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お雛様が散髪に麻雀...『現代生活』を謳歌!?ひな人形の"第二の人生"をサポートするプロジェクトが話題

2020年02月27日(木)放送

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3月3日の「ひなまつり」に合わせ、家庭などで飾られる「ひな人形」。このひな人形が『掃除』や『散髪』といった“現代の生活”を送っている写真が話題になっている。中には、卓を囲んで『麻雀』を打つという姿も…。なぜ、ひな人形をこうした姿で表現しているのだろうか。

“自由すぎる”お雛様たち

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今話題となっている、ちょっと変わったひな人形の数々。ダイナミックに体操・鉄棒の片手大車輪を決める様子や、ヲタ芸、「桜を見る会名簿」と書かれたものを持つお雛様など、穏やかな表情に美しい装束という姿はそのままに、旅行やスポーツの風景、時には時事ネタにも切り込んでいる。
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お雛様をこんな姿にしてしまったのは一体どんな人物なのか。取材班が訪れたのは、名古屋市。沢山のひな人形に囲まれて作業している女性に話を聞いた。
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(Q何をしている?)
「ご家庭で置けなくなったお雛様をお預かりして、どうやったら(お雛様の)“第二の人生”になるかなと考えています。」
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こう語るのは、名古屋市の主婦・吉野孝子さん。子どもが大きくなり、捨てられる運命にあったお雛様たちを引き取って、「第二の人生」を謳歌してもらおうというのだ。

「“子どもたち”が救える」

実は、4516本の帯を所有し、帯のコレクターとしてギネス世界記録を持つ吉野さん。古い着物をリメークする教室などを主催していて、ひな人形リメークのきっかけは12年前、生徒さんの一言だった。
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「お雛様に自分で作った着物が着せられないかなと。『じゃあ1回脱がせよう』と脱がせたら、針金が入っていて動くんです。顔も動く。動きをつけたら楽しいお雛様になるよねと。捨てるということはごみになるということだから、飾って皆さんに見てもらえれば、これだけの人数の“子どもたち”が救える。」(吉野孝子さん)
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時にはビールをたしなみ、イクメンになるお雛様。表舞台から引退したひな人形に、現代の日常生活を送ってもらい、その姿をまた多くの人に見てもらおうというこの活動を、吉野さんは『福よせ雛プロジェクト』と名付けた。

警察署の広報でも活躍!

ある日、吉野さんは愛知県警・中村警察署を訪れた。毎年、ひなまつりの頃に「福よせ雛」を署内に飾って警察からのメッセージを発信している。宮中の雑用係・仕丁の人形には、唐草模様の風呂敷を背負わせて泥棒役にした。雛人形の多くは中に針金が入っていて、ぐっと曲げるとその形をキープすることができる。時には顔を入れ替えることも。
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吉野さんがこの活動を始めた当初は「罰が当たる」など批判も受けた。しかし、思い出の詰まった大切なものだからこそ、この活動には意味があると考えている。

「お雛様って自分が買うものではなくて、祖父母や親が孫や子どものために買ってくれるもの。捨てるということは、ものを捨てるだけじゃなくて、その気持ちまで捨ててしまう。私たちがお預かりして、どこかで生きていくようにします。罪悪感をなくすように。」(吉野孝子さん)
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今年で7年目になる警察署での飾りつけ。小道具で頼りになるのが、「福よせ雛」のメンバーらの孫が持っているガチャガチャのおもちゃだ。掘り出し物が多いという。

「どこのおうちもそうですよ、孫がそのくらい(の年齢)。すぐ“盗んで”くる、福よせ雛が終わるとそっと返す。」(吉野孝子さん)

ちなみに、警察官お手製の小道具もある。

「(福よせ雛)気に入っています。ファンも見に来て、楽しみにしている。すごくいい広報になっています。」(愛知県警・中村警察署の署長)
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今回は『飲んだら乗るな、乗るなら飲むな』『ひったくりに注意』といったテーマで作品を作り上げた。生徒さんの一言から始まったこの「福よせ雛」の活動は、今や国内や海外の25か所で開催され、ひなまつりシーズンの風物詩となっている。

過疎化進み…お雛様で町おこし

また別の日、吉野さんが訪れたのは鳥取県日野町。その理由は…

「ここで福よせ雛があるので、手伝いにきました。」(吉野孝子さん)

人口3000人、過疎化が進む日野町では去年、町おこしのためにお雛様に「特別住民票」を交付し、新たな町の目玉とする取り組みを始めた。実は、このアイデアを提案したのが吉野さんなのだ。町長室にはこんなお雛さまも…
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「町長代理のお内裏様。(Q町長に似たお雛様を選んだ?)いい顔だったらから忖度しておいた。眼鏡は作ってあげました。」(吉野孝子さん)

「日野町が“雛町”に」

今年で2回目となる『日野町 福よせ雛』。郵便局や銀行など約20か所で展示され、飾りつけは町の人たちが行う。中には、12年前までひな人形を作っていた元人形師の姿も。

「こんなこと言ったら叱られるけど、私らからいったら邪道なんです。去年(初回)は『こんなことしていいのか』という思いがあった。だけど人形供養だと全部納めて焼いてしまう。1年かかって一生懸命作ったものが、2年か3年飾られたら住宅事情で、どこかにしまわれてしまう。だったらこういう生かし方もあるのかなと。」(元人形師)
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今や町民の数よりひな人形の数の方が多くなった日野町。住民も期待を寄せる。

「口コミでお雛様シーズンに(観光客が)歩かれていましたよ。県外者で島根県とか時には岡山県、広島県。日野町が“雛町”になりました。」(日野町民)

「『今年もしていますか?』って2月6日頃に大阪から3人。どこに行ってもお雛様があっていいねって言ってくださって、本当にお雛様のおかげです。」(日野町民)
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現役時代は女の子の成長を見守ってきたお雛様。

「(人は)定年とか年がいくと若い時と違った社会貢献をする。それと同じように、お雛様もおうちから出たわけですから、第二の人生、第二の自分のしたいこと、そういうところを私たちがサポートしてやっていく。」(吉野孝子さん)

役目を終え、自分の「人生」を楽しむ姿を見せてもらうのも悪くない。

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