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【特集】『道の駅』移転に"43億円"!交通量調査1回だけ...温泉も増設するが周辺にすでに6つ...甘い計画に町民ら困惑

2019年12月09日(月)放送

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兵庫県猪名川町では今ある『道の駅』を移転させる計画が進められているのですが、一部の町民からは「移設にかかる費用が高過ぎる」などと疑問の声が上がっています。

大人気「道の駅いながわ」

兵庫県南東部に位置する猪名川町。人口約3万人の自然豊かな町です。町の北部に位置する「道の駅いながわ」。2000年に作られたこの施設には、町民だけでなく町外からも大勢の人が訪れます。週末になると、開店前にもかかわらず買い物客の列がみられます。お目当ては地元特産の農作物で、直売所にはしいたけや大根など新鮮な野菜を求める人が大勢いました。
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(買い物客)「原木しいたけがおすすめ。原木しいたけと芋。」
(買い物客)「ここは新鮮さが違いますね。」
(買い物客)「地域の新鮮で安くて美味しい野菜が食べられるから、ここに来ています。」

人気があるのは野菜だけではありません。打ちたてのそばを食べられる店もあり、こちらも繁盛しています。

国土交通省が管轄する『道の駅』は、土地や建物の整備は原則地元の自治体が行うことになっているため、「道の駅いながわ」の場合も、施設の土地と建物は猪名川町が保有し、その運営は民間企業が担っています。

43億円かけた道の駅『移転計画』施設面積は5倍…新施設も

ところが、この人気の道の駅を巡って、今、ある計画が進められています。それは『道の駅の移転』です。今の場所から南へわずか2kmしか離れていない、現在は田んぼの広がる場所へと移転させるというのです。移転先の敷地は約3万6000平方メートル。今の道の駅の約5倍の広さになります。町によりますと、新しい施設には野菜の直売店やレストランだけでなく、温泉や子育て支援施設も作る計画で、2023年度の完成を目指すとしています。
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「老朽化が進んでいるということがあり、駐車場の不足の問題や交通渋滞の課題もありました。どうすればより集客があって猪名川町のシンボル的な施設になるのか?というような検討をしていく中で、最終的には移転して、今は無い機能を増やして、より良い道の駅にしていこうと。」(猪名川町まち活性化推進室 坂ノ上哲也室長)
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しかし、新しい道の駅の総事業費は土地の購入費用約5億6000万円を含めて約43億円。町の税収は年間34億円で、それよりも高い費用がかかります。これについて町民は…

「ちょっとびっくりな値段だなとは思いました。」(猪名川町民・30代)
「それだけのお金をかけていいのかというのが、結果がどのように出るかがちょっと不安です。」(猪名川町民・70代)
「今の道の駅で十分ですし、そこをちゃんとすればいい話で、無駄なお金を使って将来に財政負担を持つのには反対ですね。」(猪名川町民・60代)

必要性を裏付ける資料は「黒塗り」 半径10km圏内に既に「温浴施設6つ」

地元で造園業を営む東本享也さん(67)も、町の人口が9年連続で減り続け、今後も税収の減少が見込まれる中、「道の駅が本当に機能を拡大して、それがどのように町の活性化に繋がるのか」と、巨額の費用がかかる移転計画に疑問を抱いています。
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そのため東本さんは“町が移転予定地の購入価格を算出した根拠”などに関する資料の情報公開を求めましたが、渡された文書はほとんどの部分が黒塗りとなっていました。

「知らせるような義務があるはずなのに、責任があるはずなのに、積極的に情報開示をしない。計画の必要性とか、それを裏付ける金額の説明が無い中でずるずると進行している。」(東本享也さん)

また、新たに建設予定の温泉施設についても、移転先の半径約10km圏内に既に6つの温浴施設があるため、これ以上必要無いのではないかと話します。

「隣の町(川西市)にスーパー銭湯が(2019年)8月にオープンして、猪名川町にスーパー銭湯がオープンするというメリット・魅力は何があるんですかと。」(東本享也さん)

「PFI手法による事業」で猪名川町の負担は実質15億円?

猪名川町は新たな道の駅を作るにあたって、民間の事業者が施設を建設した後、所有権を町に移し、その上で施設の運営は民間業者が担う「PFI」と呼ばれる方式を採用しています。

町は整備にかかる費用を20年かけて民間事業者に支払っていきますが、その間も民間事業者から賃料収入などを得られるため、最終的な町の負担は土地代など合わせて15億円だけで済むといいます。

「予算上は差額分だけが町の実質負担になりますので、PFI手法による事業が成り立つのではないか。」(猪名川町まち活性化推進室 坂ノ上哲也室長)

専門家「調査不足」「説明不足」を指摘

これに対して専門家は、PFI事業は行政と地元業者、さらに利用者である地域の住民が協力して初めて成功するもので、住民から反対意見が出るということは、猪名川町の調査と住民への説明が不十分だからではないかと指摘します。

「(住民と自治体の間に)対立構造がもし起きていたとしたら、自治体の調査が甘いんです。自治体の責任は重くて、計画段階でやらないといけないことが沢山あります。入場者数の綿密な調査をしないといけないし、リスクや災害のコストなど全部調査をしないといけない。猪名川町のやるべきことは調査です。調査と裏付けと(業者に対する)綿密な業務要求水準書の作成なんです。全然不十分ですよ。話にならないですよ。」(東洋大学現代社会総合研究所 松尾隆策研究員)

実際、PFI方式を導入している道の駅はありますが、必ずしも上手くいくとは限りません。京都府京丹波町にある「京丹波 味夢の里」は、2018年の来場者数が1000万人を突破する人気を集め、PFI方式で成功しています。一方、奈良市にある「針テラス」では、運営会社が土地の賃料を払えなくなり、裁判にまで至ったという失敗例もあります。

猪名川町は、交通量調査をお客さんが多い1日しか行っておらず、建設する温泉や子育て支援施設が必要とされているのかどうかについての施設利用者へのアンケート調査も不十分だといいます。そもそも町が民間事業者から収入を得るためには、事業者が利益を出し続けることが前提となりますが、計画が本当に上手くいくのか、今後に注目です。

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