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『災害弱者』を守るために...急がれる「施設の避難計画作成」義務付け後も進まず対象施設の36%のみ

2020年07月07日(火)放送

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九州を襲った豪雨では、熊本県の特別養護老人ホームが水没して14人が死亡しました。こうした福祉施設では過去の災害でも犠牲者が出ていて、避難計画の策定が義務付けられたのですが、策定しているのは全国で36%にとどまっています。

豪雨で入所者14人が死亡

7月4日、九州南部を襲った豪雨では熊本県内で甚大な被害が出ました。4日午前6時前に球磨川が氾濫し、球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」は屋根付近まで水に浸かりました。入所者14人が心配停止の状態で見つかり、その後、死亡が確認されました。

「水が入ってきても大丈夫なように上の方に避難させていた。まさにみるみるうちに水かさが増してきまして、車椅子も浮いてくるようになって。」(救助にあたった消防団員)

海上保安庁の特殊救難隊が千寿園で救助活動にあたった時の映像では、隊員が屋上から施設の中に入ると、大勢の人たちが救助を待っていました。中には車椅子に座った高齢者の姿もあり、約50人が救助されました。

「土砂災害警戒区域」などでは避難計画の作成が義務付けられているが…

介助などが必要な高齢者らが利用する福祉施設では過去の災害でも多くの犠牲者が出ています。2016年の台風10号では、岩手県にある認知症グループホームが浸水し、入所者9人が逃げ遅れて犠牲になりました。国はこの災害を受けて、河川氾濫時の「浸水想定区域」や「土砂災害警戒区域」にある福祉施設・学校・医療施設などに“避難計画の作成”などを義務付け、熊本県の千寿園でも計画は作成されていました。
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しかし、国交省が2019年3月に全国の対象施設を調査したところ、計画書の作成は全国的に進んでいません。大阪府では対象施設が8406施設ありますが、避難計画を作成している施設は9%の793施設にとどまります。また、兵庫県では全体の24%(2572施設中の624施設)、京都府では全体の6%(2095施設中の131施設)と、ほとんどの施設で避難計画が作成されていないことがわかります。

避難計画作成で課題も浮き彫りに

避難計画を作成した施設はどのような対応を考えているのでしょうか。和歌山県美浜町にある特別養護老人ホーム「ときわ寮」は、山に囲まれているため、この地域は『土砂災害特別警戒区域』に指定されています。
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「斜面の上の方から小さな岩石がいくつも落ちてきまして、数年前に砂防ダムやのり面の崩落防止工事をしています。」(特別養護老人ホーム「ときわ寮」 西川富雄施設長)
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入所者は100人ほどいて、その多くが車椅子などの要介護3以上で、常時誰かの支援や見守りが必要な高齢者です。災害が起きた際は自力での避難はできません。
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ときわ寮では2018年に避難計画を作成しました。災害時の避難経路を細かく決めていて、大雨などで避難指示が出そうな場合は、事前に入所者を1階から2階のホールに避難させる計画を立てています。

「1階の利用者は、一旦スペースに集まってもらって、その後、階段を利用して2階のホールへ避難していただきます。」(西川富雄施設長)
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停電が起きていることも考え、エレベーターではなく階段を使って2階へ避難する計画ですが、仮に夜間に避難を余儀なくされた場合は相当な時間を要すると施設長は話します。

「夜間は介護員4人体制です。車椅子で避難するとなると1人あたりにかかる時間が相当なものになります。いかに早く全員を避難させることができるかが課題になってくると思います。」(西川富雄施設長)

『災害弱者』をどう守っていくのか。毎年梅雨の時期から各地で被害をもたらす雨は、被害想定と避難のありかたを問いかけています。

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