歪んだ正義”がネットの世界では今も広がっている。

最近の記事

バックナンバー