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【特集】"電車に乗るのも怖い"『1型糖尿病』患者の今...新型コロナ「重症化」へのリスク高い分析結果が

2020年03月12日(木)放送

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感染が拡大している新型コロナウイルス。感染しても軽い症状で済む人が多い一方で、持病がある人は重症化しやすいという調査結果が報告された。日本で多くの患者がいる「糖尿病」もその1つだ。中でもより症状が重い『1型糖尿病』を患い、不安な日々を送る家族の姿を追った。

「インスリンは命綱」

自宅で毎日ニュースを不安そうに見つめる大阪府岸和田市の滝谷香さん(37)。夫の和之さん(37)と小学6年生の長男・康馬くん(11)の家族3人で暮らしている。
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香さんは『1型糖尿病』で、食事で上がった血糖値を下げるため、毎日少なくとも3回は自らインスリン注射を打たなければならない。

「注射を打たないと血糖が上がっていく。高血糖発作になる。インスリンが私達の命綱やなって思います。」(滝谷香さん)

血糖値が下がり過ぎると昏睡状態に

1型糖尿病は、自己免疫の異常ですい臓の一部の細胞が破壊され、血糖値を下げる「インスリン」ができなくなる病気だ。肥満や生活習慣などが原因で発症する2型糖尿病とは違い、1型は発症の原因が不明で、現在の医学では一生治らないとされている。生きていくためにはインスリンを体内に補充することで血糖値をコントロールしていくしかない。
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香さんは、毎日何度も血糖値を測定し、インスリンの量を細かく調整している。しかし、意識が朦朧として上手く立ち上がることができないことも。これはインスリンで血糖値が下がり過ぎたことが原因で、意識障害を起こし、昏睡状態に陥る場合もある。そんな香さんを今さらに不安に陥れているのが「新型コロナウイルス」だ。大阪で感染者が出るたびに危機感を募らせている。

「不安や。」(夫・和之さん)
「不安やな。早く治療法が開発されたらいいなって、ほんまに早く!って思います。助かる人も増えてくるやろうし。」(滝谷香さん)

WHOなどの調査では致死率9.2%に

新型コロナウイルスの感染が拡大した中国で、WHO(世界保健機関)などが行った調査の報告書が公表された。中国で感染が確認された約5万6000人のデータを分析していて、その結果、全体の致死率は3.8%だったが、糖尿病を抱える人は致死率9.2%で、持病の中では心臓病の13.2%に次いで2番目に高い数字となった。日本でも厚生労働省は1型・2型共に糖尿病の患者は重症化するリスクが高いとしている。
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「亡くなっている人が日本でもだんだん増えてきているじゃないですか。治療方法が見つかっていない、1型糖尿病を持っている、もしなったら死んでしまうやん、というのが一番が怖い。」(滝谷香さん)

なぜ糖尿病患者は重症化のリスク高い?

なぜ、糖尿病の患者は新型コロナウイルスに感染すると重症化してしまうのか。自らも1型糖尿病を患っている大阪医療センターの加藤研医師は、専門医の立場から2つの理由を挙げた。1つ目は「糖尿病患者は既に臓器や血管が弱っていること」、2つ目に「感染することで血糖値のコントロールがさらに難しくなること」だという。

「重篤な病気になると、ストレスに対処するホルモンが沢山出ます。そうすると、そういったホルモンは血糖値をどんどん上げようとするので、血糖値が高すぎて昏睡状態、かなり命の危険がある状態になるということです。血糖コントロールが悪い状態の患者さんが多い1型糖尿病の方が、かかってしまうとより重症になる可能性はありますね。」(大阪医療センター 加藤研医師)
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さらに、血糖値が高い糖尿病患者は、感染症にかかりやすいと加藤医師は指摘する。

「血液中の白血球、要するにばい菌やウイルスと戦う部分の活動性が、血糖値が高いと下がると言われています。免疫力が下がっているのであらゆる病気にかかりやすい。」(大阪医療センター 加藤研医師)

“遠出するのも命がけ”

香さんは、以前は保育士だったが、勤務中に発作を起こして倒れ、外に出るのが怖くなって、それ以来働いていない。現在は電話での診察も可能だが、採血によって病状を知る必要があるため、毎月の通院は欠かせない。

「電車に乗っていても、皆が皆マスクしていないし…でもそんなん気にしてたら病院も行けない。遠出する、電車に乗るのは、今の時期凄く怖いなって。命がけだと最近思います。」(滝谷香さん)

感染リスクあっても仕事を休むわけには…

実は、夫の和之さんも同じ1型糖尿病だ。パチンコ店でアルバイトとして働いていて、年収は約210万円。4年前、香さんの障害基礎年金が国から打ち切られ、一家の家計を支えるのは和之さんの収入だ。毎月の医療費はインスリン代など2人で約6万円。苦しい生活の中、感染のリスクがあるからといって、仕事を休むわけにもいかない。

「主人の仕事はサービス業やし、人とかかわる仕事なので、色んな人いてはるから心配は心配。マスクはしてるよとは言ってるけど。でも仕事に行ってもらわないと…生活費もいるわけやし。1型糖尿病じゃなくても他に持病がある方はいてはるし、その辺もうちょっと目を向けて欲しいなって。」(滝谷香さん)
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和之さんはこれまで清掃会社など10店舗以上の面接を受けたが、病気が原因で断られ、ようやく採用してもらえたのが今働くパチンコ店だという。

「(Q感染の可能性もあるが?)たぶん大丈夫です。アルコール消毒をこまめにするとか。自分自身もお客様も一緒にやってこられているので、大丈夫だとは思います。(Q働かないといけない?)そうですね、なかなか…。」(夫・和之さん)

日本で新型コロナウイルスの感染が拡大する中、重症化するリスクが高いとされ、感染する不安を抱える人達がいる。こうした人達のことを国は本当に守ることができているのだろうか。

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