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【特集】コロナ禍で改めて注目『AI問診』医師の負担減らして、患者の安心につながる...一石二鳥!?

2020年07月01日(水)放送

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新型コロナウイルスの流行で医療現場に大きな負担がのしかかる中、AI=人工知能を活用した診察や問診が注目されています。医療の現場でAIがどのように使われているのか、取材しました。

AIで「肺炎」を識別

東京・港区にある「富士フイルム」で見せていただいた、一見、何の変哲もないCT画像。これを立体化してAI=人工知能が解析すると、青色や紫色などで色付けされた肺の形が浮かび上がりました。
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これは富士フイルムと京都大学が共同開発している『AIを用いた肺炎診断支援技術』で、AIが肺炎の疑いがあると識別した所が青色で示されています。

実はこの画像、新型コロナウイルスに感染した患者の肺を撮影したもので、このような患者の画像情報をできるだけ多くAIに学習させ、その膨大なデータから新型コロナウイルスによる肺炎かどうかを判定する研究が進められています。患者から得られる情報が多ければ多いほどAIの精度は上がるといいます。
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「分かりやすい例はこういうソフトを使わなくても医師はすぐ分かると思うんですけど、非常に初期の症状で医師のお役に立てるケースがあるのではないかと。診断するのは医師ですので、医師が診断するための情報をいかに精度よく提供するかが、我々の目指すところだと考えています。」(富士フイルムメディカルシステム事業部 成行書史マネージャー)

「AI問診」の仕組みとは?

これだけではありません。大阪府高石市にある「高石藤井病院」では、2019年7月からAI問診「Ubie」を導入しています。腹痛を訴える90歳の女性が息子と共にやってきました。すると早速、タブレットに何かを入力しはじめました。AI問診「Ubie」では、タブレット端末を使い、患者は症状に合わせてAIが選んだ質問に答えていきます。
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仕組みはこうです。まず患者が主な症状を入力します。例えば「お腹が痛い」という症状です。AIは約5万件の論文を学習しているため、その膨大なデータを駆使して「お腹のどの部分が痛いのか」「いつから痛むのか」など、その人に最適な質問を選んでいきます。さらに、患者が回答した症状に合わせて質問を深堀りしていきます。質問数は約20問。訪れた90歳の女性と息子も約3分で入力を終えました。

「(紙に症状を)書くって結構大変じゃないですか。ぱぱっと指だけでスピーディーにできるのがいいところですかね。」(90歳の女性の息子)

そして、患者が質問に答え終わると、すぐさま医師のパソコンに問診内容が転送されます。そこには疑われる病名が順番にいくつも表示されていて、医師はこのデータを基に患者と向き合います。1からカルテを書かなくても済むため、医師にかかる負担は大幅に減ったといいます。ただし、AIは「病名の判断」「薬の処方」などの“診療行為”はできず、最終的な病名・治療法の判断ができるのは医師だけです。
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「血の検査をもう1回受けてもらおうと思います。あとお腹の痛い原因を調べるお腹のエコーの検査とかCT検査、これからすぐするようにします。」(診察する高石藤井病院・院長 佐藤弘章医師)

ここまでにかかった時間はたったの10分。女性はすぐに、検査室へと向かいました。

部屋で「AI問診」 スムーズに診察へ

AI問診は併設されている有料老人ホーム「菜の花」でも活用されています。

(職員)「きょうは診察なので、行く前に問診だけしてもらいたいんでお願いします。」

職員は入所者の女性にスマートフォンを渡しました。高血圧の持病がある女性(95)は、病院に滞在する時間を減らすため、自分の部屋で問診をしています。入所者の女性は…

「(質問を)読むのをどなたかそばにいて読んでいただいて、理解して自分が押す。そうしていただいたら結構だと思います。(Q自分の部屋で問診が受けられるのはどう思う?)一番いいと思いますね、楽ですし。」(老人ホーム入所者の女性)
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既に問診は済ませているので、病院での待ち時間はほんの少しで済み、スムーズに診察室に入ることができました。

「これからまた少し暑くなってきます。そうすると血圧は低めになる方が多いですので、これからは安定してくると思いますので、お薬は同じように継続していくようにしましょうか。」(診察する高石藤井病院・院長 佐藤弘章医師)

医師もAI問診に注目

いつ訪れるかわからない新型コロナウイルスの第2波。元々は医師の負担を軽減させるために開発されたAI問診ですが、新型コロナウイルスの感染拡大が問題になる中、改めて注目を集めています。高石藤井病院では、発熱外来での診察を希望する患者全員に、自宅でAI問診を受けてもらうことにしています。

「事前問診で患者様に聞かせていただいた情報がダイレクトに飛んでくるようになっています。短い診察時間できっちりとした確実な問診を取りたいというところは、AIの力を借りてやっているというのが、患者様にとってもメリットがあるかと思います。」(高石藤井病院 根来圭一事務長)
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また、これまで新型コロナウイルスへの感染を恐れて医療機関の受診を控えていた人も減るのではないかと期待を寄せています。

「今実際に、『新型コロナウイルスが怖いので病院に行きたくない』とか、『検査結果を待っている間、車の中でずっと待機をしています』という患者さんが多くおられます。(さらに)生活習慣病の疾患の方が、例えば今まで月1回受診されていた方が、2か月に1度、3か月に1度と、診察の間隔が長くなっている方が多いんですね。そういった方にも(AI問診によって)安心を提供できるのではないかと思います。」(高石藤井病院・院長 佐藤弘章医師)

AI問診「Ubie」は、現在全国200か所以上の医療機関が導入しているといいます。医療機関での院内感染が大きな問題となる中、開発に携わった医師は、AIをどんどん進化させていくことが重要だと話します。

「(新型コロナウイルスの)第2波・第3波に備えて、病院内で感染リスクの低い『安心外来』という形を作っていくのが、我々として取り組むべき内容だと考えています。加えて、患者・生活者の緊急性・新型コロナウイルスの関連症状の数・関連性・病状に応じて、近隣の適切な相談窓口やかかりつけ医を案内していきたい。」(Ubie・共同代表 阿部吉倫医師)

医療の現場でもその存在感を増しつつあるAI。今後より一層、医療機関での導入が進むのでしょうか。

(7月1日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

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