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【特集】1300年前のパンデミックの状況が現代と酷似!?税免除や現金給付...現代の検討案が奈良時代に

2020年03月18日(水)放送

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3月11日、WHO(世界保健機関)は、新型コロナウイルスの感染拡大についてパンデミック(世界的大流行)にあたると表明しました。日本でも感染拡大が続いていますが、『約1300年前の奈良時代』にも現代と同じように感染症の大流行が起きていました。そんな昔の話と思われるかもしれませんが、政治や民衆が混乱する様子は、奈良時代も今もそう変わってはいないようです。

奈良時代に“パンデミック”

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当時の“感染症大流行”について、歴史学者から作家に転身した澤田瞳子さん(42)に話を聞きました。澤田さんは、奈良時代のパンデミックを題材に小説『火定』(2017年出版)を執筆。作品では、病気の感染を恐れて大混乱に陥る民衆や、貴族が病死して政治が機能不全に陥る様子などが描かれています。

推定で100万人以上が死亡…政府の対応は?

平城京の遷都後間もない737年(天平9年)に、天然痘とみられる疫病が大流行し、当時の日本の総人口の約3割にあたる100万人以上が死亡したと推定されています。当時政権を握っていた公家の藤原4兄弟も全員病死し、政治も停止しました。当時の政府の対応について、澤田さんは次のように話します。
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「その当時ですと、病気が流行った後に、まず税金を免除する。あとは、体の弱い人や病気にかかった人達に賑恤(しんじゅつ)と言いますが、お米をあげる。当時のお米は要はお金ですね、お金をあげると。そして、公的基金の貸し付けを行うといった措置が行われていまして。」
(Qそれはいつの時代の話ですか?)
「天平時代です。」
(Q今言ったことは全部、政府が今やろうとしていることですよね?)
「そうなんですよ。」

経済政策が重要になるのは今も昔も同じ。安倍総理大臣は3月14日の記者会見で総額1.6兆円の金融政策を表明し、追加の大型経済対策も検討しています。

出されたのは場当たり的な対処法!?

ただ、混乱の中、専門的な知見や科学的根拠を顧みないケースがあるのも同じようです。当時の政府が出した疫病に対する対処法が記された史料を調べてみると、中国の医学書から引用されているのですが、その中身というのが…

【当時の対処法が記された史料(関西大学図書館所蔵)より】
『水を飲んではいけない。心臓が傷つき、寝ることができなくなる。』
『生魚を食べたり、酒を飲んだりしてはいけない。』
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「本当にこれが効くのか、今でいうところの治験のようなことも行わずに、けっこう場当たり的な布告だったらしいです。それは国の中枢である太政官の貴族達がほとんどが死んでしまっているのと、政治も中止していたので、とりあえず出してみると。出してみて効いたらラッキーぐらいの発想だったのではないかなと思います。」(作家 澤田瞳子さん)

専門家に科学的な根拠や意見を聞かずに判断された一斉休校の要請などは、ひょっとして通じるところがあるかもしれません。

“他人の動きに動揺”は今も昔も変わらない?

民衆の取った行動については、奈良時代の少し後、平安時代の史料を参考に書いたと言いますが…

「疫病が流行って、ある人が一言『あそこの井戸の水が効くらしいよ』と言ったら、都の人達が皆、桶を持って集まってきて、泥ばかりの水を汲んで持って帰ったという史料があるんです。結局、人は誰かに何かを言われると動揺してしまう。それは今も昔も変わらないと思います。」(作家 澤田瞳子さん)

確かに、SNSのデマ投稿が発端とされるトイレットペーパー不足騒動を見ると、今も昔も変わらないと言えそうです。

ちなみに、小説『火定』では、“偽物のお札を高値で販売する人物”が現れます。これは澤田さんの創作・フィクションだといいますが…

「今回のマスク転売とかを見ていますと、そういうのに乗じて稼ぐ人っているんだなと思いました。」
(Q今起こっていることと重なっていますね?)
「そうですね。現実が小説を追いかけてきたなという、ちょっとした恐怖があります。」
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政治も民衆も、1300年前の疫病大流行は現在の状況と似ていることが多いようですが、私達は歴史から何を学ぶことができるのでしょうか。

「皆さん頭の中ではそんなはずはないと分かっているのですが、不安が先に立ってしまうと、不安に駆られた行動を取ってしまう。自分自身の心をなるべく冷静に保つしかないのではないかなと思います。」
(Q自分の心を冷静に保つためには?)
「信頼できる史料ですかね。私は歴史学をずっとやってきた人間なので。史料とは定まったもの。政府の発表にしても、様々なインターネットの情報にしても、ちゃんとした根拠のあるものを信じることかなと思います。」

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