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【特集】「パソナが淡路島へ」で注目!"地方移転"の実情...徳島・神山町が誘致したIT企業の今は?

2020年09月09日(水)放送

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企業や行政機関の東京一極集中が長年叫ばれていますが、人材派遣大手・パソナが『兵庫県の淡路島に本社機能を移転させる』と発表しました。この移転発表が注目を集める中、実は10年前から企業の誘致に力を入れる小さな町があります。「聖地」とも呼ばれる町は今、どうなっているのか取材しました。

パソナグループ 淡路島へ移住した夫婦

人口13万人の淡路島に衝撃が走った人材派遣大手・パソナグループの本社機能の一部移転。人事や経営企画などを担う約1800人のうち、1200人が2024年5月までに淡路島に異動となる予定です。
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(パソナグループ 南部靖之代表)
「きっかけはやはりコロナ。コロナに対するリスクヘッジ。世界中から、日本中から淡路島で働きたいというモデルケースを作りたい。」
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そして、早くも動きが。意気込む会社の命を受け、9月1日に東京から淡路島に移住した岡田さん一家です。夫婦ともにパソナで勤務しています。朝は2歳の娘と3人そろって家を出て、車で移動です。

(パソナグループ 岡田智一さん(38))
「(東京の)通勤ラッシュの満員電車と、家族と一緒に車で通勤。どっちがいいかって言ったら、この生活の方が自分の中でいいリズムを作れていますね。」

始まったばかりの淡路島での勤務。今は見るもの全てが新鮮に映ります。この日は海辺でランチでした。

(パソナグループ 岡田智一さん)
「(東京では)地下1階で外が見えるわけでもなく食べたり、ちょっと出かけて1時間でぱっと食べて帰ってきたり。今は景色を見ながらゆったり食事ができるので、同じ時間でも心が落ち着いて、一回リセットできるなと感じています。」

「企業誘致」一過性で終わらなかった徳島県神山町

コロナ禍でオフィスの見直しが進む中、「地方への移転」は前途洋々なのか?

手がかりを得ようと取材班が向かったのは、徳島県の山間部にある神山町です。人口5000人ほどの小さな田舎町ですが、実は10年前から高速インターネット環境を整備するなどし、企業の移転を大々的に誘致。東京のIT企業で働く若者たちが続々と移住して来たのです。

そして、一過性のブームに終わらず、現在も14社が神山町にオフィスを構えていました。

築90年の古民家をオフィスにしたIT企業 初期費用は東京とほぼ同じ

その中の1社が東京のIT企業・プラットイーズ。会長の隅田徹さん(58)も7年前に神山町に移住しました。取引先は東京・大阪が多いといいますが。

(プラットイーズ・会長 隅田徹さん)
「初対面の人とはちょっと難しいですよね。まだまだ、こういうテレビ会議では。新規セールスはうちの場合は人がやっていますね。いわゆる、出かけていって。」

オフィスは築90年の古民家ゆえ、耐震補強は欠かせません。東京から離れても初期費用はそれなりにかかるようです。

(隅田徹さん)
「費用全部で、このオフィス全体で家1軒分くらいですかね。東京のオフィスを移転する時にオフィスを改築するコストとほぼ同じくらいです。」
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ちなみに最もこだわったのはトイレなど水回りで、これが社員らが定住できた秘訣なんだとか。

(隅田徹さん)
「田舎であっても環境とか生活の便利度は東京と同じほうがいい。全員がキャンプ好きというわけではないので、どんなところでも暮らせるわけではないですから。」

神山町で働く13人は全員が希望して配属されたといいます。

移住者が地元の若者を呼び戻す…10年の成果

地元にも変化が。隅田さんがこの日ランチに訪れたのは、神山町出身の若者が地元にUターンして開いたレストラン「めし処 萬や 山びこ」です。

(「めし処 萬や 山びこ」谷真宏オーナー(35))
「移住者がいっぱいいるんで、僕もその中に入りたいなと。いつか帰ってきてやりたかったのが夢ですね。」
(隅田徹さん)
「うれしいね、こういう話を聞くと。」

移住者が地元の若者を呼び戻し、街に新しい風が吹く。神山町の10年の成果でもありますが、当初は移住者に戸惑う人もいたようです。

(「めし処 萬や 山びこ」谷真宏オーナー)
「僕も最初は警戒するというか、誰なん?という感じがすごくあって。ちょっとぎくしゃくした時期が個人的にもあった。話をしたらすごく良い人ばっかりなので、今は戸惑いとかはないですね。」

去っていく企業も

一方、地元ではこんな声も聞かれました。

(神山町住人)
「ずっとおってくれるなら(いいけど)。代わりが来たらすぐに皆いなくなってしまう。」

そう、去っていく企業もあります。

自治体の依頼でITを使った高齢者の見守り事業に奮闘していた「テレコメディア」の小林里菜さん(取材当時24)を2012年に取材していました。現在は、というと…オンラインで取材しました。
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(テレコメディア 岩間(旧姓小林)里菜さん)
「今は茨城県に住んでいます。(Q神山町にはいない?)そうですね。そちらにはいないです。」

自治体からの委託の終了とともにオフィスは3年前に閉鎖しました。当時は新鮮な反面、ちょっと寂しい面もあったようです。

(テレコメディア 岩間(旧姓小林)里菜さん)
「1人だけサテライトオフィスだと、圧倒的に本社の中でのコミュニケーションが多くなってしまう。ひとりぼっちになる気持ちが生まれちゃう。50人対面で1人だけズームの画面とかだとすごく疎外感があった。」

「外から来た人に慣れている」町の人にも変化

そんな中、神山町に定住したプラットイーズ・会長の隅田さん。プライベートでは近所付き合いが欠かせません。ただ、神山町では人との距離感も変わってきたようです。

(隅田徹さん)
「最初にひとりでぽつんと来た人は大変だったかもしれない。僕らはなんかは比較的、地域の人が外から来た人に慣れているので、楽でしたね。」
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移住して7年、家族もできました。食卓にお邪魔しました。テーブルに並ぶ食材は…

(隅田聡子さんと徹さん)
「きょう取れたスダチと、お隣でできたゴーヤと、お隣のナス。」

家族はここでの暮らしをどのように感じているのでしょうか。

(隅田聡子さん)
「戸惑いよりも発見していく楽しさの方が、違いを見つけていく楽しさの方がありますね。」

コロナ禍で『地方移転』は希望の光となるのでしょうか。

(9月9日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

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