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【特集】新型コロナ患者を振り分ける京都の「コントロールセンター」 宿泊施設で患者に寄り添う「看護師」防護服を着て食事を運ぶ「職員」

2020年05月15日(金)放送

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新型コロナウイルスの感染拡大で患者を受け入れる病床の確保が課題となっていますが、それには患者の症状に応じて病院に入院させるのか、宿泊施設で療養するかを的確に判断することが重要となってきます。その判断を行う最前線、「コントロールセンター」を取材しました。

患者の症状で“施設”を振り分ける「コントロールセンター」の役割

京都府庁にある「入院医療コントロールセンター」では、患者の症状に応じて重症と中等症は医療機関で入院、軽症や無症状の人は宿泊施設へと振り分ける作業を行っています。メンバーは府の職員と医師などで、なかには災害派遣医療チーム=DMATの一員もいます。
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「FAXないしはインターネットで、現在(各病院が)どういう状況か毎朝チェックしています。軽症患者の部屋はあるけど重症患者は人工呼吸器を使っている人が3人いるのでこれ以上無理とか。空床はあってもそのへんは考えながら、スタッフの疲労感とかも多少は考えながらやっています。」(京都府入院医療コントロールセンター 糸井利幸センター長)

患者を振り分ける際に着目するのが患者の年齢や症状、そして“発症からの日数”です。

「いつ発症日とか検査提出日とか、あとはどこに入院させたかとか。発症してからPCR陽性(と判明する)までの期間が非常に早い場合は早く入れてあげたいし。微妙に1週間くらいになってくると、そろそろ重症化する可能性がある。その時は本人が楽そうにしているという連絡があったとしても入院を進める。」(糸井利幸センター長)

センターでは、人工呼吸器の稼働率や患者がどこの病院に転院したかなどの情報がリアルタイムでわかるようになっていて、特定の病院に負担がかからないようメンバーが日々、確認と調整を行っています。

活かされる「ダイヤモンドプリンセス」の経験

こうした振り分け作業にはDMATでの経験が活かされていると、京都府立医科大学・救急科の山畑佳篤医師は言います。

「ダイヤモンドプリンセスのクラスターが発生した時に、全国からDMAT招集がかけられて、京都からも複数行っているんですね。自分も行って。あの時の集まったDMAT隊員が何をやっていたかというと、実は1人1人の治療ではなく、まさにここでやってるようなことなんです。きょう何人陽性が出た、その人の症状はどうか、その症状に合った所に送らないといけない。」(京都府立医科大学・救急科 山畑佳篤医師)

多い日には20人以上の調整にあたっているコントロールセンターですが、京都府では2020年5月15日時点で、コロナ患者を受け入れる病院も26に増え、入院対象者がベッド数の5分の1以下に抑えられています。しかし、依然油断はできないといいます。

「今は何とかバランスがとれているのですが、ここでどこかで大きなクラスター発生するとあっという間にバランスが崩れていくという危うい状況だと思います。」(山畑佳篤医師)

ゾーン分けされた「宿泊施設」 患者とのやり取りは「オンライン」や「LINE」

重症患者の病床を確保するため重要となるのが、軽症者や無症状の患者を受け入れる「宿泊施設」です。京都平安ホテルでは、コントロールセンターで振り分けられた軽症者や無症状の患者21人(2020年5月12日時点)が入所していて、看護師が24時間態勢で、健康管理にあたっています。何かあった時はオンラインで患者とやりとりします。
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【看護師と患者のオンラインのやり取り】
(看護師)「おはようございます。夜は寝られていますか?」
 (患者)「夜はやっぱりちょっと眠れないこともあります。」
(看護師)「呼吸が苦しいとか、そういうことは特にないですか?」
 (患者)「はい、なくなりました。」
(看護師)「よかったです。」

感染を防ぐため看護師は京都平安ホテルの1階の『グリーンゾーン』、患者は4階、5階の『レッドゾーン』と、きっちりゾーン分けがされていて、看護師と患者は基本的には接触しません。
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そこで、連絡手段のメインは各部屋に配られているタブレットです。入所者は1日2回、体温などを測定し、LINEで看護師に報告します。
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「入所者から体温と、気になる方は酸素濃度を測ってもらっています。(酸素濃度は)喘息がある方や、あとは呼吸が苦しいとか、いつもと違うと言われている方は測っていただいています。」(看護師)

しかし、現場の看護師はほとんど患者と接触しない看護をどうやっていくのがいいか、試行錯誤を続けています。

「今まで病棟で働いていた時は、不安な患者さんがいたら手を握ったり背中をさすったりとか、一緒に触れることでコミュニケーションをとったりしていたんですけど、それができないという状況があるので。少しでも不安があったら、不安を聞いて質問にできる限りで答えるようには気を付けています。」(看護師)

京都府の職員も食事の配膳などで患者のいる『レッドゾーン』へ

患者を支えているのは看護師だけではありません。京都府の職員です。新たに患者を受け入れや食事の配膳をするため1日2回は、患者がいるレッドゾーンに入ることになります。京都府の担当者に話を聞きました。

「つなぎを着たうえで足元、靴の上から(防護服を)履いています。」(京都府担当者)

マスクも感染対策用のN95につけかえ、防護服がきちんと着られているか、3人態勢で徹底的に確認します。

防護服を着た後は筆談で連絡をとります。

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レッドゾーンに入って1時間、職員らが戻ってきました。

「(防護服を)脱いだり着たりする作業が結構大変なので、できるだけ1回入ったら全ての作業をまとめて出来るようにしています。汗びちょびちょになりました。」(京都府職員)

なかなか“陰性”にならない患者に寄り添う看護師「1人で抱え込まないで」

一方で、新型コロナウイルス患者へのケアは、身体面だけでなくメンタルの面でも必要になってきています。患者は1人で部屋で過ごし、掃除や洗濯も自分で行います。退所の基準となるPCR検査で2回陰性が出るまで、概ね2週間から3週間、家族にも会えずたった1人で部屋にいるため、不安な気持ちを抱える患者もいるのです。
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「きょうも陽性になってしまったね。心配ないですしね、大丈夫よ。いつまでもうちの所に置いておきません。1人で抱え込まないで。そうね、帰りたいね、早く。うんうん…」(電話で患者と話す看護師)

患者に寄り添うこと。それは通常の患者もコロナの患者も同じです。

「なかなか陽性から陰性にならないんですよ。そしたら『なんで自分だけ』というのが、すごく自分1人だけで抱えているような感じがあるので。寄り添わなきゃ仕事できませんし、『頑張れ』は絶対に言っちゃだめですね。自分1人じゃないことをやっぱり知っていただきたい。」(電話で患者と話していた看護師)

京都の医療崩壊を防ぐため、きょうも懸命な対応が続いています。

(5月15日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

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