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実は風船だけじゃない『ヘリウム』!"不足の危機"は医療や電子機器にも影響...「希少な天然資源」の背景にアメリカ?

2020年02月04日(火)放送

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ふわふわ浮かぶ風船に欠かせない『ヘリウムガス』ですが、実は“希少な天然資源”ということをご存じでしょうか。ヘリウムは天然ガスと共に採掘されていて、アメリカ・ロシア・オーストラリア・カタール・ポーランド・アルジェリアの6か国のガス田からしかとれません。ヘリウムは「最強の冷却材」とも言われていて、液体では-269℃以下となります。その冷却力は、医療機器の「MRI」や「リニアモーターカー」などでも欠かせないといいます。そんな先端技術を支えているヘリウムですが、世界的に不足の危機になっているといいます。原因は一体何なのか…知られざるヘリウムの今を取材しました。

不足している「ヘリウム」 風船の影響は?

『ヘリウム』と言えば「風船」ということで、MBSの辻憲太郎解説委員がやって来たのは、大阪府堺市にあるバルーンショップ「モモノバルーン」。3年前にオープンしたこの店では、店頭やネットでの販売に加え、結婚式やイベント会場などでバルーンの飾り付けもしています。この店ではヘリウムガス不足の影響はどのくらい出ているのでしょうか。

(辻解説委員)「一番売れているのは?」
(モモノバルーン 荒幡桃子さん)「一番人気があるのは、透明のバルーンの中に、風船が入っていたり、キラキラが入っていたりするもの。名前を入れたり、メッセージを入れたりするのも人気がありますね。」
(辻解説委員)「買っていく人は1つ買っていくのですか?」
 (荒幡さん)「1個で買う方もいますけど、プレゼントだといくつか束にして購入することが多いですね。」
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やはり人気はヘリウムガスでプカプカと浮かぶ色鮮やかなバルーン。ギフト用に購入する人も多く、注文を受けてからヘリウムガスを注入するそうです。
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この店では毎月、7000リットルが入るヘリウムガスシリンダーを仕入れているといいます。3年前に比べ、1本当たりの仕入れ価格は約3割値上がりし、追加での注文も難しくなったそうです。

「(ヘリウムガスを)いくらでも入荷できるわけではない。月に1本までは、なんとか入れてもらえるようにはなっているんですけど、追加注文は難しい場合もあって。『ヘリウムガスだけ入れて欲しい』というお客さんも来られるんですけど、厳しい時はお断りしている。本当に無くなった時は販売中止にした時もありました。」(荒幡さん)

この店で一番小さなバルーンを浮かべるのには、7リットル~10リットルのヘリウムが必要です。結婚式などで使う大きなバルーンでの飾り付けでは、シリンダーの約4分の1のガスを使うこともあるそうです。対策としてはどのようなことをしているのでしょうか。
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「浮かぶタイプのバルーン以外にも、ヘリウムガスを使わない棒付きのバルーンの販売にも力を入れるようにしている。浮かぶバルーンの華やかさがあるので、(ヘリウムガスが)無くなったら本当に困るんですけど、そうなったら置くタイプでいくしかないかな。」(荒幡さん)

大阪市内にある国内最大級のヘリウム供給拠点

そもそも大気より軽いヘリウムガスは、どのように集めているのでしょうか。続いて辻解説委員がやって来たのは、ヘリウムガスの国内最大手の岩谷産業。大阪市住之江区に国内最大級のヘリウム供給拠点・岩谷産業大阪ヘリウムセンターがあります。案内してくれたのは、海外でヘリウムの買い付けも担当している岩谷産業ヘリウムガス部の部長・齋藤啓成さんです。

 (齋藤さん)「コンテナには液化されたヘリウムが入っています。このコンテナはアメリカやカタールなど海外から輸入しています。」
(辻解説委員)「アメリカやカタールで液体のヘリウムをコンテナに詰めて船で運んできて、こちらに持ってきたということですね。今、ヘリウム不足じゃないですか、見る人が見たら、宝の山が並んでいる状況なんですね?」
 (齋藤さん)「そうかもしれないですね。」

液体ヘリウムは『MRI』にも使われる

-269℃の液体の状態で輸入されたヘリウムは、その用途に応じて出荷されます。その現場を見せて頂きました。

 (齋藤さん)「液体ヘリウムをデュアーという容器に充填しているところです。」
(辻解説委員)「大瓶から小瓶に小分けしてるような?」
 (齋藤さん)「そうですね、そんな感じですね。」
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 (齋藤さん)「主な用途は病院で使われる『MRI』に液化ヘリウムは使われますので、そういうところ向けに販売しています。」
(辻解説委員)「知りませんでしたね。風船しかイメージが湧かなかったんですけど、色々な用途があるということですね。」

輸入されたヘリウムの約3割は液体のまま出荷され、残りの7割はガスの状態で出荷されるそうです。

ヘリウムガスは『光ファイバー』や『半導体』にも

続いて案内して頂いた場所は…

 (齋藤さん)「こちらはヘリウムのシリンダーの充填所になります。このシリンダーの中にヘリウムガスが充填されています。」
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(辻解説委員)「気体状態のヘリウムの用途は?」
 (齋藤さん)「バルーン用途以外にも、工業用で光ファイバーや半導体の製造に使われています。」
(辻解説委員)「日常の至る所で使われている?」
 (齋藤さん)「そうですね。」

不足の危機の背景に「アメリカ」

超高温になる半導体の製造や、医療用MRIの冷却にかかせない「ヘリウム」。今なぜ、不足の危機を迎えているのでしょうか。岩谷産業ヘリウムガス部の執行役員・宮垣尚民さんに聞きました。

(辻解説委員)「ひっ迫しているのは間違いない?」
 (宮垣さん)「そうですね。世界的に需給がひっ迫して今は供給が非常に難しい状況になっています。日本のマーケットにおきましては、これまでアメリカ産ヘリウムがほぼ100%。アメリカ産に頼っていたんですけど、アメリカからの輸入が非常に絞られてきたと。」

ヘリウムは、特定の地域で産出される天然ガスに含まれている希少な資源です。最先端技術に必要ということもあり、ここ数年、アメリカは輸出を制限し始めたそうです。岩谷産業はどのような対策をしているのでしょうか。

 (宮垣さん)「新たなソース(仕入れ先)を求めていかないといけないと思います。また小さなことですけれど、ヘリウムをボンベに充填する時に、大気に逃げてしまう場合がありますので、このロス率を0%にして、大気に逃げる全てのヘリウムガスを回収して再生利用していく。貴重なガスですので、有効活用につとめております。」

(2月4日放送 MBSテレビ「ミント!」内『辻憲のちょいサキ!』より)

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