MBS 毎日放送

ミント! ミント!

毎週月~金曜日 ごご3:49~放送関西のニュースは毎週月~金曜日 ごご4:30~放送

特集記事

【特集】職員600人から寄付集めて『コロナ基金』最前線で闘う医療従事者も対象..."強制ではない"と言うが実態は?

2020年07月22日(水)放送

SHARE
Twitter
Facebook
はてなブログ
LINE

「職員は国から支給される特別定額給付金10万円を寄付してほしい」。兵庫県加西市では新型コロナ対策基金の立ち上げに際し、市長がこう呼びかけ波紋が広がっていました。寄付を想定した予算が組まれ、基金はスタートしましたが、その後の取材で、市は医療従事者や民間の事業者にも寄付を募っていたことがわかりました。

加西市で創設「新型コロナウイルス感染症対策基金」

「加西市では新型コロナウイルス感染症、これに対応するために基金を創設することにいたしました。」(加西市・西村和平市長 2020年5月)

2020年5月、兵庫県加西市の西村市長が表明した市独自の『加西市みんなで支え合う新型コロナウイルス感染症対策基金』。
1b.jpg
売り上げが2割~5割減少した事業者に10万円を給付するなど、地域経済を守ることを目的にしているといいます。確かに加西市内では経済への打撃が深刻なようです。

(Q新型コロナウイルスによる仕事への影響は?)
「うちはめちゃくちゃ大きいですね。社員からアルバイトに格下げされましたし。(給与は)半分以下になっています。」(タクシー運転手)
「自動車関連のお客さんもいるので、工場の生産が止まっていたりとか。あるいは中国からの輸入が入ってこなかったりするので、その辺の影響が。」(機械工具販売店 三枝学さん)

市の商工会議所によりますと、加西市では新型コロナウイルスの影響で売り上げが減少した企業が7割以上に上るといいます。

基金財源は「市職員600人全員の寄付」…任意?強制?

基金の設立にはこうした背景があるのですが…

「職員は今のところ賃金に対して何ら打撃を受けていないという状況の中で、1人10万円の国からの給付金があるということですので、そのうち職員本人分について寄付をいただけないかなと。基本的に圧力に感じている職員というのはいないと思っています。」(西村和平市長)

加西市は5月の臨時議会で、基金の財源7750万円のうち、6000万円を市職員からの寄付で賄うことを決めました。具体的には、国民に一律10万円支給される特別定額給付金を、職員約600人全員から全額寄付してもらおうというのです。残りの1750万円は特別職の報酬カットで賄います。

西村市長は『あくまでも寄付は任意で強制ではない』としていますが、市役所の職員に取材すると…?

「強制ではないんですけど、断るとしたらまた次の手を考えるという形だったので、強制かなとは。かなりのプレッシャーですよね。予算をあげてしまってらっしゃるので、強制なのかなという認識ではありますよね。」(加西市役所職員)

医療従事者にも寄付呼びかけ…「すごく疑問に思った」

600人の市職員のうち約半数は市立病院の勤務です。最前線でコロナと闘う医療従事者も含まれます。その市立加西病院で配布された文書には、給付金の寄付は医療従事者にも求められていました。『給与からの天引きも可能』との記載もみられます。病院の女性職員はこうした寄付の要請に驚きを隠せなかったといいます。

「書面で“寄付してください”と案内が来ていて、(新型コロナウイルスの)患者さんに触れる可能性がある立場からしたら、私はすごく疑問に思ったし、ちょっと意味がわからない。」(市立加西病院職員)

市の説明では基金で人工呼吸器など医療機器を充実させるため、医療従事者に還元されるとしていますが…。

「私は病院で働いている立場なので、自分のお金が病院(の経費)になっているというだけの話であって、お金払って設備を整えました、そしたら給料引かれているのと何ら変わらないなという思いはありましたね。」(市立加西病院職員)

支援を申請した企業にも「寄付のお願い」

一方、『基金から既に給付金を受け取った』という業者も。自動車の部品などを製造している「金満金属」は、新型コロナウイルスの影響で売り上げは約3割減少しました。国の持続化給付金の対象にはならないため、市の基金からの10万円を頼ることにしました。

「自動車関連がピタッと止まった。あとは他の種類の仕事もだんだん減ってきている。国の無利子の貸付と、それから加西市の(売り上げが)減った事業者に対しての10万円の給付金、これを申請した。」(金満金属 山下公明社長)

しかし、申請用紙と共に市から送られてきた書類に困惑したといいます。

「申請用紙が来た時に不思議に思ったのが、申請用紙の中に『寄付をお願いします』というお願いの書類が入っていた。困って申請するのに、寄付をお願いするのは、ちょっといかがなものかなという考えは持ちました。」(金満金属 山下公明社長)

寄付は給付金に限ったものではありませんでした。

医療従事者や民間企業に寄付を呼びかけたのはなぜ?加西市長は…

医療従事者を含む市職員に給付金の寄付を求めるだけでなく、民間事業者にも寄付を募るコロナ基金。いずれも強制ではないといいますが、発案者でもある西村市長に7月15日、話を伺いました。

「市民一丸となってやりたいということで、あらゆる市民の皆さん、事業者も含めて呼びかけていきたい、という思いでした。(Q医療従事者に寄付をお願いすることについては?)よりコロナウイルスということで、仕事も忙しくなっているし危険性も高まっているしと、そういう直面している人が、この課題をみんなで正面から立ち向かっていかなければいけないんだということを示すためには、そこが率先してやるということがより社会に与えるインパクトは大きくて、対象にさせていただきました。」(西村和平市長)

職員からは一定の理解が得られているといいますが、『寄付が圧力だ』と感じる職員がいることについては。

「このハラスメントについては、やはりそう感じられる方がおられる限りは、好ましいことではないと思っております。そうならないように注意しながら、対応を今しているところでございます。」(西村和平市長)

専門家「政策目的から見てもおかしい」

一方、行財政に詳しい専門家は「国の特別定額給付金を市に寄付させることは給付金本来の目的から逸脱している」と指摘します。

「そもそも特別定額給付金の目的がなんだったのかというと、国としては最終的には経済対策として消費対策として10万円ずつ皆に配ったわけなので。今回の要請は目的と外れたことをやろうとされているので、政策目的から見てもおかしい。市の財政でまず工夫するのが第一です。そのために税金を集めているわけですから。」(地方自治総合研究所 今井照主任研究員)

『みんなで支えあう』と市長の肝いりで始めたコロナ基金。7月21日までの寄付額は目標の半分以下だということです。

(7月22日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

最近の記事

バックナンバー