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『保育園が子ども預かり拒否』...病院職員とその家族らが受ける"冷たい視線" 職員語る『これが現実』

2020年04月06日(月)放送

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新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、医療の現場で起きている風評被害の問題です。医師や看護師など医療関係者は地域医療を支えるために日々業務を続けていますが、そうした努力を踏みにじるような事態が相次いでいます。

“職員をバイ菌扱い”北播磨医療センター

医療現場でも感染が続く新型コロナウイルス。入院患者・医師・看護師の感染が確認され、関西エリアだけで少なくとも8つの病院が休止を余儀なくされました(4月6日時点で6つはすでに再開)。

その内の1つ、兵庫県小野市にある北播磨総合医療センターでは、医師や看護師ら合わせて5人の感染が確認され、一時外来診察や入院の受け入れを休止していましたが、3月26日から診療を再開。利用者からは安どの声が聞かれました。

ところが、この病院に勤務しているスタッフ達に、思いもよらない冷たい視線が向けられました。

【北播磨総合医療センターのHPより一部抜粋】
『職員をバイ菌扱い』
『当院の職員及びその家族に対する誹謗中傷や風評被害が多数見られ、当院としても心を痛めているところでございます』

病院では職員の家族が介護施設の利用を見合わせるよう言われたり、引っ越し業者から急に契約をキャンセルされたりした他、タクシーの乗車を拒否されるケースもあったといいます。病院職員を乗せたと話すタクシー運転手は…

「病院職員が言うには、(運転手から)『北播磨の職員だったら乗せない』と言われたと。(職員から)『この車は大丈夫ですか?』と言われて、私『大丈夫です』と言って、家まで送って行ったんです。」(タクシー運転手)
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北播磨総合医療センターでは約1300人の職員が日夜、外来患者の診察や入院患者の治療にあたっています。病院は職員の安全性を示すため、希望する職員に対して“濃厚接触者ではないことを示す証明書”を発行しましたが、偏見はまだ完全には払拭できていないといいます。
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「やっぱり悲しいし、辛い気持ちです。影響を受けた職員も多数おりますので、心のケアに関してはこれからも対応していくところです。」(北播磨総合医療センター 粟野孝次郎副院長)

「名前や住所の公表」「医療関係者の子どもの登園拒否」「症状ないのに陰性証明の提出要請」

不当な扱いを受けているのはこの病院だけではありません。関西エリアの別の病院でも同様の問題が起きています。

きっかけは3月に、関係者から新型コロナウイルスの感染が見つかったことでした。事実を公表した直後、病院には電話による問い合わせが相次いだのです。

「まず感染者がどこの誰であるか、名前などを公表して欲しいと。そういう人が地域をうろうろされては困るので公表して欲しいと。それから数日してからは、職員、濃厚接触者として特定された人間の名前や住所を公表しろと。やはり近所にそういう人が居るのが困るという形で連絡が入っています。最初の方は怒りも当然あるんですが、これが風評被害という現実なんだなと受け止めました。」(病院の関係者)

その後、病院では院内感染を防ぐため、徹底的な封じ込め対策が行われました。しかし、子どもを保育園に預けて働く職員が、保育園から子どもの預かりを拒否されたといいます。

「看護師、医療関係者の子どもは登園しないで欲しいと、卒園式もお断りと。濃厚接触者ではないということで『おかしいやろう』と、こちらから申し出というか苦情を言っております。結局は自分から辞退。やっぱりそういう目で見られているというのは辛いということで自分から辞退して、体育館の外から、窓から(卒園式を)見たという保護者が何人かいます。」(病院の関係者)

これだけではありません。同居する家族が、勤務先から「出勤停止」と言われるケースもありました。

「家族関係では、務めている会社から2週間の出勤停止。ある家族は夫婦揃ってPCR検査をして陰性の証明を持って来てくれと言われた。発熱もしていない症状も出ていない状況なので、当然PCR検査というのはできない状況なのに、それを言われたと。」(病院の関係者)

「誰でも病気は怖い」無理解な言動をする人を非難する気持ちは無い

職員とその家族に向けられる偏見や差別のまなざし。地域医療を支える病院スタッフ達の間には動揺が広がっているといいます。

「医療の現場で最前線で働くことを夢見て看護師や医師になっているが、実際にこういう被害が出た場合には、こういう職業に就いて、どれだけ家族や子どもに迷惑をかけているのだろうと考えなおす職員もいます。(Q一生懸命やっているのにこういう結果というのは?)これはもう仕事ですと割り切るしかないと思っています。」(病院の関係者)

しかし、病院関係者の男性は、無理解な言動をする人達を非難する気持ちは無いと言います。

「悪意は無いとは思っております。誰でも病気は怖いものであって、正しい情報が少ない中、色々な意見は出ると思っております。早く薬が開発されて、収まっていくのを祈るしかありません。」(病院の関係者)

“偏見”が生む悪循環に懸念

兵庫県の担当者は、こういった状況が続くと、医療体制の存続が危ぶまれる事態になりかねないと話します。

「患者や施設に対する拒絶ですよね。患者や患者を受け入れている施設を社会から排除しようと、怖いものは無くなって欲しいということで排除しようという動きになると、これは逆に病気が蔓延して治療する手段を失うことになるので、余計に多くの患者や多くの死亡者を出す結論に至る。」(兵庫県疾病対策課 山下輝夫課長)

また、このような風潮が続くと、患者が感染の事実を隠すようになる可能性があると指摘します。

「自分がそういう病気になっていても、もし陽性だと言ったら会社からクビになるんじゃないかとか、色々な恐怖感ありますよね。そういうことによって、しっかりと診断を受けて治療をして周りに広げない、というところまでいかないといけないのに、なかなかそこが徹底できないという風潮になる可能性があります。情報を共有してみんなで蔓延を防止するという態度が、そういうのを言いやすい環境にしないと、感染症というのは収まるのが難しいかもしれません。」(山下輝夫課長)

(4月6日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

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