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東京オリンピックの球技支える大手ボールメーカー2社が広島で切磋琢磨!技術とこだわりが詰まったボールとは?

2020年03月24日(火)放送

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オリンピック正式種目「ボレーボール」「ビーチバレー」「水球」「バスケットボール」「ハンドボール」の公式球が日本製のボールを採用予定ということをご存じでしょうか。そのメーカーは、体育の時間に一度は見たことのあるかもしれません、『MIKASA(ミカサ)』と『molten(モルテン)』です。この2つの企業はなんと同じ広島市にありました。そもそも、ボールは一体どのように作られるのか、世界に選ばれる秘密を探るため、3月6日に現地を取材しました。

『ミカサ』は「バレーボール」「ビーチバレー」「水球」

広島県で生まれた2大ボールメーカー『MIKASA(ミカサ)』と『molten(モルテン)』。MBSの辻憲太郎解説委員が最初に向かったのは、広島市内にある1917年創業の『ミカサ』です。社長の佐伯祐二さんが出迎えてくれました。

(辻解説委員)「ボールがずらっと並んでいるのを見るとミカサさんにやって来たんだなと実感できます。」
 (佐伯社長)「ありがとうございます。」
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(辻解説委員)「このボールは、ミュンヘンオリンピックのボール、1972年。最初にオリンピック公式球になったのは?」
 (佐伯社長)「前の東京のときは、メーカー名を書かないで、何社かが持ち寄って作って使ったと聞いております。」
(辻解説委員)「使われたのは1964年、東京オリンピックが最初なんだけど、その時は大々的に“ミカサのバレーボール”とは?」
 (佐伯社長)「出ていなかった。ミュンヘンオリンピックの時に初めて『ミカサ』の名前を出せた。」

1964年の東京大会で初開催となった女子バレー。欧米の選手との身長差を物ともしない『東洋の魔女』の活躍に日本中が湧きました。それから半世紀以上、ミカサは世界のバレーボールを支えてきたのです。

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東京オリンピックで採用予定のバレーボールは、黄色と青色でとても鮮やかです。

(辻解説委員)「小さくて軽い。中学や高校で、私が授業でやっていた頃はもっと真っ白で…」
 (佐伯社長)「大きくてというイメージが。」
(辻解説委員)「ちょっと重かったような。これに色々な技術の粋が集められているんですか?」
 (佐伯社長)「もう(技術の粋の)塊です。」
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ミカサの技術の粋を集めて作られたバレーボール。東京オリンピックでは、他にもビーチバレーと水球にもミカサのボールの採用が予定されています。

3000mの糸がまかれている!技術の粋を集めた「バレーボール」

このバレーボールの生みの親が、ミカサのスポーツ研究企画センター室の小川龍太郎さん。どんなボールを作り上げたのでしょうか。

 (小川さん)「(バレーボール)協会や関係者からも、やはりラリーが続くボール、つまりプレイが面白くなるというようなものが望まれている。私達も、選手が使いやすくて、見る方も面白いボール、そういうボールにしたかった。」
(辻解説委員)「苦労された点は?」
 (小川さん)「ボールというのは見た目も重要なんですけど、特に競技用ボールというのは性能をきちっと兼ね備えていかなければならない。」
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小川さんによりますと、表面パネルの位置や色をひとつ変えるだけで、ボールの見え方や飛び方が大きく変化するといいます。さらに「ディンプル」と呼ばれるボールの表面にある小さな“くぼみ”。これにより手に当たる時の衝撃やコントロール性が大きく変わってくるのだそうです。

(辻解説委員)「ちなみに小川さんはバレーボールのご経験というのは?」
 (小川さん)「全くないです。見るのはわりと昔から好きなんですけど、経験はないですね。」
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最先端のバレーボール、その製造工程をミカサのスポーツ開発技術部の竹野下誠さんに見せて頂きました。

(竹野下さん)「このブラダー(空気袋)にナイロンの糸を約3000m巻いていきます。」
(辻解説委員)「3000m分の糸を巻く?!」
(竹野下さん)「3kmぐらいですね。これで耐久性と丸さを保つ。」

偏りが出ないように糸を巻くこの技術は、ミカサが代々受け継いできたといいます。

そして、人工皮革のパネルを、職人がボールに1枚1枚手で貼り付けていきます。
 
(竹野下さん)「やっぱり温度とか湿度とかの影響が非常にありますので、なかなか機械化は難しい。」
(辻解説委員)「最後の押し付けている部分というのは?」
(職人・木村好子さん)「隙間なく埋めるために少し重ね気味にして。(パネル同士を)入れ込むと隙間が出ない。」
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そして…ボールが完成しました。

(辻解説委員)「いやー、お疲れさまでした。もう名人芸ですね。こんな作業見たら、世界中のバレーボーラーがこんなありがたいボールは叩いてられへんってことになりませんかね?」
(竹野下さん)「どんどん叩いて大丈夫です。」

ミカサでは年間140万個のバレーボールを生産していますが、実はそのほとんどがタイの現地工場で作っているものです。オリンピックを前に新型コロナウイルスの影響は出ていないのでしょうか。
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 (佐伯社長)「タイでの生産はあまり影響は今のところ出ておりません。」
(辻解説委員)「そこは問題ない?」
 (佐伯社長)「問題ないです。そこは念入りに準備をしています。大丈夫です。」

『モルテン』は「バスケットボール」「ハンドボール」

辻解説委員が続いて訪れたのは、同じ広島市内に本社がある『molten(モルテン)』です。そもそもなぜ、こんな近くに世界的なボールメーカーが2つあるのでしょうか。社長の民秋清史さんに聞きました。

(辻解説委員)「ミカサとモルテンが同じ広島にあったということが驚きなんですけど。」
 (民秋社長)「そうですね、よく言われます。」
(辻解説委員)「創業は?」
 (民秋社長)「1958年ですね。元々はミカサさんと同じ会社で、そこから出て行った。モルテンと2つに分かれたという感じですね。」
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ミカサの社員が独立する形で創業したモルテン。創業翌年には早くも、第1号となるボールを完成させ、スポーツ事業に本格参入しました。モルテンの様々な種類のボールを見せて頂きました。
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(辻解説委員)「私個人的に一番気になるボールはこれなんですね。」
 (民秋社長)「これはですね、天皇杯。国立競技場のこけら落としで令和初の天皇杯。」
(辻解説委員)「ヴィッセル神戸が優勝した試合ですね。」
 (民秋社長)「そこで蹴られたボールです。」
(辻解説委員)「あれも御社が作られていたんですね。御社のボールがオリンピックで公式球に採用されたというのは。」
 (民秋社長)「1984年のロサンゼルス大会で初めてバスケットボールが公式試合球として採用されました。今回の東京オリンピックが記念すべき10回目となっています。」

1992年、バルセロナオリンピック。金メダルを獲得したアメリカ・ドリームチームが世界を魅了した数々の名プレイ。この大会でもモルテンのボールが使われていました。

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(辻解説委員)「東京オリンピックで使われる予定のボールは?」
(民秋社長)「こちらがハンドボールで、こちらがバスケットボールです。」

桜と漢字が描かれたデザインの「バスケットボール」

男子オリンピック世界最終予選で使われ、東京オリンピックでも採用が予定されているモルテンのバスケットボール。表面には漢字で“和”と書かれています。
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(民秋社長)「今回のボールのコンセプトが“エンジニアリングとデザインとアートの融合”を目指していまして。もちろん僕らの技術で、より使いやすいボールを作ろう、というのはやっています。(ボールの表面の)桜のデザイン、これはソメイヨシノという東京で生まれた桜なんです。それが世界中に広がっていった。それと同じように、バスケットの興奮が広がっていく様子を桜で表現して。その周りを線で囲む円。この日本らしい円、これは青柳美扇さんという書道家に書いていただいた。」

実はこのモルテンのバスケットボールも、タイと中国で製造されているということですが、新型コロナウイルスの影響は出ていないのでしょうか。

 (民秋社長)「今のところ問題ないです。確認しました、材料も含めてです。」
(辻解説委員)「東京オリンピックが開催さえすれば?」
 (民秋社長)「開催されさえすれば。」
(辻解説委員)「ボールはもうばっちり?」
 (民秋社長)「ばっちり問題ないです。」

ミカサとモルテン…お互いのことは?

広島でオリンピックを支えるボールメーカー。最後に、お互いのことをどう思っているのか、聞いてみました。まずはミカサの佐伯社長。

 (佐伯社長)「そうですね。私達も広島好きなので、やはり同じ広島の企業としては意識はありますね。」
(辻解説委員)「ライバル関係なんですか?」
 (佐伯社長)「やはりライバル関係ですね。そりゃあ商売ですんでね。切磋琢磨、お互いする必要はあると思いますね。」

一方、モルテンの民秋社長は?

(民秋社長)「うわーそうですね…仲はいいと思うんですけど。一世代前は凄かったですよ、本当に。広島でいう“仁義なき戦い”みたいなノリだったんですけど。今は我々もミカサもそうだと思うんですけど、グローバルな市場を見ているので、小さな国ですったもんだやるよりは、世界に羽ばたいていこうという意識の方が高いですね。」

日本が、そして広島が誇る2つのボールメーカーは、準備万端整え開催を待っています。

(3月24日放送 MBSテレビ「ミント!」内『辻憲のちょいサキ!』より)

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