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【特集】次世代型の「下宿」学生が格安で高齢者と同居..."適度な距離感"の生活が互いにメリット!

2019年12月11日(水)放送

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「下宿」というと、なんとなく古めかしい雰囲気が頭に浮かぶ人も多いかもしれません。しかし京都府は下宿する側と受け入れる側、双方のメリットを考えた新たな制度を導入しました。どんな下宿なのでしょうか?

66歳女性と91歳母親の2人暮らし…男子大学生に空き部屋を提供

京都府内にある住宅で談笑する3人の男女。よくある一家団らんの風景のように見えますが、この3人は家族ではありません。この家の主である前田三千代さん(66)は3年前に夫を亡くし、認知症を患う母親の保子さん(91)と2人で暮らしていました。
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ところが2019年3月、京都府の“ある事業”をきっかけに、大学生の節田光さん(21)がこの家に下宿することになりました。

「家の契約って2年契約が普通じゃないですか。1年契約のところを探していて、この『ソリデール』プログラムを見つけた。」(立命館大学4年生 節田光さん)

『ソリデール』はフランス語で「連帯」という意味です。京都府が行う「京都ソリデール」は、経済的に厳しい学生達に、高齢者が暮らす家の空き部屋を安い値段で提供し、若者と高齢者の交流を図る事業です。また、府外への転出を防ぎ、転入を促進しようという狙いもあります。
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仕組みはこうです。府からの委託を受けたマッチング事業者が同居を希望する高齢者と学生を募集し、条件の合いそうな人を引き合わせて面談。双方の合意が得られれば同居生活が始まります。京都府によると、3年前にスタートして以降、既に28人の学生が下宿人になりました。

「母が認知症が進んで、私も1人だし、家の横の畑はもうしていないので、ちょっと音がしても見に行くのも怖いしと思って。(節田さんがいると)安心感があります、いてくれはると何かあった時に。」(前田三千代さん)

光熱費とネット代込みで家賃3万円

かつて下宿といえば、部屋は4畳半の一間が基本。これといった設備もなく、質素なものが当たり前でした。ところが今、節田さんが暮らしているのは2部屋合わせて12畳の広々としたスペースです。しかも光熱費とインターネット代込みで月々の支払は3万円ちょうどです。
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「めちゃめちゃ広いですね。戸を開けていたら開放感が凄くて。洗濯物を干すとか色んな使い方ができます。京都だと(家賃は)全部合わせたら5万円~7万円は結構普通だと思うので、それに比べたら半額とかなので、かなり安いかなと思いますね。」(節田光さん)

「さりげない気遣いがありがたい」

以前は食事付きが多かったのですが、現代の下宿にはありません。食事は基本、自分で用意することになっています。前田さんは日中はパートに出ていて、下宿生の節田さんも大学へ。授業の後はアルバイトをしているため、2人が顔を合わせるのはせいぜい週2~3回程度だといいます。

「普通、下宿やとご飯を用意するけど、用意をしないでいいのが凄く楽。メールで遅くなるとか、外食するとか入れてくれはるので。」(前田三千代さん)
「絶対に帰ってこないとあかんみたいな制約が無いのは凄くいいんですけど、前田さんが何気なくカボチャサラダを残してくれていることなどが多くて、さりげない気遣いだと思うんですけど、めっちゃありがたい。」(節田光さん)
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しかし、下宿生の節田さんには大切な仕事があります。インターネットの設定方法や電子機器の操作を教えることです。

【タブレットの操作を教える様子】
(節田さん)「ここを押して、『パスワードを入力してください』という画面が出たら…これでいけたと思います。」
(前田さん)「へぇー凄い。ありがとうございます。」
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前田さんにはもう1つ、下宿を受け入れて良かったことがあるといいます。それは…

「(母の認知症が)だんだん進んできたので。戸をぶつけたり大きい声を出したり、そんな感じでもう抑えられなくなっているので、そんなときに節田さんが来はったら、『あぁ男前』と、ころっと変わる。」(前田三千代さん)
「本当にありがたい話で、これは僕が何をしているとかではなくて。」(節田光さん)
「存在だけで十分です。」(前田三千代さん)

共同生活でトラブルは?

とは言っても、他人同士の共同生活です。トラブルは起きないのか、京都府に聞くと…

「私共もそういった点を危惧しています。それで仕組みとしてマッチング事業者による交流をまず行って頂いて、お互いが納得いただく方同士に同居して頂くシステムを取っています。もしも同居後に色々なイザコザがあった場合でも、マッチング事業者がフォローアップするようなシステムを設けています。」(京都府住宅課 岡田有資課長)

府は、この次世代型の下宿を浸透させることで、高齢者と若い世代の交流をより一層促進させたいと話します。

「高齢者の方のお住まいですと、お子さんが出られていて、普段は話すこともないという生活を送られている高齢者が多数いると聞いていまして、そういった方たちが家族のような若者と同居することによって会話することができる。それで元気になると。」(京都府住宅課 岡田有資課長)

下宿を受け入れている前田さんも…

「京都は特に高齢化しているし、学生さんも多い。この制度が学生さんにとってもいいし、受け入れる高齢者にとっても本当に心がほっとする、温まるようなところが本当にあるので。」(前田三千代さん)

下宿生活も残り少なくなって…

節田さんの下宿生活は2020年3月までの契約のため、一緒に暮らすのもあと数か月です。

「結構一瞬でしたね。」(節田光さん)
「次から次にと新鮮新鮮でここまで来ているので、せっかく1年間いたのにというのはあると思うんですけど、それを想像するのはちょっと…想像したくないのかも。」(前田三千代さん)

今ではめっきり減ってしまった下宿暮らしですが、お互いの生活には干渉せず、適度な距離感で一緒に暮らすスタイルに再び注目が集まっています。

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