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【特集】アリなの?キリギリスなの?謎多き外来種『アリガタツユムシ』を記者が捕まえに行ってみた

2020年07月29日(水)放送

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「働き者」のアリ。「怠け者」のキリギリス。童話を読んでこうしたイメージをお持ちの方が多いかもしれませんが、そんなみなさんを困惑させるような外来種の虫が見つかりました。いったい、どんな虫なんでしょうか。

「アリガタツユムシ」とは?

大阪市立自然史博物館(大阪市東住吉区)で8月30日まで開催されている外来生物展「知るからはじめる外来生物」。するどい牙が特徴的なイノブタに、ワニのように鋭い歯と長い口をもつ魚アリゲーターガーなどが展示されています。そこに、2019年に日本で初めて確認された外来生物が展示され注目を集めています。それを見た人は…

「へえ、幼虫のときにこの形…。」(来場者)
「初めて知りました。こんなんもいるんですね。」(来場者)

来場者が一様に驚くその虫の名は『アリガタツユムシ』。中国に生息する外来種で「キリギリス」の仲間だといいます。
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最大の特徴は、キリギリスでありながら、幼虫のときは体長5mm程度で“アリのような姿”をしていることです。『アリガタツユムシ』とはどのような生物なのでしょうか。

幼虫の時は『アリ』にそっくり

最初に発見されたという滋賀県大津市の公園に取材班が向かいました。案内してくれたのは昆虫採集や調査をする「滋賀むしの会」高石清治さんです。

(Qどのあたりにいるんですか?)
「去年はこの道端にもいましたね、こういう草の上に。違いは、触角がツユムシは細くて長い。」(滋賀むしの会 高石清治さん)
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見極めるポイントは触角です。アリの触角は折れ曲がっているのに対し、アリガタツユムシはまっすぐで長いのが特徴です。さらに、アリガタツユムシはアリと違って飛ぶというのもポイントだといいます。よく見つかるという草むらに到着すると…

「あの葉っぱの上に。これ、これ、ここにもいます。これも、あれも、あれも。ここに3匹いますね。(Qこんなにいっぱいいるものなんですね?)これだけいるということは、何年か前から定着していると思います。」(滋賀むしの会 高石清治さん)
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約30分。次から次へと見つかり…10匹のアリガタツユムシを捕まえることができました。

成長すると『キリギリス』の仲間

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アリガタツユムシの採集・飼育を続ける高石さんは成長の記録も収めています。何度も脱皮を繰り返し、アリのような姿から1か月ほどでキリギリスの仲間であるツユムシの姿になっていきます。
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「脱皮する段階でいろいろな生態が見られるというのはありますね。特にこの虫ですと色が全く違う。ちょっと意外な面白さはあります。(Q幼虫の時はアリで大人になったらキリギリスになる…1人2役をどう思う?)まあ、あの話とは…あんまり関係ないんで。ははは。」(滋賀むしの会 高石清治さん)

ただ、気になる指摘が。

「このアリガタツユムシはじっとしていますけど、アリはこんなにじっとしていない。アリの形をして安心しているというか、それでじっとしているのかな。それはわかりませんけど。」(滋賀むしの会 高石清治さん)

「アリの威を借るツユムシ」天敵から狙われにくいように“化ける”

バッタの専門家によりますと、じっとしているのは、たしかに安心している可能性があるようです。というのも…

「わざと危ない動物そっくりに化けて相手をだます。アリの威を借るツユムシということですね。」(大阪市立自然史博物館 市川顕彦さん)
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市川さんによりますと、アリには“ギ酸”と呼ばれる猛毒があり、アリのような姿になることで天敵のカマキリやクモなどから狙われにくいようにしているといいます。

「アリの行列の中にはいないけど横にいます。アリのフリしてます。成長して大きくなるとアリから離れていって正体をばらす。これはこれでいいんじゃないですか、こういう生き方っていうのも。」(大阪市立自然史博物館 市川顕彦さん)

とはいえ、まだ大津でしか確認されておらずわからないことばかりのようです。

「危険性はあるけれども、研究も全く手についていない状態。在来のほかの種類と競合するか、もしかしたら農業とか花とかの害虫になる恐れはあります。」(大阪市立自然史博物館 市川顕彦さん)

本来は日本にいないはずの外来種。“アリがたくない”可能性もあり警戒は必要なようです。

(7月29日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

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