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"ピザはピザでも食べられないピザ"ってなあに?世界が注目の女性作家 針と糸で生み出す『立体の世界』

2020年01月09日(木)放送

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インターネット上などで話題になっている、ある“ピザ”を知っているだろうか?。一見、サラミとピーマンがのったピザで、持ち上げるとチーズがとろ~りとする様子も。しかし、実はこのピザ、全て刺繍で作られているのだ。一体どうやって作っているのか、作者を訪ねた。

「平面」の世界を「立体」に…企業依頼も殺到!

ピザを刺繍で作ったのは、関西の女性で刺繍作家の「ipnot(イプノット)」さん。彼女の作品の多くは、実は500円玉サイズで作られている。
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食べ物だけでなく、景色や生き物、どれも温かみのあるものばかりだ。これまでに作り上げた作品は400点ほどに上る。そしてipnotさんの真骨頂が…立体表現。
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平面的なカフェラテの刺繍が、コーヒーとミルクを表現した小物を合わせることで立体の世界に変わる。
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ケチャップやチーズドッグ、寿司のネタ、そして動物のキリンも立体的に見せています。
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この立体刺繍、今ではカルピスや森永乳業のマウントレーニア、日清のカップヌードルなど、有名企業から「商品を刺繍してほしい!」と依頼が殺到しているという。
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「ピザの伸びる瞬間とか、餅が伸びる瞬間だとか、食べ物の一瞬一瞬が美しいなと思う。それを刺繍にできたらなと。」(ipnotさん)

「“糸くず”が麺に見えてきて」

ipnotさんが刺繍に出会ったのは、手先の器用な祖母の影響だった。

「祖母の作る刺繍は凄く芸術的で魔法の手のようで。(刺繍を)難しくも感じさせず、スイスイスイスイ進めていたので、凄く憧れていました。」(ipnotさん)
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9年前から趣味で刺繍を始めた彼女が、新しい表現方法として立体刺繍を思い付いたのは3年前。きっかけは、落ちていた糸くずだった。

「片付けている時に糸くずがあって、その糸くずが麺に見えてきて。気が付いたら(糸を)通していて、箸を持って『あっ、ラーメンだ』と。」(ipnotさん)

刺繍に美味しさを求めるためのルール

何を立体にすれば面白いのかを研究したipnotさん。ついに、刺繍糸の束だけで動画作品を作ってしまった。
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動画では、巻きすの上にのり、そして酢飯や具材…ではなく乗せるのは色とりどりの刺繍糸。ぎゅぎゅっと巻いて、“刺繍太巻き”のできあがり。この動画をSNSで公開したところ、日本だけでなく海外の人からも「So cool!」「Unbelievable!」など、多くの反響があった。
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さらに、あの“のび~るピザ”の刺繍は、去年10月にアラブ首長国連邦の首都アブダビで行われた日本のアートを紹介する展示会にも出展されるなど、今、世界から熱い視線が注がれている。

そんな彼女が、食べ物を刺繍する上で決めているルールがある。

「食べると自分の中で満足してしまうので、刺繍に美味しさをあまり求めなくなってしまうので、基本お腹空いてお腹を鳴らしながら作っています。」(ipnotさん)

新年の題材求めて下鴨神社へ

刺繍の題材となるのは、普段の生活や街で見つけたもの。冬はいつも正月らしい作品を作るというipnotさんが、今年の題材を求め向かったのは下鴨神社(京都市左京区)だった。探していたのは「おみくじ」。その六角形の箱が目に留まった。

「刺繍欲が惹かれる形!ちょっと『きな粉棒』みたい。食欲そそりますよね、色の落ち具合とか。」(ipnotさん)
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刺繍で細かく再現するため、写真撮影も念入りに行うipnotさん。アトリエに戻ると、まずは綿の刺繍布に下絵を転写していく。それが終わると、次は、ひと針ひと針、丁寧に刺していく。糸の色は約200種類の中から選ぶ。
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そして縫い方に最大のポイントがあるという。

「針に(糸を)一回転巻きつけて刺していく、これがフレンチノットです。」(ipnotさん)

通常は、動物の目や花のおしべ・めしべなど、一部を浮き出させたいときに使う「フレンチノットステッチ」という縫い方。ipnotさんは全てこの手法で縫っていく。

「ひと玉が小さいので、絵を描くように刺繍しているんですけど、絵を描きやすいですし、色の印影を付けやすいですし、凄く自由度の高い刺繍ができます。」(ipnotさん)
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フレンチノットで作られた作品は、どれもふんわりと厚みのある仕上がりになっている。もちろん、普通の刺繍より工程が多いため、1つの作品を仕上げるのに相当な時間と集中力が必要だ。
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「時間とられるんですよ、フレンチノットは。だからわざわざ好んでやる人はいないんじゃないかなと。いたら盛り上がれるんですけど。」(ipnotさん)

実際に引くこともできる!?完成した“おみくじ刺繍”は…

そして1週間後、ipnotさんの元を訪れると…“おみくじ刺繍”が完成していた。作品自体は平面なのに絶妙な印影で立体的に見える。さらに…

「実際におみくじが引けるように工夫してみました。」(ipnotさん)
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刺繍をトントンと叩くと、おみくじ刺繍の口からは「大吉」と刺繍された小さな“棒”が出てきた。さらに、遊び心が…もう一度トントンと叩くと…次はなんと『凶』も。
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「どっちが出てくるかは運次第、私も分からないです。楽しんでもらえたら一番ですね。刺繍は難しいもの、近寄りがたいものというイメージから、親近感が湧いてくれたら嬉しいなって思います。」(ipnotさん)

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