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銭湯掃除で『家賃・光熱費が"タダ"』の学生寮! 20年以上続く仕組みとは?

2020年03月04日(水)放送

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京都・上京区にある銭湯「山城温泉」。ここで掃除をしたら、銭湯の裏にある『学生寮』に家賃・光熱費“タダ”で住むことができるといいます。この仕組みは20年以上続いているといいますが、実際に寮にタダで住む住人を取材しました。

家賃もガス代も水道代も電気代も全部タダ!その部屋の中とは?

取材班が京都・上京区にある銭湯「山城温泉」を訪ねると、寮の住人で立命館大学3年生・岡田陽向さんが待っていてくれました。
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学生寮は銭湯の裏手にあるそうで、勝手口から細い通路を通り抜けて、入って行きます。
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 (取材班)「長い廊下ですね。」
(岡田さん)「この廊下の部分が銭湯なんですよ。」
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そして…

(岡田さん)「ここが、学生が住んでいる寮です。」
 (取材班)「けっこう歴史がありそうな…」
(岡田さん)「ありますね。」
 (取材班)「平成生まれの学生からすると、この建物は…」
(岡田さん)「第一印象は古っ!!って思いました。」

昭和感あふれる建物が、銭湯に併設された『学生寮』。1フロア2部屋の2階建てで、2020年3月現在、4人の大学生が暮らしています。
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 (取材班)「めっちゃ洗濯物がかかっていますけど…」
(岡田さん)「ここが共同スペースになります。」

建物と銭湯と間にある共同スペース。ここにある洗濯機や物干し竿は共同で使われているそうです。
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さらに寮の中を案内して頂きました。岡田さんの部屋は1階にあります。各部屋8~9畳の広さがあり、勉強するためのデスクやシングルサイズのベッドを置いても、まだまだゆとりのある広々とした部屋です。

 (取材班)「この部屋がタダなんですか?」
(岡田さん)「そうです。ガス代・水道代・電気代、全部タダです。」

「部屋に住んでいた前の先輩が次の後継者を探すシステム」

銭湯掃除を条件にタダで住めるというこの部屋。2年前に入居した岡田さんが、ここに住むことになったきっかけはなんだったのでしょうか。

(岡田さん)「ざっくり言うと先輩の紹介です。この部屋に住んでいた前の先輩が、次の後継者を探すのがここのシステムで。ツイッターで探していたのを見て、話を聞いたっていう流れです。」

ここに住むまでは、実家から大学まで1時間半かかっていたそうです。

 (取材班)「一人暮らししていると、みんな家賃はどれくらい?」
(岡田さん)「光熱費とか諸々込みで6~7万くらいは。親には『一人暮らししたいから出してや』とは、よう言えないので。仕方ないと思っていた矢先に、ここの話を聞いたので『これや!』と。」

“オタク”な住人も「充実した日々」

続いて、取材させて頂いたのは岡田さんの隣に住む、立命館大学4年生で入居歴2年の吉森雅人さんです。吉森さんの部屋はアイドルの名前が書かれたタオルやポスター、うちわなどがたくさん貼られてありました。

(吉森さん)「僕が乃木坂46が好きなので。オタクですね、完全に。」

岡田さんの部屋とは打って変わった雰囲気ですが、こちらも約8畳の広々としたスペース。

 (取材班)「どういうきっかけでこの寮を見つけた?」
(吉森さん)「サークルの先輩が4年生になって出ていくからという理由で、『誰か入る人おらへん?』っていうので、僕が入ることになりました。」
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吉森さんの自宅は兵庫・尼崎市で、通学に約1時間半かかっていました。タダで住めるならと、両親からも背中を押されたそうです。

(吉森さん)「自分で家賃を払わないといけないって友達もいるんですけど、僕の場合は趣味にお金を使えるので、充実した日々を送れています。」

壁が薄いが故の「LINEより早い返事」

 (取材班)「(吉森さんと岡田さんの)2人は隣同士の部屋だけど、隣の音は聞こえる?」
(岡田さん)「壁が薄いので、壁越しに会話ができるくらいには、お互い声が聞こえます。『ご飯食べに行こうと!』と壁に喋ったら返事が返ってくる。LINEするよりも早いです。」

一つ屋根の下で暮らす学生達。自然と仲良くなり、一緒にご飯を食べることもしょっちゅうだそうです。ちなみにキッチンは共同で、岡田さんの部屋の前にあります。この日のメニューは「カレー鍋」。いつも一緒にユーチューブを見たり、たわいのない会話をしたりしながら、食事をするそうです。

銭湯の掃除は深夜1時から。夕飯を食べ終えても、まだ時間があります。

 (取材班)「夕飯食べて、銭湯掃除までまだ時間がありますけど、この後は?」
(吉森さん)「3~4時間くらいは1回寝てから、起きて銭湯掃除します。」
 (取材班)「後ほどまた、よろしくお願いいたします。」
(吉森さん・岡田さん)「よろしくお願いします。」

丁寧にピカピカに…重労働の銭湯掃除

学生寮を運営している銭湯「山城温泉」は、大正時代から続く地元の人達の憩いの場。今の店主が21年前に引き継いで営業を続けています。

午前1時、銭湯の営業が終わると、岡田さんと吉森さんが銭湯にやって来ました。銭湯の入口には…店主の林大輔さん(42)が立っていて、2人に「頑張って」と声をかけています。ちなみに林さんは2人の子を持つパパです。

(取材班)「午前1時ですけど、今からどれくらいかけて?」
(林さん)「今から始めて午前3時まで、約2時間くらいかかります。」
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岡田さんと吉森さん、早速、掃除に取り掛かります。まずは、イスや洗面器の回収から。鏡に加えてカランやシャワーも丁寧に磨いていきます。
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さらにサウナの中もピカピカに。

(取材班)「営業直後なので、まだまだ暑いですね、サウナ。」
(吉森さん)「そうですね。冬はまだマシですけど、夏は地獄のように暑いです。」

学生が担当する掃除は週に2回。林さんと一緒に2人または3人で行います。
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銭湯としては中規模だという山城温泉ですが、デッキブラシがけだけでもかなりの面積です。

(吉森さん)「正直僕は(デッキブラシがけが)一番しんどいと思っています。」
(取材班)「けっこう腕がパンパンになる?」
(吉森さん)「最初に入った頃はすごい筋肉痛になっていたんですけど、今はコツをつかんだので、しんどいですけど、そんなに筋肉痛にはならないです。」
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取材班もデッキブラシがけを挑戦させて頂きました。床のタイル4マスを目安に1往復、端は2往復が掃除のやり方なんだそうです。

(取材班)「まあまあ力が要りますね。」
(吉森さん)「ちょんと力入れないと、林さんに怒られてしまうので。」
(林さん)「60点!!」
(取材班)「60点ですか。」

厳しさと優しさを合わせ持つ林さん、 学生の掃除にも愛のあるスパルタで接するそうで…

(林さん)「慣れてくると学生さんはサボりだすので。サボったら横移動のスピードが速くなるんです。こうなるんです(斜めにザクザクとデッキブラシをかける)。」
(取材班)「ちょっと磨き残しが出ますもんね。」
(林さん)「『吉森間違っている!!』『サボってるやろ!』って感じで。」
(吉森さん)「最初の方は怒られながら頑張っていました。」

“銭湯掃除で寮がタダ”仕組みが続くワケ

先代から始まったこの“銭湯掃除で寮がタダ”という取り組みは、もう20年以上も続けられているそうなのですが、なぜ続けているのでしょうか。
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(林さん)「私一人では、これだけ隅々まで掃除できないので、若い力、学生の力を借りて掃除をするというのが続いて行く理由です。」
(取材班)「アルバイトを集めたりはできないのかなと思うのですが?」
(林さん)「スーパー銭湯も掃除のアルバイトを募集しはるんですけど、集まらないみたいなんですよ。深夜の掃除、重労働…時給が2500円とか3000円もらったら、割に合うかもしれないですけど。」

この時代、どこも深夜の銭湯掃除には苦労しているようです。
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では、学生達はどう感じているのでしょうか?

(岡田さん)「周りの友達でこの辺で一人暮らしをしていると、光熱費とか込みで7~8万円かかるので。それを考えて週4時間。時給で計算して4500円くらい。そう思うと深夜やし、割に合っている。条件に合っている。条件通り。」

とはいえ、こんな問題も…

(取材班)「午前3時までかかるじゃないですか、翌日の授業は大丈夫?」
(吉森さん)「翌日の授業…1限はけっこう遅刻しちゃうことが多いです。」

「大学の後輩」「父親ぐらい頼れる大家さん」「年の離れたお兄ちゃん」

スタートから2時間後の午前3時、銭湯はすっかりきれいになりました。シャワーもピカピカです。林さんと学生達は、掃除が終わったばかりのお風呂で疲れを癒します。
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 (取材班)「学生さんに囲まれて仕事しているのはどうですか?」
 (林さん)「気持ちが若くなります。僕はもう大学の後輩って感じで。」
(岡田さん)「後輩は言い過ぎっすよ。まあでも、ほんまに親父ぐらい頼れる大家さんなので。テストの期間とか掃除して、『明日テストあるんですけど、起きられるか分からない』って言ったら、ちゃんと起こしに来てくれはったりするので。」
(吉森さん)「親分って感じでもあり、年の離れたお兄ちゃんって感じもします。」
 (取材班)「気持ちとしては何歳くらい?」
 (林さん)「18歳です。」

(3月4日放送 MBSテレビ「ミント!」内『ナゼトキ』より)

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