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【特集】隣地に立つ『蔦の壁』20年放置された"足場"の謎...蚊もカメムシも大量発生 危険でも撤去できない『法の壁』に嘆き

2019年11月25日(月)放送

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自宅の“隣の土地”に20年以上放置された工事用の高い“足場”。そこに草が生い茂って蔦の壁となり、住民はカメムシの大量発生などに頭を悩ませています。一体どういうことなのでしょうか?

20年放置される建設作業用の“足場” 草木生い茂り蚊もカメムシも大量発生

奈良県田原本町、鳥がさえずる自然豊かな住宅街です。ところが、この閑静な住宅街の一角に青々とした葉っぱが、天高く、鬱蒼と生い茂った土地がありました。すぐ隣の土地で暮らすAさんに話を聞いてみると…

「なんか色々な分からない虫もいっぱいいますね。蚊はすごく多いです、ぼこぼこになります子ども達も。ちょっと出たり、ちょっとそこの網戸を開けただけでいっぱい入ってくる。」(Aさん)
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庭で洗濯物を干そうものなら、カメムシが大量にへばりつくと言います。カメムシだけではありません…茂みの奥にはスズメ蜂の巣も。
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よく見てみるとこの茂み、工事の際に組まれる『建設用の足場』に蔦が絡まってできているようです。一体、どういうことなのでしょうか?

「(Qいつからこの状態?)たぶん20年くらい前からだと思う。うちが16年半前にここに引っ越してきて、その時に5、6年前からって言われていた。」(Aさん)

足場は約20年前から放置されているため、鉄パイプや部品にはサビが目立ちます。

隣地の足場と自宅屋根の距離は1.5m 隣地には雨水も溜まったまま…

足場と蔦でできた茂みの中を覗いてみると…

「中も地下を何かしようとしていたのか、ちょっと掘った感じで、(そこに)水が溜まっている。」(Aさん)
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ドローンカメラを使って、隣の土地を上空から見てみると、組まれた足場の真ん中には、コンクリートでできた基礎のようなものがあり、中に雨水が溜まっています。
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足場は隣接するAさんの家の壁ギリギリに建てられているため、Aさんの家の屋根との距離はわずか1.5mほどです。また同じく足場に隣接して立つ別の家に住むBさんは…

「足場が塀の間際まで来ているから、2階に入ろうと思ったら簡単に足場を伝って入れるんですよね。現に息子が高校の時、鍵を忘れて足場を伝って入ってましたもん。『あんたどこから入ったん?』って聞いたら、『ここからすぐ入れるで』って。」(隣接する家に住むBさん)

徐々に傾き…こちらへ迫る足場 専門家「倒壊するリスクはかなり高い」

さらに、足場は徐々にAさんの家の方へと倒れてきていると言うのです。

「年々傾いてきているのかなって。こう、境界の壁に当たっている感じで。」(Aさん)

建築の専門家に現場に来て頂き、水平や垂直を図る器具で見てもらうと、傾いているのがよく分かりました。

「1mで4cm(横向きに)傾いていますね。こっち(Aさん宅の)方向にも相当傾いていますよね。Aさん宅の方にもこけようとしている、横方向にもこけようとしているという状態。(足場は)地面にぽんって置いてあるだけですから。遅かれ早かれ、何かのきっかけで崩壊するというか、倒壊するリスクはかなり高いですね。」(こま設計堂 一級建築士・橋本頼幸さん)
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Aさんの2階の窓から隣の土地を見てみると、蔦の絡まった足場が目の前に迫り、圧迫感がありました。明日にも足場が倒れるのではないかと不安な日々を送るAさん。2018年9月、関西を縦断した台風21号の時は気が気ではなかったと話します。

「この鉄パイプが全体に揺れた。風の向きにもよりますけど、高い分、ずっと…回るじゃないけど、ぐわーって感じでしたね。どこかネジが外れたらポーンっていきそうやなと思った。」(Aさん)

16年前は「建設中の家」→家は取り壊されるも「足場は放置」の謎

Aさんがこの土地へ引っ越してきた16年前の写真を見せて頂くと、隣の土地には『建設途中の家』が建っていました。

「こんな感じで家が建っていて。この状態で屋根がうちの方の敷地に入っていた。」(Aさん)
「上の空域自体が出ていて、雨が降った時に雨が全部下へうちの方へ落ちてきたということがこの時期はありましたね。」(Aさんの夫)

その後、建てかけの家は土地の所有者によって取り壊されましたが、どういうわけか、足場はそのまま放置されてしまいました。Aさんがいくら撤去を求めても聞く耳を持たないといいます。

土地所有者『また建築する可能性』『足場撤去は難しい』

一体なぜ、足場を放置したままなのか。取材班が土地の所有者に話を聞いてみると…

『当時(20年ほど前)、暖房やクーラーが無くても快適に過ごせる最新の家の建設を始めたが、途中で建築基準法にひっかかることが分かり、行政から壊せと言われた。』(土地の所有者)

しかし、足場を放置している理由については答えようとしませんでした。土地の所有者は足場を撤去しない理由について、行政には次のように話したといいます。

「『また建築する可能性がありますので、足場だけを残している』と。『近隣の方も困っていますので、どうにかなりませんか?』という話をさせてもらうと、『ちょっと難しいな』という話だったので、なかなかちょっと解消は難しいのかなと考えています。」(田原本町防災課 松井和樹課長)

では、何か打つ手はないのでしょうか?

「『特定空き家(管理されていない空き家)』の法律の方で、何とかならないかなと色々な所で調べたが、“足場”だけなので特定空き家には該当しないと。お願いは出来るかもしれないが、指導は難しいと考えています。」(田原本町防災課 松井和樹課長)

行政「足場は『特定空き家』に該当せず指導難しい」

田原本町は引き続き土地の所有者と話をしていくということですが、Aさんの不安な日々はまだしばらく続きそうです。

「地震や台風も色々大きい時があるから、足場は取って欲しいし、それが無くなるだけで蔦もあそこまで上にもあがらないし。すっきりさせて欲しい。」(Aさん)

近隣トラブルに詳しい神崎法律事務所の神崎哲弁護士は、「土地の工作物責任を問える可能性がある。(工作物=土地に建てた人工物で塀や電柱など)」としています。また今回問題となっている建設作業の“足場”は建設業者の所有である可能性もありますが、その場合でも、「足場は20年以上も放置されていることから、土地所有者の管理物と言えるのではないか。」と管理責任を問える可能性についても指摘しています。

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