MBS 毎日放送

ミント! ミント!

毎週月~金曜日 ごご3:49~放送関西のニュースは毎週月~金曜日 ごご4:30~放送

特集記事

【特集】「都会でやるのは古い」人口減少する観光地で現役世代が起業するワケ

2020年02月04日(火)放送

SHARE
Twitter
Facebook
はてなブログ
LINE

兵庫県豊岡市は城崎温泉や竹田城などを訪れる観光客は多いのですが、町の人口は減り続けています。20年後には今の6割程度にまで落ち込んでしまうと予測されています。その一方で、地方都市に魅力を感じて『起業しよう』という現役世代がじわじわと増えています。その訳とは?

「都会が近くにないというのがいいところ」埼玉の男性が複合施設を製作中

兵庫県豊岡市。カバンの製造量日本一の街としても知られています。カバンショップ約20軒が軒を連ねる目抜き通り(カバンストリート)に、少し変わった施設を作っている人がいます。
1b.jpg
小山俊和さん(42)。元々は埼玉県で内装業を営んでいましたが、2年前に閉店した老舗料亭の跡地を使って「新しいことをやってみないか」と誘われ、豊岡市に移り住みました。

「カバンストリートに飲食できるお店が少ないので、観光客の方がちょっとくつろげる感じでコーヒーを提供しようかなと思っています。」(小山俊和さん)

作っているのは飲食店や衣料品店が入る複合施設です。イベントができるレンタルスペースもあります。

「こちらに来て市民の話を聞いた時に『音を出せる場所がない』『ある程度の人数が集まれる場所がない』と聞いていたので。僕が何かやりたいというよりは、地元の人が求めるものをやる。場所があるので。」(小山俊和さん)
1d.jpg
料亭は妻の親戚が所有していたもので家賃はタダ。敷地は360坪あり趣のある部屋はいずれ手を入れて宿泊施設にしたいと考えています。しかし、人口減少が進む豊岡市で勝算はあるのでしょうか。

「都会が近くにないというのが凄くいいところ。1時間とかで都会があると、そちらに買い物・娯楽を求めて行ってしまうんですけど、ここはぎゅっと城崎・出石・豊岡、周辺の市に行くには遠いので、ここの中で面白いものが起きれば人が集まるんじゃないかと。」(小山俊和さん)

「都会でやるのは古い」九州出身のカバンデザイナー

小山さんのように豊岡市で起業する人は他にもいます。九州出身でカバンデザイナーの下村浩平さんは、小山さんが作っている施設でカバン店を3月に出店することになりました。
2c.jpg
「都会でやるのはもはやちょっと古いと考える人が最近増えています。田舎でやること自体がクールな印象とかあります。」(カバンデザイナー 下村浩平さん)

競争が激しく完成された都会より、生活コストも安く自由度の高い地方で才能を試してみたい。そう考える現役世代が今、続々と豊岡に集まっています。

こうした動きに豊岡市も手厚い待遇を用意しました。豊岡市で起業したい人に100万円の支援金を支給する他、起業の専門家を招いて気軽に相談できる場を設けました。

「実家が空き家になっていたので」宿泊施設に挑戦する男性

城崎温泉で宿泊施設を始めようとしている進藤大資さん(34)。企業コンサルタントと打ち合わせをしていました。進藤さんは自営業も宿泊業も経験はありません。この日はコンサルタントから『フェイスブックなどを使ったウェブ上でのPR』についてアドバイスを貰っていました。

「城崎で宿をするというのはなかなかチャレンジなことなので、そういう不安な部分も親切に対応して頂いて、本当に感謝しています。」(進藤大資さん)

進藤さんは3年前に地元の城崎に戻ってきました。東京でのサラリーマン生活を辞め、カーテン製造業を営む父の正明さん(70)後を継ぐためでした。

「僕の代で終わるのは忍びないところがありまして。息子も、もし興味があるんだったらやってもらえんだろうかという話をしたんです。」(父・正明さん)

家業にも慣れてきた頃、進藤さんは父親の仕事を継ぐだけでなく、地元のために何か出来ないかと考えるようになりました。その時に思い浮かんだのが、城崎温泉街にある祖父母の実家でした。これを改装して『宿』にしようと考えたのです。

「大好きだった実家を、ただ住むだけというのは自分はハテナというところがありまして。城崎の実家が空き家になっていたので、ここを何か有効活用したいと。」(進藤大資さん)

城崎温泉で初めて“一棟丸ごと”貸し出す宿に

こうして出来上がったのが、『きのいえ』という宿。コンセプトは“実家”です。城崎温泉で初めて一棟丸ごとを貸し出すスタイルにしたのは、実家に帰ってきた時のようにくつろいでほしい、という思いからです。
4cc.jpg
「居心地がいい施設と言ってもらいたい。プロジェクターとスクリーンがあったら、(宿を利用する人が)わいわい鑑賞できる。いろんな人たちが、好きな事をしながら団らんできるようなイメージで設計しました。」(進藤大資さん)

貸し出すのは、週末の金曜と土曜のみ。一棟貸しという点が目を引き、すでに10件ほどの予約が入っているそうです(1月取材時点)。
4d.jpg
この一棟貸しというアイデアもコンサルタントと相談する中で出てきました。

「最初は部屋貸しを考えていらっしゃったんですよね。普通の宿屋として、こっちの部屋とあっちの部屋。1つの家に知らない人が2家族が泊まって、共同キッチンや共同スペースでくつろぐというのがあり得ますか、と。今は流行っている民泊とか簡易宿泊所とかを利用する人が多い。そこのニーズが拾えるなと思った。」(企業コンサルタント 今井秀司さん)

いよいよオープン お客さんの反応は?

1月24日のオープン当日。初めてのお客さんが『きのいえ』にやって来ました。

「わー素敵だわ。」(お客)
「こちらはダイニングで、こちらは和室でくつろいでいただけるような形の部屋になっています。」(進藤さん)
「本当におうちに来たみたいで、気兼ねなくゆったり過ごせそうですね。」(お客)

お客さんの反応は上々でした。
5bb.jpg
「ここの施設で、1個のイベント会場じゃないですけど、イベントを開いて、地元の人や観光客、インバウンドの人が一緒に集まれる場所になっても面白いかなと思います。」(進藤大資さん)

田舎の観光町・豊岡に集まる現役世代たち。人口減少時代を突破するカギは彼らが握っているのかもしれません。

最近の記事

バックナンバー