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【特集】「八尾市はゴミ捨て場ちゃうぞ」市内で相次ぐ不法投棄...なぜドアに畳に消火器に仏像まで?

2020年01月13日(月)放送

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大阪府八尾市で産業廃棄物の不法投棄が相次いでいます。市役所の担当者も頭を悩ませていたのですが、「黙って見過ごすわけにはいかない」と踏み込んだ対策に乗り出しました。

産業廃棄物が“捨てられ放題”状態の八尾市の山

東大阪市と肩を並べる、ものづくりの町・八尾市。そこで今、産業廃棄物の不法投棄が相次いでいるといい、市役所で産業廃棄物を担当する職員は怒り心頭です。

「本当にもう怒りです、なんちゅうことすんねんと。八尾市ってゴミ捨て場ちゃうぞと。」(八尾市産業廃棄物指導課 村井秀之課長)

八尾市が「ゴミ捨て場」?一体、どのような状況なのか…。取材班は産業廃棄物指導課のパトロールに同行しました。
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到着した場所は住宅街のすぐ近く。黒いフェンスが立てられていますがこの中に…

「ここなんです。これが配管なんですね、エアコンなどの。おそらく早朝とか夜とか人気の無い時に、『よいしょ』という感じで、(フェンスの中に)捨てたんじゃないかと。推測ですけどね。(正規の方法で)捨てると処分費がかかるので。」(村井秀之課長)

ひしゃげたフェンスの向こう側にエアコンのパイプが打ち捨てられていました。
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さらに、市の東部にある山の中へと入っていくと…

「これなんですよ、この山。(Qこれ丸々ですか?)丸々です。酷いでしょ、これ。」(村井秀之課長)
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うず高く積まれたゴミの山。約6700立方メートルもの土砂の中には、家屋を解体する際に出た様々な廃材が混じっています。
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よく見てみると、ドアがそのまま落ちていたり、消火器が並べられたりしています。
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そして、中には石で造られたような仏像の頭も…

「(Qコレは何なんですか?)何なんですかね。なんでもありですね。」(村井秀之課長)

不法投棄が分かったのは今から4年前。市は廃材を捨てた人物を特定し、元の状態に戻すよう指導していますが、作業は遅々として進まないといいます。

資材置き場のはずが…いつの間にかゴミだらけに

産業廃棄物の不法投棄は町の至る所で見つかっているそうで、取材班は市街地にある現場に向かいました。ここは建築業者が地主に対して「資材置場に使う」と言って借りた土地なのですが、気付いた時には産業廃棄物だらけ。地主の男性は途方に暮れています。

「『一時的な置場に使う』と言っていたのに、どんどん(廃棄物を)置き続けて、囲いをして入れないようにされました。困りますよ、片づけるのに1000万円くらいかかるらしいです。」(地主の男性)
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なぜ八尾市で不法投棄が相次いでいるのでしょうか?

「八尾市は大都会に近い山がある。大阪市という都心部に近い山が。捨てやすいという心理がはたらくのかな。」(村井秀之課長)

八尾市では去年4月以降、近隣住民などから不法投棄に関する通報が23件も入っていて、警告看板や監視カメラを設置するなどして対策を強化しています。

「もう許せない!」職員怒りの対策へ…男2人を廃棄物処理法違反容疑で逮捕

そんな中、去年5月、『近くの土地でダンプがゴミの混ざった土を運んでいる』と市民から1件の情報が寄せられました。これはもう許せない!八尾市産業廃棄物指導課の山本一郎参事(62)が立ち上がりました。実は山本さん、元大阪府警の捜査員で不法投棄取締りのいわばプロです。山本さんはまず、不法投棄が行われているという土地を一望できる高台に陣取りました。

「長時間かかりますので、椅子に座って、トラックが来たら録画開始。」(八尾市産業廃棄物指導課 山本一郎参事)
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張り込むこと約1か月。山本さんはようやく違法行為の動かぬ証拠をカメラに押さえました。
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「がれきを積んだトラックがいっぱいやって来た。ダンプで(がれきを)おろしますでしょう。がれきなので凄い音がここまで聞こえてきましたので、ガラガラガラと。もう(不法投棄を)やっているなと。」(八尾市産業廃棄物指導課 山本一郎参事)

これだけではありません。がれきを運び込んだダンプを追跡して業者らを割り出し、警察に情報提供したのです。

そして今年1月初旬、去年5月にこの土地に約8tの産業廃棄物を埋めた疑いで八尾市の造園業の男(59)と無職の男(70)が廃棄物処理法違反容疑で逮捕されました。

現場検証で出てきた「コンクリート片や黒ずんだ畳」

去年10月、警察は逮捕された男2人を立ち会わせて現場検証を行っていました。その様子をMBSのカメラは捉えていました。不法投棄が疑われる現場の土地を重機で掘り返していくと…
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「土の中に白っぽいコンクリート片のようなものが見えます。黒ずんでしまっていますが、畳のようなものが出てきました。」(記者リポート)

地中から出てきたのは畳や瓦など住宅を解体する際に出た廃材。警察によりますと、無職の男(70)が廃材をトラックで運び込み、造園業の男(59)がこの土地に埋め立てたということです。2人は容疑を認めているということですが、不法投棄の背景には『丸投げ委託』の問題があるとみられています。

不法投棄の背景に『丸投げ委託』か

捜査関係者によりますと、この廃材は奈良県内の住宅を解体する際に出たもので、県内の元請け業者が約340万円で処分を請け負いました。しかし、この業者は“産業廃棄物処理の許可を得ていない”下請け業者に190万円で委託します。さらに、この下請け業者は孫請け業者に180万円で再委託していて、当時この孫請け業者に勤めていた無職の男が不法投棄に及んだということです。
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産業廃棄物問題の専門家・尾上雅典さんにこの問題について聞くと、複数の業者に産業廃棄物処理の委託が繰り返されて委託費が“ピンハネ”されていくと、正規の処分費が足りなくなり、末端が不法投棄に走るケースが多いといいます。そのため、尾上さんは『安易な委託こそが不法投棄を招く大きな原因だ』と指摘します。

「誰が一番悪いかというと、元請け業者がきちんと業者を選んで契約していなかったのだから責任を問われる。最終的に産業廃棄物の処理が終わるまではゴミを出した人に責任が残るのですが、それを意識せずに『(ゴミが)目の前から消えればいいんだ』と、どうせ無くなるなら『安い業者に頼む方がいい』と(考える業者がいる)。」(行政書士エース環境法務事務所 尾上雅典さん)

最初に処理を請け負った奈良県内にある元請け業者に話を聞いてみると「うちが取った仕事だが、忙しいから他に任せた。不法投棄した業者や従業員とは一切接点はないし知らない。」と話しました。

八尾市「厳しく対処」の方針

市はこれからも市民からの情報を活用しながら厳しく対処していく方針です。

「攻める方は24時間365日どんな方法でも攻められるが、我々防ぐ方は正直マンパワーにも限界があります。例えば山に登ってこられる方とか、自転車で走る方とかもいらっしゃるので、そういう方々が現場を発見したらすぐに連絡してもらえるような仕組みができれば。」(八尾市産業廃棄物指導課 村井秀之課長)

「八尾はゴミ捨て場ではない」迷惑な不法投棄を根絶するため職員たちの闘いが続きます。

(1月13日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)

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