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【特集】『宿泊税』に猛反発!「京都と同じ土俵には立っていない...」泊まってもらえない奈良で事業者が悲鳴

2020年02月10日(月)放送

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日本を訪れる観光客が増加する中、全国の自治体で税収を増やそうと「宿泊税」の導入が進んでいます。近畿では既に大阪府、京都市が課税しているのですが、新たに奈良市も検討しています。ところが、格安の宿泊料金が特徴のゲストハウスなどで「経営を圧迫する」と憤懣しています。

「宿泊税」検討中の奈良市

奈良市役所前で建設が進むのは外資系高級ホテル。観光客が増加している奈良市では、近年少しずつですがホテルが増えつつあります。さらに、観光客を増やしたい奈良市は『宿泊税』を導入し、観光振興に繋げたい考えです。
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「観光の振興を図るという部分で、そういった形に使えるお金を観光目的という目的税として確保していくという意味がある。」(奈良市市民税課 細川文男課長)

宿泊税を公共トイレの整備や古い街並みの保全などに使うことで観光客を呼び込もうというわけです。

現在、奈良市が示している案は(1)一律200円(2)宿泊料金2万円を境に200円か500円(3)5000円を境に100円か200円(4)定率で料金の2%の4つの案です。

ゲストハウスは猛反対「奈良は京都と同じ土俵に立っていない」

そんな宿泊税に猛反対しているのが、安い宿泊料金がウリの「ゲストハウス」と呼ばれる簡易宿所です。今年1月に初めて行われた市の説明会には、ゲストハウスのオーナーらが参加。市の担当者は宿泊税への理解を求めました。

「今後さらに多くの奈良の観光客を取り込むことについて、それに対する財源を確保することが必要と思っております。」(奈良市の担当者)
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これに対し、ゲストハウスのオーナーは。

「あなた達は財源ありきの話ばかり。お金を集めて安定した財源が欲しい。それで宿泊客が必ず増えるんですか。」(ゲストハウスのオーナー)
「奈良は宿泊されない(宿泊者数は)ワースト2位のところ。わざわざ来て頂いている外国の方からお金を頂く。奈良は京都と同じ土俵に立っていない。」(ゲストハウスのオーナー)

奈良市は他の都市に比べ、観光客のうち宿泊する人の割合が低く、京都市が3割なのに対し、奈良市は1割しかいません。飲食店なども対象にして全ての観光客から税金を徴収すべきだという意見も出ました。

「我々プラス飲食店やお土産物店、観光客でご飯を食べている全ての人を対象にして、こういう話を市として持ってきましたと。皆さんどうですか、というのが本当はスタートではないですか。」(ゲストハウスのオーナー)

「宿泊税の不公平さ」に不満 「100円200円が宿選びに影響」

特に、ゲストハウスのオーナーたちが不満を訴える理由、それは宿泊税の不公平さです。奈良市で10年以上ゲストハウスを営む平井勝路さん(37)。

経営するゲストハウス「枕」では、宿泊料金は相部屋の場合1人2500円~、個室の場合は1泊3000円~と手軽な料金に設定にしています。もし一律200円の宿泊税が課されると、料金が安い施設ほど税負担の割合が大きくなり、不公平だというわけです。

「2500円からの(宿泊税)200円は何%ですかということ。200円の積み重ねでやっと売り上げ・利益が出る。」(ゲストハウス「枕」オーナー 平井勝路さん)
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例えば観光客2人組が2泊した場合、宿泊料に加え、税金800円上乗せされます。激しい価格競争の中、「割高」と見られないか不安は募るばかりです。

「100円200円をシビアに考えて宿選びをされている方が多いので、その方に対してこの200円というのは、とんでもない。宿を選ぶのに大きく左右される値段、十分その値段なので。」(平井勝路さん)

宿泊税導入後の京都市 ゲストハウスオーナーの「苦しい」声

2018年10月から宿泊税を導入している京都市。2万円未満の宿泊料金に一律200円の税額を徴収しています。京都市内にあるゲストハウスなど簡易宿所の数は2019年度で3275施設、2014年度の460施設から約7倍に増加しました。
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競争の激化で1泊1000円以下の施設が現れるなど、200円の宿泊税が重荷になっているといいます。ゲストハウスなどでつくる団体が行った調査では、宿泊税の導入以降、半分以上の業者が宿泊料金を値下げしていたことが分かりました。その理由を複数回答でたずねたところ、宿泊税の導入が大きな要因となっていたのです。
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「ほとんどの事業者が前年に比べて売り上げが下がった。『本当に死活問題』とか『このままだとお店を維持できるか分からない』『スタッフに給料を払うために自分達の給料を削っている』とか『それで何とかお店を保っている』というような、かなり苦しんでいる声は本当によく耳にします。」(京都簡易宿所連盟 ルバキュエール裕紀副代表)

阪急河原町駅の近くにあったゲストハウスは、去年12月に廃業を余儀なくされました。オーナーの男性はかつてビルの3つのフロアを借りてゲストハウスを運営していましたが、最後は2800円だった宿泊料金を1500円にまで下げましたが、売り上げは伸びず、前の年から4割程度落ち込みました。宿泊税も重荷になっていました。

「1泊の利益が数百円とかになっていて、これではやっていけない。明らかに京都市が簡易宿所を減らそうとしているのが、宿泊税などで見え見えだったので、この先続けていってもしんどいなというのは決定打にはなりましたよね。」(ゲストハウス元オーナーの男性)

奈良市は宿泊税導入の「時期」を見直す方針

さらにここにきて、新型コロナウイルスの影響で中国人観光客が激減、奈良市の観光業界は大きな打撃を受ける事態に陥っています。これに対し奈良市の仲川げん市長は、来年度中を目指していた宿泊税の導入時期を見直す考えを示しました。あくまで導入の考えに変わりはないといいます。

(Q宿泊税の導入は延長?やめるわけではない?)
「導入の時期について見直しをせよ、という指示を本部会議で出させて頂いた。」(奈良市 仲川げん市長)
(Qゲストハウスから不公平だという意見があるが?)
「(宿泊税は)ゲストハウスだけが完全にゼロになってしまうと、ホテル・旅館だけが課税ということで、そこの不公平感があるという意見も出てくると思う。反対の声があったから今止まりますということではなく、事業としては引き続き導入を目指して検討したい。」(仲川げん市長)

仲川市長は今後も宿泊施設と話し合いを続けたいとしていますが、果たして納得の得られる形で決着できるのでしょうか。

(2月10日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

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