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3歳で"千手観音にズキュン"...そして5歳で処女作!?300体超の仏像つくる『高校生仏師』とは?

2020年04月02日(木)放送

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長野県長野市に『運慶もびっくり』の300体を超える仏像を生みだした16歳の「仏師」がいるという。仏師とは仏像を専門に作る人なのだが、一体どのような人物なのか取材した。

16歳の仏師・宮沢汰佳君が作る300体超の仏像

仏師に会うため長野市を訪れた取材班。早速、その仏師の自宅を訪れた。熟練の職人かと思いきや、玄関から現れたのは独特の雰囲気をまとう仏師・宮沢汰佳(たいが)君。16歳の高校2年生だ。アジアンテイストの極彩色ファッションを好み、ヘアスタイルは仏像マニアの“みうらじゅんさん”を意識しているという。

300体以上もの仏像を作り出しているという宮沢君だが、仮に生まれてすぐ作り始めたとしても、20日に1体のペースで作り続けなければ、300体もの仏像は作れない。一体どのように作っているのだろうか。
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ある部屋を案内してくれた。

「こちらにあるのが、私が今までおつくりしてきた仏像の数々です。」(宮沢汰佳君)
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千の手と目で一切の衆生を救う「千手観音像」や、頭上に十一の顔を持ち全ての方向を見守る「十一面観音像」。
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指先や手に持つ持物など細部にも一切の妥協を許さないという。

「仏像というのは祈りの形でして、色々な人の祈りを受け止める拠り所となる存在ですので、手を抜いてつくるわけにはいかないですね。」(宮沢汰佳君)
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仏像といえば、木彫りのイメージだが、汰佳君の手法はそれとは異なる。

「これは自分がいつも使っている、10年以上愛用している『石粉粘土』です。」(宮沢汰佳君)

奈良時代には盛んに行われていたという粘土による仏像づくりだ。作る工程を見せてくれた。汰佳君は、石の粉を原材料とした「石粉粘土」に水を馴染ませながら、かたどっていく。この日作っていたのは如来の頭の部分「仏頭」だ。黙々と作り続ける汰佳君の周りには、見本となる写真などは無い。

「いっぱい今までに色んな仏さんの所にお参りしに行っているので、『何々如来』と言われると、その如来様のお姿が浮かぶくらいに好きってことですかね。」(宮沢汰佳君)
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2時間ほどで完成した仏頭。福々しい耳に…最も難しいという目元は、粘土を幾重にも重ねてふっくらと仕上げた。
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汰佳君は、作った仏像を奉るための場所も家の中に自作。先ほど案内してくれた部屋だ。ここを「本堂」と名付け、毎朝「般若心経」を唱えておつとめをしている。1日で完成するものから、手の込んだものでは2週間以上かかるものもあるという作品の数々がある。

コロナ終息の祈りを込めて「薬師三尊」

3月、長野県須坂市の田中本家博物館で開かれた個展「高校生仏師 たいがのミホトケ展」では、不動明王像や千手観音像など30の作品を展示した。新型コロナウイルスが猛威を振るう中、疫病退散、無病息災の思いを込めてつくったという最新作もあった。それが…
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「『薬師三尊』です。薬師というのは薬の師ですので、お医者さん。薬師如来というのは自分たち生きている人間のどんな悩みも苦しみも不安も受け入れて、そして癒して下さる仏様なので、今こそぴったりな仏様だと思いおつくりしました。」(宮沢汰佳君)

お墓を見て“騒ぎ”千手観音の写真に“ズキュン”

普段は制服を着て学校に通う汰佳君。好きな科目は美術と国語。体を動かすのは大嫌いだ。独自の感性を持つ息子を母親の知実さん(41)は、ずっと大事に見守ってきた。
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「小麦アレルギーと卵のアレルギーで食べられない物が多くて、ショックを起こしちゃうくらいだったから、アレルギーの心配の方が大き過ぎて。ともかく“安全に生きていてくれれば良い”と、それだけできてしまったら、いつの間にかこんな“面白い変なの”になっちゃった。」(母・知実さん)

とはいえ、実は物心つく前から『面白い赤ちゃん』だったそうで…

「(孫は)変わり者。間違いなく。だってさ、2歳や3歳でお墓見てキャーキャー騒ぐ者いる?」(祖父・大久保秀三さん)
「2歳じゃない。生まれて6か月の時。」(祖母・ひろみさん)
「チャイルドシートに乗りながらお墓見ていたもんね。」(母・知実さん)

お墓?!それはまたどういう…?

「最初、お墓が好きな変な子どもでして。そしたらお母さんの友達が『そんな面白い子だったらこういうの好きなんじゃない』と、仏像の本をプレゼントしてくれたんですね。(本の中の)千手観音の写真を見た時に、もの凄い衝撃を受けて、『何なんだろうこれは。凄く格好良いな』と思って、そこで“ズキュン”ときた。」(宮沢汰佳君)

全国の仏像を見て回るのが今一番楽しい

「千手観音」の写真に「ズキュン」となった3歳児。その愛が、見るだけでなくつくる情熱へと変わるのに、それほど時間はかからなかった。
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5歳の時につくった“処女作”の仏像を見せてくれた。十一面観音をイメージしたそうだ。勉強のために全国の仏像を見て回るのが今一番楽しいという汰佳君。
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時間を見つけては、長野市の自宅近くにある「信州 善光寺」にも足を運ぶ。本物の仏像を目の前にすると…

「ついつい金網にへばりついて、仏像を見ちゃいますね。」(宮沢汰佳君)

あこがれる『衣紋』の表現

善光寺の宿坊である「釈迦堂世尊院」は汰佳君のお気に入りの場所だ。お釈迦様が死を迎えた時の姿を表した重要文化財でもある「涅槃釈迦如来像」がまつられている。

「自分は仏像を見る時、『衣紋』といって衣の皺を見るんですね。『涅槃釈迦如来像』は横になってらっしゃるので(衣紋が)下に流れているんですけど、それが本当に自然に表現されていて、仏師の技が光っているなって。自分も出来たらなと思いますね。」(宮沢汰佳君)

「仏像だけじゃなくて汰佳君に救いを求めているような感じ」

3月に開かれた個展で行われた汰佳君のトークショー。地元のテレビや新聞で取り上げられることも多く、汰佳君はちょっとした有名人だ。仏像の持ち物としても使われる“ほら貝”を吹きながらの登場。

【トークショーで話す宮沢汰佳君】
「仏像というのはお釈迦様の教えを形に表したものでして、多彩な教えを多彩な姿で表現されているんですけど。」

来場した人に話を聞きました。

「オーラがあるというか。仏像だけじゃなくて汰佳君に救いを求めているような、そんなのを感じました。」(来場者)
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まるでわが子を見守るように汰佳君の話を聞いていたのは、最初に仏像をつくった時の幼稚園の先生・多田智枝さんだ。

「大きくなったね、立派になって。(Q粘土遊びの時間に仏像を?)つくっていてビックリしました。普段なら、壊しちゃうんだけど、飾っとこうと1週間くらい飾っていました。」(幼稚園の先生 多田智枝さん)

「人々の祈りの拠り所となる仏様をつくっていけたら」

高校卒業後、仏師に弟子入りするか、大学に進み仏教と美術を学ぶかで迷っている汰佳君。自分の作品が多くの人から手を合わせてもらえる日を夢見て、今はひたすら仏像をつくり続けている。

「幼稚園の頃から変わらない自分の願いではありますね、仏師になるというのは。人々の祈りの拠り所となる仏様をつくっていけたら良いなと今では思っています。」(宮沢汰佳君)

(4月2日放送 MBSテレビ「ミント!」内『辻憲のBUZZリポ』より)

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