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【特集】推奨される"免許証返納"の後...孤立する高齢者「自分の親だと思い」外出支援する67歳男性

2019年11月27日(水)放送

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京都府北部に位置する旧・和知町。この地区は過疎化が進み、大きな病院や買い物などは車で30分ほどの隣町に行かなければなりません。住民は高齢化で免許を返納して車を手放す人が増えています。頼みの交通機関もタクシーは撤退、バスの本数は極めて少なく、住民たちは孤立を深めています。これから一体どのようにして暮らしていけばいいのか、課題を取材しました。

駅前のタクシーは廃止、バスは1日4~5本

京都府北部に位置する旧・和知町。人口は約3000人で65歳以上の割合が半分を占めています。町の中心にあるJR和知駅。5年前にタクシー会社が撤退したため、駅前にタクシーの姿はありません。
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「タクシー、以前はあったんですけども、数年前に廃止になりました。(Qそれはどうしてですか?)利用客が少ないということでしょうね。」(駅員)
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タクシーだけではありません。町営のバスが平日と土曜日は7路線運行していますが、本数は1日に4~5本だけと、住民達の移動手段がやや心許ない状況です。
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「車無しではあかん田舎はほんま。人並みの生活しようと思ったら。」(和知地区の住民・81歳)
「(Qスーパーはあるのですか?)あるんはある。綾部と京丹波に。どっちにしたって15km以上走らなあかん。」(和知地区の住民・69歳)

免許証返納後「路線バス利用券」もらうもバスが無い…

91歳で一人暮らしをしている高光朝子さん。1年前に運転免許証を返納してからというもの、不便な日々が続いていると嘆きます。

「返納した人は『路線バス利用券』を頂けるんですよ。これは町から『返納したんやったらバスで使って下さい』と。バスを利用するといっても、和知(にある道の駅)に買い物に行こうと思っても、午後1時にバスが来るんですけど、帰りが午後4時まで無いんですよ。待つのかなわんからバス利用したことないです。」(高光朝子さん)

お年寄りに寄り添う“運転支援”サービス

そんなお年寄り達を救おうと生まれた新しいサービスがあります。高光さんの家に1台の車がやってきました。運転しているのは自身も和知生まれの山口弘さん(67)。山口さんは2019年6月から「NPO法人さわやかライフ」が運営する『地域交通おでかけ号』で高齢者などの外出を支援しています。
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この取り組み、旧・和知町だけの取り組みではなく、「公共交通空白地有償運送」という制度が国の制度としてあります。これはバス・タクシー事業によって生活に必要な移動手段が提供されない場合、自家用車を用いて有償で運送できる制度です。主にNPO法人や自治体などが事業主体になっていて、実施団体は全国に124団体あります。普通は有償で人やモノを運ぶ際は第二種免許が必要となりますが、普通免許のみの方でも講習を受けてドライバー登録を行うことができます。
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この日は高光さんを隣の「綾部市」にある眼科へと送った後、スーパーにも連れていく予定です。山口さんの1日の動きを見させて頂きました。

【車内の様子】
(山口さん)「霧も上がりそうですね。太陽が出てきますとね。」
(高光さん)「お天気になって良いですね。」
(山口さん)「(家の前の)プランターが綺麗に片付けられておりましたね。」
(高光さん)「来年ネギ作ろうかな。ネギ、たまに根が付いたものを頂いた時は植えといてみるんやけど、いっぺん植えたら、サルかなんかが引き抜いてしまってね。そこら辺に葉を散らかしていたしね。」

料金は5kmまでは500円で、それ以降は1kmごとに100円ずつ加算されます。

(山口さん)「はい、お待たせしました。どうぞ。お疲れ様でした。」
(高光さん)「じゃあ、済みましたらお電話入れます。」
(山口さん)「はい。そうして下さい。足元濡れておりますので。また後ほど。失礼いたします。」

山口さん、2つ目の依頼のため、また「和知」まで戻ります。利用者の数は日によって違いますが、今となってはお年寄り達にとって、なくてはならない存在となりました。

車内の会話が「大切なコミュニケーションの時間」

この日の2つ目の依頼は、高齢の夫婦を「和知」から片道50分ほどかかる「福知山市」の市民病院まで送り届けることでした。
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(山口さん)「熱が出たりとかはされない?」
   (夫)「微熱が。」
(山口さん)「微熱が出ますか。」
   (妻)「ほんま普通がありがたいことが十分、分かるな。」

車内で交わされる何気ない会話も、お年寄り達にとっては大切なコミュニケーションの時間となります。

「日頃のお悩み事とかをぼそっと仰る方もいらっしゃいますし、バーと話しかけてこられる方もいらっしゃいますし。普段お一人で暮らしていると“話し相手がテレビ”という方もいらっしゃいますので。生身の人間に話しかける方が会話の満足感があるんでしょうかね。」(山口弘さん)

支援の車で商品を買い溜め…料金はタクシーに比べて3分の1

夫婦を「福知山市」の病院へ送り届けた後とは、眼科へと送った高光さんを迎えに行くため、再び「綾部」へと移動。

(山口さん)「お待たせしました。はい、どうぞ」
(高光さん)「すみません、お願いします。」

高光さんを車に乗せると、眼科からスーパーへ向かいます。高光さんはなかなか来ることができないため、できるだけ沢山の商品を買い溜めすると言います。

「私90歳になるまで車に乗っていたから便利だったけど、今は不自由ですね。でもこうして病院に行った時は寄って頂けるんですよ。」(高光さん)
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結局、この日の走行距離は約20kmになりましたが、かかった料金は1500円。タクシーを使った場合の約3分の1以下です。

運営は火の車でも…「自分の親だと思ってお手伝いさせて頂く」

山口さんは、最近免許証を返納したお年寄りを訪ねては、移動に困っていないか聞いてまわります。

「免許証を返納されたってお聞きしましたので、普段買い物とか病院とか行かれるのにどうしていらっしゃるのかと思いつつも、お出かけの時に運転をして支援をする仕事をね。」(山口さん)
「テレビを見とっても、年寄りがいつまでも(免許証を)持っとると、事故起こした場合には自分一人では済まん。色々不自由はあります。やっぱり元気だったら出かけたいですわ。」(三嶋和雄さん・94歳)

今となっては必要不可欠なサービスですが、運営は火の車だといいます。

「昨今、燃料がじわじわと上がってきていますので、それが一番経営を苦しめる。これだけ朝から晩まで走りますので、メンテナンスに対する費用がかなりかかる。運営自体がボランティア状態で運営しているという、そんな感じですね。」(NPO法人さわやかライフ 山口弘さん)

山口さんももう67歳。バトンを渡せるドライバーが見込めないことも課題です。あと何年できるかはわかりませんが、出来る限り長く走り続けたいと話します。

「気持ちの上でこちらにお住まいの方々、ご高齢者の方はね、自分の親ですわ。そこの子どもさんに代わって、自分の親だと思ってお手伝いさせて頂くという、その気持ちのウエイトは大きいですね。」(山口弘さん)

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