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【特集】「会話なし」「荷物持たない」創業100年超の老舗ホテルが苦渋の決断 営業再開で見直した"接客スタイル"

2020年07月10日(金)放送

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新型コロナウイルスの影響で今年3月の売上が去年に比べ97%減少したという奈良県の老舗ホテル。長い休業期間を経て、7月から再出発しましたが、これまで大切にしていた『営業スタイル』を見直す苦渋の決断をしました。

営業再開した奈良の老舗ホテル「きょうはゼロなんです」

7月1日、約2か月半ぶりの営業再開をひっそりと迎えた、創業100年を超える奈良県桜井市の「多武峰観光ホテル」。

(Qきょうは初日ですが?)
「きょうはゼロなんです。また少しずつでも回復していけばと思う。」(「多武峰観光ホテル」支配人 上村晃生さん)
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薄暗く静まり返ったロビー。再開初日ですが、出勤したのは支配人と電話応対の従業員だけです。

(Q最近、予約の電話は?)
「ほとんどないですね。」(「多武峰観光ホテル」営業部 竹本桂子さん)
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多武峰観光ホテルの約40ある客室からは、桜や紅葉の名所「談山神社」を一望できます。
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ホテルの一番の自慢は料理です。「義経鍋」は奈良県の名物料理百選の第1位にも選ばれたことがあります。そんな多武峰観光ホテルは創業以来、関東の修学旅行生を積極的に受け入れてきました。

秋の予約は入るも先行きは見えないまま

しかし、今年3月取材した際は…

「(台帳は)ほとんど真っ白ですね。キャンセルの斜線が続いているような形。本当にもう何をしたらいいのかという状態ですね。」(「多武峰観光ホテル」営業部 松下麻友さん 今年3月)

今年3月の売り上げは、去年の3%にまで落ち込み、6月末まで休業を余儀なくされました。50人近い従業員の大半は休業手当を受けながら自宅待機。国や県の融資制度を活用し、立て直しを図ろうとしています。秋以降の修学旅行の予約は今のところキャンセルはされていませんが、東京で感染者が増加するなどしていて、先行きは見えないままです。
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「春と同じようなことになったら、秋も壊滅状態になってしまう。一応は予約はいただいているけど、本当に実際にお越しいただけるのかどうかは、全く見えない。」(「多武峰観光ホテル」支配人 上村晃生さん)

「修学旅行に来てほしい」京都市“24時間対応の窓口”を開設へ

修学旅行の取り止めや延期が相次ぐ中、動き始めた自治体があります。京都市では6月、全国186の自治体に向け、「ぜひ京都に修学旅行に来てほしい」と文書で呼びかけました。京都市は、京都滞在中に児童や生徒が発熱した場合に備え、24時間対応の窓口を開設するとしています。

「これがひとつの『withコロナ時代』の修学旅行のありかた。さらには観光のありかたにつながっていくと思います。」(京都市 門川大作市長 6月18日)

一方、年間16万人の修学旅行生が宿泊する奈良県は。

「修学旅行は歓迎です。奈良県にとっては歓迎です。(Q京都市は全国の自治体に文書を送っているが、奈良県としてやっていることや今後の呼びかけは?)呼びかけだと大雑把になるというふうに思っています。呼びかけにすぐに乗られる人は団体旅行はあんまりないように、私の作戦では思っている。」(奈良県 荒井正吾知事 7月8日)

こう話した知事でしたが、会見後、県の担当者は取材に対し「修学旅行生の誘致に向け、各自治体に呼びかける準備を進めている」としました。

「会話もなく、荷物も持たない。」大きく変えた接客の仕方

そんな中、営業を再開したものの開店休業状態の多武峰観光ホテル。休館中は手をこまねいて待つだけではありませんでした。従業員らは“今しか見られない景色”を写真に残し、SNSで発信してきました。

「外に出歩けない方の気持ちが明るくなるように。多武峰観光ホテルもまだまだがんばっていきます、という気持ちをお伝えできればなと。」(「多武峰観光ホテル」営業部 松下麻友さん)
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再開にあたり大きく変えたことがあります。『接客の仕方』です。これまでは利用客との会話を大切にしてきましたが、これからは控えていくといいます。また「荷物運び」もなくすことを検討しています。『会話もなく、荷物も持たない。』ホテル側としては苦渋の判断です

「お客様にしたら味気ないように感じられるのか、あるいはその方が安心だからいいよと、お客様によっても違うでしょうし。そこは今後は難しくなるなと思いますね。」(「多武峰観光ホテル」支配人 上村晃生さん)

昼食に12人の団体予約 ホテル側の思い

そして7月7日。

(Qきょうは予約が入っているんですか?)
「はい。5月にお越しいただく予定だったお客様で、コロナウイルスで一旦キャンセルになったのですが、また改めて申し込んでいただきました。喜んで帰っていただけたらと思っています。」(「多武峰観光ホテル」支配人 上村晃生さん)

宿泊ではありませんが、昼食に12人の団体予約が入っていました。
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席の間隔をあけ、対面にならないよう工夫しました。

「新型コロナウイルスで長いことお客さんがなかったけど、久しぶりにね、お客様に来ていただけます。あまりいらない話というか、そういうのは気をつけて控えるようにお願いします。」(従業員に話す上村さん)

従業員の方はどのように受け止めているのでしょうか。

(Q会話を控えるのは難しい?)
「そうですね。普段でしたら、お客様とのコミュニケーションは会話になってくると思うが、目元の笑顔だけでの対応になってくると思う。」(「多武峰観光ホテル」接客担当 森井まゆみさん)
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お客さんを出迎えるのも久しぶりです。予約のお客さんがバスから降りてきました。従業員はなるべくお客さんに近づかないように部屋へと案内します。そっと見守るように、後ろを歩きました。
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「そばに行って良いものかどうなのかと思いながらも、手押し車を押されている方だと、つい手を差し伸べたくなるんですけども、どういうふうにしていけばいいかなと、きょうは良い勉強になりました。考えていかなくてはいけないかなと思っています。」(「多武峰観光ホテル」接客担当 森井まゆみさん)

「やっぱり新しい時代に向かっていくんでしょうね。お客様もご心配もある中でお越しいただくのは、それだけ信頼して来ていただけると思うので、その信頼を裏切らないようにしたいと思います。」(「多武峰観光ホテル」支配人 上村晃生さん)

(7月10日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

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