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【特集】新型コロナ対応『和歌山モデル』を徹底取材!内部文書と当事者証言から読み解く..."安全宣言"の要因とは?

2020年03月26日(木)放送

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2月13日以降、和歌山県の済生会有田病院では、医師や入院患者など11人の新型コロナウィルスへの感染が確認されたが、約3週間後には安全宣言を出し、通常の診療を再開した。検査数が限られる中、どのようにして感染拡大を防いだのだろうか。

「直感で新型コロナ発生と確信」

医師を含む院内感染の発生は、済生会有田病院が全国で初めてだった。

「病院の医師、しかも同僚の方もウイルス性肺炎像を示しているという情報でしたので、これは大変なことが起こっているのではないかと。」(和歌山県職員 野尻孝子技監)
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取材班は今回、和歌山県の内部文書を独自に入手した。文書には、院内感染が確認される前後に、県がどのような対応を取っていたか詳しく記されている。

【和歌山県の内部文書より抜粋】
「2月12日11時30分 済生会有田病院の医師がウイルス性肺炎でA病院に入院している。B病院を受診した済生会有田病院の同僚の医師と画像がよく似ている。しかし、国が示している基準ではないので、PCRの検査はできないのか?」
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文書を作成したのは、対策の陣頭指揮をとった、医師で和歌山県の職員・野尻孝子技監だ。2月12日~13日にかけ、野尻技監の下には新型コロナウイルスの感染が疑われる症例の報告が次々と届けられていた。

【和歌山県の内部文書より抜粋】
「2月13日9時前 患者の共通点は、『済生会有田病院の関係者』と『肺炎』」
「同日16時25分 済生会有田病院からC病院に救急搬送された方が、気管内挿管をして重篤との情報。有田病院関係で疑い5例となり、直感で、新型コロナウイルス感染症が発生したと確信」
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この約2時間後には患者の感染が判明したため、県は記者発表をすることになるが、病院名を公表するかどうかについては、会見の直前ぎりぎりまで決まっていなかった。

【和歌山県の内部文書より抜粋】
「発表資料を確認しながら、済生会有田病院長との連絡をとるもなかなか取れず。18時55分に、ようやく院長代理と電話がつながる。『医師という社会的責任と、感染予防対策をとる上で、済生会有田病院と言わざるをえません。』と切羽詰まって伝えると、院長代理は少し考え『わかりました。』と」
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2月13日の記者発表から約3週間後の3月4日、仁坂吉伸知事は安全宣言を出し、有田病院は通常業務を再開した。

「非常に限られた地域、限られた時間の中ですけれど、制圧に成功しました。徹底的にやったということが良かったかなと思います。」(和歌山県 仁坂吉伸知事 3月4日)

国の基準に“当てはまらない人”も検査

和歌山県はなぜ、感染拡大を食い止めることができたのだろうか。

「最初の(患者の)探知の例も、当時の国の基準では、検査の対象外。」(野尻孝子技監)
(Q国の基準に粛々と従っていたら?)
「探知はできなかったということですね。」(野尻孝子技監)

当時、国が医療機関を受診する目安としていた基準は、『中国・湖北省への渡航歴』が含まれ、2月17日に改訂後も、『37.5℃以上の発熱が4日以上続く人』に限られた。しかし、和歌山県はこの基準に当てはまらない人にも検査を実施するという判断に踏み切った。
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「国の方針プラス医師の判断、特に肺炎は注視していこう、というのが県の方針ですね。」(野尻孝子技監)
「国の基準に従うというのが基本原理であるというのは、これっぽっちも初めから思ってないもんね。我々の任務は県民を守ることですよね。守るために論理的にしなきゃいけないことってのはこういうことだろうと。」(仁坂吉伸知事)

検査の“優先順位付け” 病院周辺では聞き込み調査

そして、まず行われたのは、検査の順番に優先順位をつける「トリアージ」だった。検査を最も優先したのは、

1:最初に感染が確認された医師と同じ3階の外科病棟で勤務していた医師や看護師などの同僚達だ。発熱などが無い無症状の人も対象に加えられた。
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2:次に行ったのは、同じ病棟の入院患者の検査。
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3:その次に、他のフロアでも検査を実施することで、入院患者や職員を通じて感染が病院の外へ広がらないようにした。
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4:さらに、病院関係者だけでなく、感染者の家族や知人にも検査の網を広げていった。
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「最後、他病棟の入院患者さんや、出入りの業者さんも含めて、検査をしたということですね。」(野尻孝子技監)
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これだけではない。県は集団感染が発覚した直後から、新たに感染調査班を立ち上げ、病院周辺での聞き込みを始めたのだ。

「まず、交通機関や飲食店、物産販売所、観光施設、そういったところを初めにあたらせていただいて、その中で聞き取った情報を基に、当日担当チーム全員が(情報を)持ち帰りますので、そこで部長・局長はじめ幹部と会議を持ち、『次はこれこれの施設の周辺を当たってみよう』と。」(和歌山県福祉保健部主査 小倉知典さん)

「急いでやる、やり切る」

しかし、和歌山県が1日に検査できる数は40件のみ。全てを県だけで賄うのは困難だった。そこで…

「大阪府知事さんにお願いして、大阪府さんにも150検体の検査実施を協力していただいた。」(野尻孝子技監)

大阪府など他の自治体にも協力を求めて検査体制を拡充し、感染発覚からわずか3週間で802人もの検査を実現したのだ。こうした取り組みの結果、保健所への相談件数に対するPCR検査の実施割合は、東京都が1.5%、大阪府が3.5%、兵庫県1.8%に留まっていたのに対し、和歌山県は35%と他の自治体に大きな差をつけた(2月1日~3月18日※厚労省資料より)。こうした和歌山県の対応について、県民は…

【和歌山県民】
「なるべく検査していた方が、本人も外に出ないよう気を付けられるので良かったです。」
「対応は良かったと思いますね。早かったんじゃないかなと。」
「住民としては鼻が高いというか喜ばしいことですよね。」
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(Q和歌山の教訓は?)
「ゆっくりやっていたらどこかで破綻するので、(検査を)急いでやる、やり切ってしまう、その2つじゃないかなと思いますね。」(仁坂吉伸知事)

検査の網を最大限まで広げ、感染拡大の制圧に成功した和歌山県。“和歌山モデル”は、早期に徹底的に実態把握し、封じ込めることの重要性を物語っている。

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