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【特集】"肩こり"や"腰痛"を『打撲』『捻挫』と虚偽記載?整骨院の『療養費詐欺』疑惑に潜入取材...院長も直撃!

2020年01月16日(木)放送

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街でよく見かける「整骨院」、今やその数はコンビニエンスストアにも並ぶほどになっている。整骨院では『骨折』や『打撲』など、けがの治療でしか保険請求できないが、全国に整骨院を展開するあるグループが不正請求により公金を騙し取っているという疑惑が浮上した。取材班が疑惑の整骨院に潜入するとその実態が浮かび上がってきた。

「自治体などから支払われる療養費を不正請求していた」整骨院の元院長の証言

数年前まで大阪の整骨院で院長をしていたAさん。自治体などから支払われる療養費を「不正請求していた」と打ち明けた。

「整骨院は骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷というのが保険請求できる範囲なのですが、肩こりであったりとか、当てはまらない人は、ほぼいけますということで、“肩・腰をけがして来ているという認識でお願いします”と。」(整骨院の元院長 Aさん)

本来、整骨院で健康保険が使えるのは捻挫や打撲といったけがの場合のみで、慢性的な肩こりや腰痛のマッサージ、電気治療には使えない。しかし「裏ワザ」があるという。
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施術を受けた患者は1割~3割のみの自己負担金を支払う。整骨院は、患者が受けた治療の内容を記した療養費申請書「レセプト」を市町村などに提出し、自己負担分を除いた療養費の支払いを受ける。しかし、元院長は患者がけがをしたことにして虚偽のレセプトを提出し、療養費を騙し取っていたというのだ。

「けがしたこと自体がねつ造となりますので、全てそういう請求になっています。」(整骨院の元院長 Aさん)

患者61人分のレセプトを入手

元院長が勤めていたのは全国に100以上の整骨院をもつグループの1つで、不正は組織ぐるみで行われていたと話す。

「実際に自分の名前でレセプトをあげるので、罪の意識もありましたし、そういう業務の指示なので、何があっても大丈夫やからという風に言われていました。」(整骨院の元院長 Aさん)

取材班はグループの整骨院が偽造したという患者61人分の『レセプト』を入手した。作成日は去年9月。レセプトの中身を見てみると、「右膝部打撲」「頚部捻挫」など、けがの名前やけがをした理由などが細かく記されている。
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レセプトの右下には患者の直筆のサインも記されているが、本当に偽造されたものなのだろうか。

患者たちへ一斉取材「けがしてない」「白紙でサイン」「そんなに払っていない」

取材班は真偽を確かめるため、レセプトにサインをした患者たちへの一斉取材を開始した。まずは患者Bさん。

 (記者)「M整骨院に通われていますよね?」
(Bさん)「うんうん。肩こりとか首の痛いので行ってるけど。」

Bさんは肩がこって仕方がないため整骨院に通っていると話した。しかし、Bさんの去年9月分のレセプトでは、「左足関節捻挫」「右手関節捻挫」「右股関節捻挫」「左大腿部挫傷」の4か所を負傷したことになってた。

 (記者)「右股関節捻挫、左大腿部挫傷…」
(Bさん)「俺はけがしてないもん。最近。」
 (記者)「けがはしていない?」
(Bさん)「うん。」
 (記者)「いつも整骨院ではいくらぐらい払っている?」
(Bさん)「180円やと思うわ。」

Bさんが去年9月に整骨院へ行ったのは3回。支払いは計540円だった。しかし…レセプト上は2370円支払ったことになっている。

(Bさん)「ひどいなそれは。もう救いようがないな。」

支払った覚えは無いというが、ではレセプト上にあるBさん直筆のサインはどういうことなのだろうか。

 (記者)「内容を了承した上でサインしてるのでは?」
(Bさん)「月初めに、月が変わった時にサインする。せやから白紙委任みたいなもんやな。」

驚いたことに「白紙のレセプトにサインだけを書かされた」とBさんは話した。
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別の患者Cさんは…

 (記者)「レセプトには拭き掃除をしていた時に右中手指関節捻挫…」
(Cさん)「そんなん全然嘘やわ。二度と行かへんわ。ただ腰が痛いから行っただけ。」
 (記者)「いくら払っていますか?」
(Cさん)「1回行ったら50円や。」
 (記者)「えっ、50円なんですか?1か月で993円払ったことになっているが?」
(Cさん)「金額はそんなに払ってない。そんな気分の悪いことないわね。」
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さらに患者Dさんは…

 (記者)「結構レセプトには打撲とか捻挫とか書いてあるんですけど…」
(Dさん)「けがはしたことないです。」

結局、取材ができた患者16人中13人が『レセプトに書かれている治療は受けていない』と話した。

疑惑の整骨院に記者が潜入「肩こり」と伝えると…

これは『療養費詐欺』ではないのだろうか。取材班は去年10月、大阪市内にある系列の整骨院に潜入した。記者が「単なる肩こりで来た」と告げると。

「肩こりとか腰痛とか原因が分からないものは保険が使えないので、こちらの方で“足をひねってけがをした”とか、“壁にぶつかって打撲をした”という、けがという形で保険を請求させて頂くんですけど、そちらはご理解はよろしいですか?」(整骨院のスタッフ)

整骨院側は悪びれた様子もなく「嘘のけがで保険を使う」と話した。
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そして…

「お名前をお願いします。」(整骨院のスタッフ)

差し出されたのはやはり『白紙のレセプト』だった。

      (記者)「けがの部位とかは後で記入される?」
(整骨院のスタッフ)「こちらで記入させて頂くので。」

では、実際に市町村や健康保険組合に申請されるレセプトを、整骨院側はどうやって作っているのだろうか。

レセプトを自動的に作ることができる「レセコン」

元院長のAさんに実際のやり方を見せてもらった。疑惑の整骨院で使われていたパソコン用のソフト、通称「レセコン」。レセプトをある程度、自動的に作ることができるというものだ。

「『負傷原因』というところを押して、1か所目、左肩をけがした理由を入れていきます。」(整骨院の元院長 Aさん)

負傷名という項目に「左肩関節捻挫」と画面で選択すると、「自宅で重たいダンボールを持ち上げた際に、左肩を捻り負傷する。」などと、けがをした理由の例文が複数パターン出てきた。この例文に少しだけ手を加えるなどしてレセプトをでっちあげていたという。
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「例文をそのまま使う場合もありますし、患者との会話の中で寝違えたとかあれば、嘘を書くことになるので、少しでも患者の現象に忠実になるように。最後に、患者さんに既に名前を書いてもらってある紙に印刷して出来上がり。」(整骨院の元院長 Aさん)

虚偽レセプトで不正請求疑惑…整骨院を直撃!

複数の患者たちが「書かれているような治療は受けていない」と話したレセプト。取材班は去年11月、作成したとされる4つの整骨院を直撃した。

【東大阪市内にあるI整骨院】
    (記者)「レセプトに書いている内容が全く食い違っているが?」
(整骨院の院長)「あーいや、それは知りませんよ、僕らは。」
    (記者)「これは虚偽としか言いようがないと思うのですが?」
(整骨院の院長)「虚偽ではないでしょ。」
    (記者)「いや虚偽でしょ。」
(整骨院の院長)「いや、違うでしょ。」
    (記者)「虚偽でしょ。」
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【大阪市内にあるM整骨院】
      (記者)「多くの患者が偽のレセプトを作られていると証言しているんですが?」
(M整骨院の関係者)「あーそうですか。知らないですね。」
      (記者)「分からないってことですか?」
(M整骨院の関係者)「そんなん言うたらあかん」
      (記者)「そんなん言うたらあかん?療養費を不正請求されているか、されてないかということじゃないですか?」
(M整骨院の関係者)「レセプトはどこでもらってきたん?帰りなはれ。」

整骨院側は、皆一様に疑惑を否定した。

ところが、このわずか1か月後。複数の整骨院が突如、閉院していたことが分かった。取材の後、グループの本部から整骨院に対し、すぐに閉院するよう指示が出されたという。疑惑については療養費を支払っている大阪市もすでに把握していて、今後、警察に被害届を出す方針だ。

(1月17日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

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