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【特集】熱狂の『舞妓パパラッチ』問題...市長も憤り「京都は観光都市ではない!」とホテルお断り宣言..."観光公害"が深刻

2019年12月02日(月)放送

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紅葉シーズンを迎えている秋の京都には、国内からも海外からも大勢の観光客が訪れています。しかし、インバウンドの増加に伴い、京都の観光地では住民の生活環境が悪化する『観光公害』が深刻化しています。

深刻化する京都の「観光公害」 宿泊者数は10年で3.8倍に

5年連続で5000万人以上もの観光客が訪れている京都市。海外からの観光客は増える一方です。

「京都は大好きです。2回目です。」(イスラエルからの観光客)
「神社や寺、美しい庭園を見たいです。」(イスラエルからの観光客)
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外国人の宿泊客数は2016年に初めて300万人を突破。2018年には353万人となり、2009年の93万人と比べると3.8倍に膨らんでいます。ところが…
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「京都は観光都市ではない。観光のために作られた町ではない。市民の皆さんの安心安全と地域文化の継承を重要視しない宿泊施設の参入については“お断りしたい”と宣言いたします。」(京都市 門川大作市長)

京都の門川市長は2019年11月、「観光客向けの新しいホテルはもう建設しない」と宣言しました。京都では外国人観光客の増加に伴って地域の暮らしが脅かされ、観光地としての魅力も損なわれる『観光公害』が深刻化しているのです。

舞妓さんが人気すぎるが故…「舞妓パパラッチ」が深刻

紅葉シーズンを迎えた秋の京都。花街文化の中心地である祇園のメインストリート・花見小路通は世界中から訪れる外国人観光客で連日ごったがえしています。そのお目当ては「舞妓」です。外国人観光客に聞いてみると、「舞妓を見てみたい」「舞妓はミステリアスで美しい」と多くの方が舞妓を一目見ようと京都に。
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一方、カナダからやって来たという女性は自ら舞妓に変身。初めての体験に興奮を隠せません。

「舞妓が好きです。美しい日本文化だし歴史があるから興味があるの。」(カナダからの観光客)

とにかく、外国人観光客は舞妓さんが大好き。しかし、地元の住民たちは伝統に裏打ちされた落ち着いた町の佇まいが崩されていくことに憤りを隠しません。
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「外国人観光客の方は、例えばお茶屋さんでも勝手に入っていくので。“舞妓パパラッチ”という問題もございます。」(祇園町南側地区協議会 太田磯一さん)

観光公害の最たるものが『舞妓パパラッチ』です。

「マイコ!マイコ!マイコ!」(観光客)

ひとたび、町に舞妓たちが姿を見せれば、一気に外国人が押し寄せ、スマホで撮影。車も通る道でもお構いなしに外国人が大移動。辺りはたちまち大混乱です。周りを一切顧みず、走って舞妓を追いかけまわしたり、中にはスマホ片手に自転車で追いかけたりする人も…かなり危険です。
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舞妓がタクシーに乗り込んだ後も、周りを取り囲み、写真を撮り続ける観光客…。舞妓が行く先には必ずと言っていいほどスマホを構えた外国人がいる状態です。近くの飲食店では…

「前がお茶屋さんなので、舞妓たちを撮ろうと思って、カメラを持った外国人が40~50人集まって、たむろされています。」(近くの飲食店の人)

「祇園は観光地でなく商業地」地域住民は憤り…「写真撮影禁止」に

急増する外国人観光客により、地域住民と観光客との間には軋轢が生じ始めています。

「地元の人たちは“観光地ではない商業地や”っていう認識ですので。来て頂くだけで迷惑になる。来て頂くだけでお店の売り上げが下がるのが現状ですね。」(祇園町南側地区協議会 太田磯一さん)

営業に支障をきたす店も出る中、地元の協議会は外国人観光客にマナーの改善を呼びかけてきました。しかし、舞妓の写真を撮らないように呼び掛けても、言うことを聞かない外国人観光客が後を絶たないため、協議会は新たな対策を打ち出しました。

それが立て看板。「私道での撮影は禁止、許可のない撮影は1万円申し受けます」というメッセージが日本語・英語・中国語で書かれています。

「『よその家の中に入る』『道の真ん中で群がって撮影する』『追いかけ回してパパラッチ状態で撮影する』、これ全て迷惑行為なんですけど、必ず『写真撮影』というキーワードが入っているんですね。今回その『写真を撮影する』というキーワードを1回禁止してみようと。」(祇園町南側地区協議会 太田磯一さん)

抑止力に期待して設置されたこの看板ですが、法的な拘束力はなく、実際に1万円を請求することはありません。祇園の風情を守るための苦渋の選択で、外国語を話せる巡視員を配置するなどもしていますが、その効果はあるのでしょうか。取材をしていると…

「私道の上で写真撮影をしています。観光客が写真撮影をしています。」(記者リポート)

写真を撮影している人がいました。外国人観光客らに撮影禁止のことを伝えてみました。

    (記者)「写真撮影は禁止なんです。」
(外国人観光客)「OK、知らなかったわ。」

    (記者)「写真撮影は禁止なんです。」
(外国人観光客)「え?ここが?知らなかった。」
(外国人観光客)「この道はきれいだし、お寺も美しいから、帰国して写真をシェアしたら、みんなもここに来るようになると思って。」

金閣寺周辺の“バスの異常な混雑”に地元住民は…

急増する外国人観光客によって、問題が起きているのは祇園だけではありません。京都市北区にある金閣寺。こちらも観光客から大人気の場所ですが、金閣寺近くの住民たちからは改善されない“バスの異常な混雑”に不満と諦めの声が上がっています。

「帰りのバスがいっぱい過ぎて乗れなくて。けれども次のバスもその次のバスもずっと混んでいて、4本後くらいまで乗れなくて。」(近くの住人)
「(バスの中の)黄色いラインの所にいたらドアが閉まらない。日本人だったら運転手さんが注意するからね、それで分かるんだけれども、外国人の場合は分からないから。」(近くの住人)

京都市バスは、金閣寺前の停留所では、生活系統と観光系統を分けるという取り組みを始めているといいます。

「生活圏と観光地の距離が近すぎる」 観光公害は“成長痛”?

観光公害の専門家である龍谷大学社会学部の非常勤講師・中井治郎さんは、『京都特有の生活圏と観光地の距離の近さが原因の一つ』だと話します。

「観光地と住民の生活圏がもっと離れている観光都市であれば、こういう問題はあまり起きないんですけど。京都の場合は非常に狭い中に“住民の生活圏”と“観光地”が隣接しているというよりは混在しているんですね。住宅地の真ん中に世界遺産がある、というような状況になっていますので。解決という時に、単に場当たり的に一つ一つの問題にどういう工夫をすれば解決するかということも大事ではあるんですけども、やはり町全体として今後京都をどういう町にしていきたいかということを、しっかり合意を形成してからでないと、簡単に何が解決かというのが決められないのではないかと思います。」(龍谷大学・社会学部 中井治郎非常勤講師)

中井さんは、外国人観光客の方々は、初めて京都に来る人が多いため有名観光地に集中してしまうことや、“インスタ映え”を意識する時代であるために「写真を撮る」ことに執着することなども、『観光公害』の理由に挙げました。

どこも経験したことのない課題を抱え“課題先進都市”と言われる京都。観光公害は成熟した観光大国となるためのいわば“成長痛”かもしれませんが、外国人を拒むのではなく、共生していくための知恵が求められています。

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