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【特集】『まいど1号』で不況乗り越えた東大阪の町工場に再び試練...「今の業態ではダメ」

2020年07月07日(火)放送

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新型コロナウイルスの影響で企業の倒産が相次ぐ中、事業の継続や新たな分野への転換を模索する“町工場”があります。ものづくりの町・東大阪で世界に誇る技術を持つ町工場の今を取材しました。

「仕事がない状態」航空部品の注文が激減 東大阪の町工場

東大阪市に本社がある航空機部品メーカー「アオキ」。町工場の朝はラジオ体操から始まります。3代目となる青木理社長(41)は6月18日、12人の従業員を前に、会社が置かれている状況について説明しました。
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「前々から言っていますけど、現状厳しくなってきているのは事実です。6月から(一部)休業していますが、7月8月から増える可能性が高いです。経費節減、電気のつけっぱなしとか細かなことですが、しっかり対応していってください。」(アオキ 青木理社長)

取引先からの航空部品の注文が激減したため、7月の売り上げは例年の半分以下に落ち込む見込みです。
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このため、6月からやむを得ず月曜日は工場のラインを止めています。

「仕事がない状態ですね。7月8月はもっと休ませないといけないけど、モチベーションが下がるので、そういうわけにはいかんな、と。」(アオキ 青木理社長)
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社長は空いた時間を有効利用するため、4月から大学の聴講生となって、航空機の構造などを基礎から学んでいます。

「僕、文系なんですよ。これほぼ物理ですから。」(アオキ 青木理社長)

危機を乗り越えてきた会長「これだけ長期的に全業種はない」

アオキは高精度の金属加工技術が世界的にも高く評価され、20年以上前に世界最大の旅客機メーカー・ボーイング社の認定工場となりました。
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かつて、その名を一躍有名にしたのが人工衛星『まいど1号』です。2009年に種子島で打ち上げられたロケットに搭載され、雷の観測実験などに利用されました。東大阪市にある町工場の高度な技術を結集した人工衛星『まいど1号』。その旗振り役だったのは7年前まで社長を務めていた父親の青木豊彦さん(74)です。
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『人工衛星を東大阪の地場産業に』をキャッチフレーズに奔走してきた豊彦さんですが、今回の新型コロナウイルスにはお手上げだといいます。

「今回みたいに、これだけ長期的に、全業種でしょ。これはないですね。」(アオキ 青木豊彦会長)

しかし、会社がピンチを迎えるのは今回が初めてではありません。これまでも危機に陥るたびに新たな製品を生み出してきました。

「最初に農機具やって、次に建設機械の仕事やって、次に造船の仕事をして、プラントやって、油圧やって、ロボットやって、飛行機ですよ。それは食べるため。生きていかなあかんから知恵が出るわな。」(アオキ 青木豊彦会長)

あの『まいど1号』の開発も、バブル崩壊後の不況を乗り切るための苦渋の決断だったといいます。

「『まいど1号』の時もそうですわ。大不況ですやん。これを打破せなあかんということで、町をあげて新しいモノをつくっていこうと『まいど1号』をやった。」(アオキ 青木豊彦会長)

力を入れる社員教育 新たな分野への転換急ぐ

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、今も世界中の国々が国民の移動を制限しているため、航空機の需要は激減しています。元の姿に戻るには3年から5年はかかるという見方もあるため、会社は長期戦を見据えた戦略作りを始めています。

「持続化給付金が200万円で少ないとかあるにしろ、ないよりぜんぜんましだと思います。資金繰りがショートすると会社が存続できなくなるので。それまで社内では体制を整えるための教育とか。」(アオキ 青木理社長)

週に2日、空き時間ができた工場で、数人の従業員にしかできない特殊な加工技術を若い社員に伝授するなど、社員教育に力を入れています。

「会社として精一杯やっていただいているのは感じる。各自の技術力をアップするチャンスなのかなと思っています。」(従業員)

一方社長は、当面は航空機関連部品の需要が減るだろうという予測から、新たな分野への転換を急がなければならないと考えています。

「(移動制限が)解除されてどれだけ動くかも正直読めないし。これだけリモートが進むと、それでいいやんとなると、移動もしなくなるし。どこまでどうなるか、コロナ後の世界は激変するのは確かでしょう。」(アオキ 青木理社長)

若手経営者が集まる情報交換会で話された“現状”

6月30日、理社長は大阪・梅田で開かれた若手経営者たちが集まる情報交換会「次世代経営者塾」に参加しました。

(コスチュームメーカー)「コロナが騒ぎ出す前までは今年は好調で、いい1年過ごせるかと思っていたのですが、ほぼストップしまして。」
(エンジン部品メーカー)「ご多分にもれず仕事が減っていまして。20%減っているのかな。毎日2時間、時短勤務して午後3時に帰る形に変えている。」

この難しい局面をどう乗り切るか。どの経営者もアフターコロナの社会に順応するための方法に頭を悩ませています。

 (青木理社長)「建築の現場、ほとんどがリモートになってるんですか?現場監督が。」
(建築関連会社)「いや、うちはそこまでできてないですね。」
(建築関連会社)「公共事業は古いから考え方が、絶対1現場に1人専任の現場監督をおく形。」

中にはこんな意見も…

(洗浄機メーカー)「世界(の各拠点)にテレフォンオペレーターがいれば商売が成り立つ、というのがこれからのリモートになっていく。」

また、参加者の中には既にマスクの製造やタッチレスのアルコール消毒装置を作っている経営者の姿もありました。

「今の業態ではダメだということは確実」社長の決意

会社の新たな主軸となる新規事業はそう簡単に見つかるものではありませんが、歯を食いしばって前に進む決意を新たにしたようです。

「今の業態ではダメだということは確実ですね。今の仕事はどうなるねん、なくなっちゃうのかとなるけど、その中でも生きていく術はあると思う。」(アオキ 青木理社長)

かつて不況の中で始まった町工場の人工衛星づくり。コロナという新たな試練を再び乗り越えることができるのか、これからが本当の正念場です。

(7月7日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

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