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【特集】行き場がない!?大阪のビジネス街で再開発の余波 放送局もクリニックも物件探しに悪戦苦闘...そのワケは?

2020年02月13日(木)放送

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大阪のビジネス街「淀屋橋」では、今ある複数のビルを取り壊して、新しい高層複合ビルを建設する再開発計画が進められている。しかし、解体されるビルにテナントとして入る会社などは、引っ越し先の物件がなかなか見つからず、悪戦苦闘している。いったい何故なのだろうか。

2025年までに新たな“顔”を建設

大阪・淀屋橋は、市役所や企業のオフィスが集まる大阪きってのビジネス街だ。

「御堂筋のイチョウ並木が始まり、大阪の玄関口ともいえる淀屋橋。4~5年後には御堂筋を挟んで、両側に100mを超えるツインビルが誕生します。」(記者リポート)
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御堂筋と土佐堀通りの交差点の南側には、築50年前後の複数のビルが建っているが、これをまとめて再開発し、2025年までに150mと135mのツインタワーを建設するという計画が進められている。賃貸オフィスや商業施設などが入る地上28階建ての高層複合ビルは、淀屋橋の新しい「顔」になりそうだ。周辺を歩く人は…

「変わるでしょうね、だいぶ。今はビジネスマンが多いと思うんですが、商業施設が(入るビルが)建つことによって、主婦の方も来るのかなと思って。」(大阪市内勤務の男性)
「(ツインタワーは)シンボリックだと思います。御堂筋を走りながら梅田があって淀屋橋があって、心斎橋からミナミがあって…。我々大阪人も来たくなるような環境になったらいいなと思いますけどね。」(大阪・本町エリア勤務の男性)
「私は低めの方が好きは好きですけどね。この雰囲気自体は淀屋橋独特かなと思うので。」(淀屋橋勤務の女性)

戦前から建つビルのオーナーは…

再開発予定地の一角に建つ石原ビルディング。オーナーの石原実さんは長年、この場所で時計店を営んできた。

「昭和10年頃かな、竣工したのが。凝っているでしょう。(壁は)本物の大理石でね。私の祖父が建築に凝って、内装を指示した。」(石原ビル・オーナー 石原実さん)

今から80年以上前、戦前に建てられたこのビルは大阪大空襲を免れ、淀屋橋のランドマークとして親しまれてきた。
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「御堂筋の玄関口だから、どんどん発展していくというのは結構なことだと思います。それとビル自体がだんだん老朽化していくんですよ。単独で建て替えたら、エレベーターが要る、共用部分も要るので、実際に使えるところはうんと狭くなるんですよ。」(石原ビル・オーナー 石原実さん)

梅田から地下鉄・御堂筋線で1駅。しかも駅直結という好立地。名残惜しい気持ちもあるが、再開発はこれからの大阪の発展に欠かせない事業だと話す。

「最後に残された一等地、それにふさわしい業種が入ってくる。」(石原ビル・オーナー 石原実さん)

「何かを犠牲にしなくちゃ…」困難極めた移転先の物件探し

取り壊しが予定されているビルでは既にテナントが立ち退きを始め、建て替えに向けた準備が進む一方で、行き場を無くして頭を悩ませている人達もいる。50年以上前から淀屋橋に大阪支社を構えている熊本の放送局「熊本放送」は、去年春にビルの建て替えを知らされたが、移転先の物件探しが困難を極めたという。

「同じような単価の物件が非常に少ない、むしろ無い。となると、この界隈を離れるしかないというような状況になったので、物件の状況を目の当たりにして非常に困りました。」(熊本放送 永倉英樹大阪支社長)
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淀屋橋にほど近い中之島や堂島エリアに取引先が集中しているため、遠く離れた場所への移転は業務に影響を及ぼしかねない。結局700mほど離れた堂島にあるビルに入居するめどが立ったが、今と同程度の家賃にもかかわらず、広さは約6割になってしまった。

「予想以上に物件が無いですね。やはり何かを犠牲にしなくちゃいけない。狭くなるとか遠くなるとか。」(熊本放送 永倉英樹大阪支社長)

空きがない!?大阪市中心部で深刻なオフィス不足

実は今、大阪市中心部では深刻なオフィス不足が起きている。不動産サービス「CBRE」の調べによると、大阪のオフィス空室率は2013年頃から急激に下がり始め、去年、初めて1%を割りこんだ。この空室率と連動して、賃料はこの5年間で4割近くも上昇し、2008年以来の高い水準となっている。いったい何故なのだろうか。

「企業はここ数年非常に好調ですから、人員も非常に増やしてきていて、おのずとスペースが必要になってくる。」(CBRE 山口武さん)
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元々大阪はオフィスの数が少ないことに加えて、「働き方改革」の影響で企業が一斉に採用を強化したため、優秀な人材を確保するために利便性の高い都心部にある物件に人気が集中した結果だと専門家は分析する。

「大抵の企業は梅田を希望するといっても過言でないぐらい梅田が突出して人気が高いですね。次いで伝統的なオフィスエリアである淀屋橋とか。」(CBRE 山口武さん)

“水回りの改造NG”で苦労したクリニックも

移転先の物件探しに頭を悩ませているのは会社だけではない。歯科クリニックの「福田デンタルクリニック」は、7年前から、取り壊しが決まったビルで診療してきた。

「特に患者さまがお年を召していくにしたがって、利便性がいい場所でないと、定期的に経過を見ることができない。ここのクリニックがやっと軌道に乗り始めて、遠くからも患者さんに多く来て頂けるようになって、このままあと10年15年いけるかなという思いもありました。(移転で)また一からスタートだということで、正直言って非常にショックでした。」(福田デンタルクリニック 福田真一院長)
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ビル解体の通知を受けて移転先を探し始めたが、すぐに壁にぶつかったという。

「我々は水を使う仕事ですが、水回りなどの改造がだめだと。貸主さんも今は非常に強気の状況で、何回も頭を下げに行ったんですが、みんな断られました。」(福田デンタルクリニック 福田真一院長)

普通のオフィスとして使いたいという借り手がいくらでもいるため、水回りの工事などが必要な歯科クリニックは敬遠する家主が多いのだという。結局、淀屋橋から1駅離れた北浜への移転を決めたが、家賃は3割も上がってしまったという。

「仕方ないけど早く建て替えて欲しいですね。私にとっては(淀屋橋が)最高です。難波から一本で傘をささずに来られるし。」(奈良から通う患者)
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福田院長は、今年1月から当面は移転先での診療を続け、新しいビルが完成したらまた淀屋橋に戻りたいと希望しています。

「還暦の年齢でまたそのようなことを一からするのはしんどいですが、神様が与えてくれたいい機会という気持ちでやらざるを得ないと思うんですけどね。」(福田デンタルクリニック 福田真一院長)

物件探しに悪戦苦闘するテナント。新しい高層ビルの建設がこのオフィス不足を解消してくれるだろうか。

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