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【特集】新型コロナ院内感染で死亡...遺族の"心残り"「手も握れず普通のお別れができなかった」

2020年07月23日(木)放送

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新型コロナウイルスの感染で、7月23日までに、世界で約60万人が死亡し、日本では約1000人が亡くなりました。日本は諸外国に比べて死亡者の数は少ないと言われますが、それぞれの方にかけがえのない人生があり、家族がいます。院内感染により家族を失った遺族に話を聞きました。

院内感染が発生…入院していた80代男性も感染

大阪市生野区にある「なみはやリハビリテーション病院」では、2020年4月18日、患者や看護師など41人が新型コロナウイルスに感染しクラスターが発生していることが明らかになった。院内感染の発覚後、入院していた80代の男性の家族はすぐに病院に連絡した。

「4月19日の新聞に、なみはや病院で院内感染というのが載ったので、その日の朝にすぐ病院に電話を入れました。父は(入院しているのが)4階で、『2階3階で発症しているけど4階は大丈夫』ということだったんです。」(男性の娘)
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家族が病院との当時のやりとりを残したメモには、「陽性反応。今のところ病状は落ち着いている」という言葉が記されている。病院から大丈夫だと言われた翌日、男性も感染していることがわかったのだ。しかし、その後、病院からの連絡は途絶えた。

感染判明4日後に病院から家族に連絡「回復の見込みはない」

男性は足が不自由で、4年間、入院生活を送っていた。妻・娘・孫も合わせて10人暮らしの大家族。毎日誰かが病院に行き、誕生日やクリスマスは病室で賑やかに過ごした。感染拡大防止のために3月中旬から面会が禁止された後も、家族は祈るような気持ちで何度も病院の近くまで足を運んでいたという。

「病院の前まで車で何回も行って『じいちゃん頑張れよ』って言って。こっちは病室がわかっているから、下まで行って『もうちょっとの我慢やで』って。」(男性の孫)
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そして感染の判明から4日後、ようやく病院から連絡が入った。しかし、その内容は「高熱が出て肺が弱っている。回復の見込みはないだろう」というものだった。

「『鼻からチューブを入れて酸素を送っている。意識もぼーっとしている』と。そこまでなっているのに4日間も放ったらかしだったんです、私たち家族には。何も教えてもらえなくて。その時点で『(容体は)どうなんですか?』って尋ねたら、『回復の見込みはない』と。」(男性の娘)
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家族は、当時効果が期待されていた新型インフルエンザ治療薬「アビガン」を投与してほしいと要望した。

「『アビガンの投与はだめなんですか?』と聞いたら、『飲み込む力がないから投与はできない』と言われて。結局、死に待ちやなということになって。4月27日の午後6時45分に息を引き取ったんです。(感染がわかって)1週間なんです。あまりにもかわいそうすぎて、それまで面会もできなくて、こんなことがあっていいんかなって。」(男性の娘)

さらに、病院側から「遺体はすぐに火葬する。感染防止のため家族は立ち会えない」と言われたため、せめて棺に思い出の品と手紙だけでも入れさせてほしいと葬儀会社に頼んだ。火葬が終わり、遺骨となって自宅に帰ってきたのは、亡くなってからちょうど24時間後だった。

「(遺骨を)受け取った時はまだ温かいんですよ。ちょっとでも早く家に連れて帰ってあげたいと葬儀の方も。やっと会えたなぁって、親戚みんな集まっていたんです。みんなで迎えてあげようと家で。」(男性の娘)

病院スタッフから感染拡大か

なみはやリハビリテーション病院では、高齢の患者ら13人の死亡が確認されていて、陽性となった病院のスタッフから感染が広がったとみられている。ある看護師は当時の状況について、「陽性のスタッフと夜勤をしてほしいと言われた」と証言する。看護師によると、病棟内はゾーニングなどの感染対策やスタッフの数が不十分で、異様な雰囲気に包まれていたという。

 「自分が看護してどこかで感染して別の患者さんに移してしまったらと思うと怖かった。」(なみはやリハビリテーション病院の看護師)

患者43人が死亡した永寿総合病院の院長は会見で…

緊急事態宣言の発表後、全国各地で相次いだ院内感染。なかでも、東京都台東区の永寿総合病院では、214人が感染して、43人の患者が亡くなった。7月1日、永寿総合病院の湯浅祐二院長は記者会見を開き、亡くなった患者や家族に対して謝罪の言葉を述べた。

「新型コロナウイルス感染症を疑うタイミングの遅れについてです。集団感染が明らかになる前に大部分の感染が起きて広がっていたことが推定されます。この院内感染の拡大により最も大きな被害を受け苦しまれたのは患者さまであり、そのご家族です。病院の責任者として重ねて深くお詫び申し上げます。」(永寿総合病院 湯浅祐二院長 7月1日の会見)

「家族にほったらかしにされていると思っていたかも」

未知のウイルスゆえ、感染がわかると家族は一切面会できない。ましてや重症となれば、「どんな治療を受けているのか」「容態は安定しているのか」と少しでも家族の状況を知りたいと願う。なみはやリハビリテーション病院の院内感染で亡くなった男性は、意識はしっかりしていた。突然面会が途絶え、「なぜ誰も来てくれないのだろうか」と不安で寂しい思いをしていたのではないかと家族は今も心残りだ。
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「お別れができなかったっていうのがみんなそれぞれあった。」(男性の孫)
「普通に亡くなっていたら枕元で『お父ちゃんありがとう』と言って、それが普通の“別れの形式”。声をかけて手を握ってあげることもできず1人で死んでいる。コロナっていう病気が流行っているから面会に来れていないんやでということもどこまでわかってくれていたか。ひょっとしたら、家族にほったらかしにされていると思っていたかもしれないし。こんな病気で死んだらあかん。残酷すぎる。」(男性の娘)

家族は今も、病院で何が起きていたのか真実を知りたいと望んでいるが、連絡は一切ないという。病院は取材に対し、「ホームページに掲載している情報以外コメントすることはない」としている。

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