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【特集】日本の家は寒い!?ヒートショックで年間1.7万人の死者も "エアコン1台で暖かい"住宅のポイントは?

2020年01月29日(水)放送

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今年は暖冬と言われていますが、それでも朝晩の冷え込みには暖房器具や毛布が手放せないという人も多いのではないでしょうか。日本の家が寒いのは昔ながらの家造りが原因の1つとも言われています。そんな中、エアコン1台で家中が暖かくなるという“最先端の住宅”を取材しました。

窓際、廊下、風呂場が寒い!

京都府京田辺市に暮らす宮木せい子さん(73)のマイホームは築36年の木造住宅です。夫と2人暮らしで長年暮らす思い出の詰まった家ですが、冬ならではの悩みがあります。

「寒いですよ、寒いです。家にいる時は(リビングから)出ませんね。」(宮木せい子さん)

ヒーターで暖を取っているリビングの室温は19℃。寒くて毛布が手放せないと言います。
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室内をサーモカメラで覗いてみます。温度が高いと「赤」、低いと「青」で表示されますが、温まって赤くなっているのはヒーター周辺と毛布にくるまっている部分だけで、窓際や床は真っ青です。部屋の奥にサーモカメラを向けてみると、廊下は青黒くなっていました。
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そして、この家で最も室温が低かったのが「お風呂」です。サーモカメラで撮影するとここも青黒くなり、感度を上げるとやっと表示されました。その温度は8度です。

(記者)「リビングから風呂場に来ると寒いですね。」
(宮木さん)「慣れてますから。寒いものだと思っていますから。」

昔からの家造りの慣習が現代にも

実は、日本の家が寒いのは今に始まったことではありません。日本三大随筆の1つ、徒然草の一説には「家の作りやうは夏をむねとすべし。冬はいかなる所にも住まる。」とあり、エアコンがなかった鎌倉時代に家を作る時は、「夏の快適さを重視し、冬は寒さに耐える」というのが鉄則でした。建築に詳しい専門家は、昔からの家造りの慣習が今の時代にも残っているため日本の家は寒いと言います。

「日本は木の家を造る。結果として隙間だらけになって風が通るんです。家に隙間をなくそうという考えがあまりないままに家造りをしてきたので、家の中を暖めようとしても暖められない家になっていたんです。」(近畿大学 岩前篤建築学部長)

ヒートショックは…交通事故死の約5倍の死者数

こうした日本の家づくりは健康にも影響を及ぼしています。それが「ヒートショック」です。ヒートショックとは、冬に暖かいリビングから寒い風呂場へ移動した際などに、寒暖差から血圧が変動し、心筋梗塞や不整脈を起こして最悪の場合は死に至る現象です。

東京都健康長寿医療センターの2011年調査によると、死亡者数は年間約1万7000人とされ、交通事故死(※2019年:3215人 警察庁より)の約5倍です。高齢者1万人あたりのヒートショック件数を都道府県別に見ると、上位を占めるのは、寒さが厳しい北海道や東北ではなく、香川や兵庫、滋賀など西日本の地域でした。

「北海道は元々寒い地域なので、家を暖めることが1970年頃から進められていた。よく北海道の人が関西に来て風邪をひいて帰られる。」(近畿大学 岩前篤建築学部長)

家のどこでも25.5℃…風呂場も寒くない!

「冬が寒い」という日本の家の悩みを解決する会社がありました。記者が訪れたのは、2012年設立の住宅メーカー「ウェルネストホーム」のモデルハウスです。

Q入った瞬間から暖かいですね?
「6畳用のエアコン1台で1~3階まで、トイレもお風呂もリビングも寝室も全部同じ温度に保っています。」(ウェルネストホーム大阪支店 川原正紀支店長)

3LDKのモデルハウスの部屋の温度はどこも均一で25.5℃に保たれています。ヒートショックがよく起きるとされる風呂場も…

「全然温度が変わらない。寒いとも思わないです。」(記者リポート)

冒頭の宮木さん宅との違いは、サーモカメラで見てみると一目瞭然でした。宮木さん宅よりもモデルハウスの方が人の体が赤く表示され、表面温度が高くなっています。それなのに暖房設備はエアコン1台だけ。どうしてこんなに暖かさをキープできるのか、そのポイントは『徹底して外気を遮断』することにありました。

ポイントは「断熱」「気密」「換気」

「家にすると服は『断熱材』です。従来ですと壁の中に一重で入っていますが、弊社は壁の中も外も二重で断熱するようになっています。」(ウェルネストホーム大阪支店 川原正紀支店長)

多くの日本の家では外壁の中に断熱材を敷き詰めていますが、ウェルネストホームは外壁の外側も断熱材で覆うことで外の冷気をシャットアウトしているんです。さらに…

「日本の窓は横にスライドするタイプが多いと思います。(窓の下に)タイヤが付いていてスライドする。ということは、窓の下が浮いているので、いくら閉めても完全には隙間はなくならない。」(ウェルネストホーム大阪支店 川原正紀支店長)

そこで、開け閉めする窓から冷気が入り込まないように、内側に開く気密性の高い窓を使用し、隙間を極限まで減らしました。

そして、最後のポイントが換気システムです。
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「外から空気が普通に入ってくると家の中が寒くなりますよね。そこで弊社が使っているのが熱交換型の換気システムです。」(ウェルネストホーム大阪支店 川原正紀支店長)
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換気システムの中にはファンの他に特殊な蓄熱材が入っています。部屋の暖かい空気を外に出す時は蓄熱材が熱を蓄え、逆に冷たい外気を取り込む時は外気が熱を帯びた蓄熱材を通るため暖かい空気となって室内に入り込み、部屋の温度が一定に保たれるのです。

家の構造を工夫することで防げる寒さ。快適に過ごせるだけでなく環境にも良いとウェルネストホームの芝山さゆり社長は話します。
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「快適に暮らすためにエネルギーコストがかかっている。エアコン1台だから効率的に暮らせるだけでなくCO2の削減になる。エネルギーを使わない住宅が当たり前の時代が来れば日本は必ず良くなると思っています。」(ウェルネストホーム 芝山さゆり社長)

一般的な3LDKの建売住宅と比べると建設費は250万円~500万円ほど高めですが、地球と健康に優しい住宅は今後、日本の家のスタンダートとなるのでしょうか。

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