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【特集】先生は"地元の主婦"?「プログラミング」必修化に向け...小学校の新たな取り組みに『期待』の声

2019年11月20日(水)放送

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私達の生活のあらゆる場面で活用されている「プログラミング」。例えば「お掃除ロボット」はボタンを押すと部屋中を掃除してくれますが、「壁に当たると方向を変える」などといった“プログラム”が組み込まれています。2020年4月から小学校でこのプログラミングが“必修化”されます。何がどのように教えられるのか、その課題と取り組みを取材しました。

2020年4月から「プログラミング」が小学校で必修に 現場の先生から「不安」の声

2019年9月、大阪・南港のインテックス大阪で行われた「関西STEM(ステム)教育EXPO」。これは「プログラミング教材」の見本市です。

例えば小型ドローンの『TELLO EDU』。縦・横の「移動距離」や「高度」、機体を「回転」させる命令などを入力すると…指示通りにドローンが飛びます。
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ほかにも、玩具メーカー・バンダイが開発した教材『アルゴロイド』。ロボットカーに「攻撃」や「守備」のプログラムを指示して、遊びながらプログラミングの考え方を学べます。

各メーカーがプログラミング教材に力を入れるのは、2020年4月からプログラミングが小学校で必修化されるからです。文部科学省によりますと「論理的思考力を身に付ける」のが目的だといいます。ただし「プログラミング」という教科は無く、算数・理科などの授業中に「プログラミング」を取り入れるとしていて、その取り入れ方は各自治体の判断に委ねられるということです。
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2018年に全国の自治体を対象に文部科学省が“プログラミング教育実施に関して教育委員会などが抱える課題”を聞いたところ、「人材不足」が9割、「情報不足」が8割、「予算不足」が8割、「何をすればいいかわからない」が5割という回答結果となりました。教育現場からは「不安」の声が聞かれています。

「『何したらいいのか分わらない』『そこまでせなあかんの』『英語も入ってきて大変やなあ』と言っている先生は…小学校なんかは大変かなと思います。」(工業高校教員)
「今は世の中に様々なプログラム言語があるので、そういうものに果たして教員が対応できるのかが心配です。」(私立高校教員)

地元の『主婦』や『定年を迎えた人』が先生に! 兵庫県川西市の取り組み

そんな不安を解決できるかもしれない取り組みが兵庫県川西市の公民館で行われていました。NPO法人「コアネット」が開いている「プログラミング講座」です。しかし、ただの講座ではありません。

【コアネットのプログラミング講座の様子】
「授業の流れ、まず何をやるのかを子どもたちに説明します。」(コアネット 木坂由佳里さん)

これは『一般の人が小学校でプログラミングを教えるための講座』なのです。ボランティアで集まった地元の主婦や定年を迎えた人達がこの講座を受講。その後、小学校などで先生となり、今度は児童らにプログラミングを教えるということなのです。コアネットはこうした取り組みを6年前から実施しています。

「地域にたくさん優秀な人材が眠っているんです。そういった方を発掘する。『自分はもっともっと役に立つんだ』という思いを持ってもらいたい。」(コアネット関西本部 木坂一彦代表)
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参加者は教壇に立つまでに4回の講座を受講。川西市の主婦の吉田紗香さんは、子どもの出産前はパソコンを使いプログラムに関する仕事をしていたといいます。

「子どもも手が離れて自分の時間ができて、プログラムもやりたかったので、これをどうやって子どもに教えるなり誰かに教えるのができるのかなと考えていたところで、ちょうどいいタイミングで。」(吉田紗香さん)

同じく川西市に住む主婦の搆口美紀さん。プログラミングはおろかパソコンも不慣れだといいますが、勉強を頑張る小学生を後押ししたいと参加を決めました。

「子育てが終わったら頑張って押してあげたくなるのかな、歳とったからかな。」(搆口美紀さん)

「ロボットに円を描かせる」プログラムを作るには?

1か月かけて4回の講座を受講した吉田さんと搆口さん、川西市立桜が丘小学校の児童相手にいよいよ授業です。授業を進行する「メイン講師」はコアネットに所属する方が務め、吉田さんと搆口さんはまずは「サブ講師」として児童のサポートに回ります。この日の目標はロボットに『円』を描かせること。まずは円を描くためにプログラムをどう作るのか、考え方を説明します。
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「『前進、前進、前進、右に1回曲がる』これを延々と繰り返すと円になるんじゃないかな。」(メイン講師)
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これをプログラムにすると…まずは「スタート」のボタンを置き、「前に進む」ボタンを3つ、「右に曲がる」ボタンを1つ置きます。そして、この一連の動作を「無限に繰り返す」指示を出すボタンで挟みます。命令を実行するとロボットは前に3回、右に1回曲がる動作を繰り返し、最終的に大きな円に近い形を描くのです。

得意な児童と不得意な児童…サブ講師が丁寧にサポート

サブ講師の吉田さん、丁寧に説明して児童に理解を深めてもらいます。

(吉田さん)「前進3回の繰り返しと、右旋回1回の繰り返し。」
  (児童)「前進3回、だからこれ無し?」
(吉田さん)「うん、それはどこに置いてあげよっか。間違えても大丈夫やからどんどんやってみ。」

早い子は、ものの数分で完成させてしまいました。一方、まっすぐ進むことと、円を描くことの関係が、上手く飲み込めない子もいます。サブ講師が丁寧にサポートします。
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(搆口さん)「円は本当は直線でないというのは置いといて、(円の)小さなところを作るの。何回も何回も繰り返して。挑戦してみてくれる?」
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最終的にはほとんどの児童がロボットを円状に動かすことができました。

 (児童)「算数に似ていて難しかったけど、ちゃんと自分が思うように動けた時は達成感があって楽しかったです。」
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「子どもたちの力というか、とてもすごいなと実感しております。地域の方の力を借りながら、本校としてもプログラミング教育を進めていく良いきっかけになるなということを非常に感じております。」(川西市立桜が丘小学校 岩永恒和校長)

児童からも好評だったようで…

  (児童)「ありがとうございました。」
(吉田さん)「ありがとうございました。みんな素敵。早いね、覚えるのが。」
  (児童)「楽しかった。」
(吉田さん)「ほんと!また是非。」

授業を終えた吉田さんと搆口さんにお話を聞きました。

(吉田さん)「ああ、こんなに喜んでくれるんやなと。次へ次へとやりたい気持ちが見えてきて、とっても素敵だなと思いました。」
(搆口さん)「こういう子達が地域に居て、またこの子達に道で会えるかもしれないのねと。なかなか普段接点がないので、逆に私の方がいい機会を持たせてもらったなと。」

“地域の力”の活用が「学校現場の課題を解決する新たな指針になる」と期待

コアネットの取り組みについて川西市の越田謙治郎市長は、「プログラミング教育に限らず、学校現場の課題を解決する新たな指針になるのでは」と期待を寄せています。

「とかく学校現場、行政そのもの全般的にそうかもしれないですけど、民間の方、市民の方に力を借りるというのが非常に苦手な組織でありますので。我々としては、我々が持っていない能力、我々が持っていないノウハウは地域の中にたくさんあると。『ここの部分は俺たちのこの能力、ここに部分は私たちの力を使ってね』という良い循環が作れると思っていますので、今回の取り組みは私たちにとっても大きな方向性を示してもらえたかなと思っています。」(川西市 越田謙治郎市長)
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プログラミングが繋ぐ地域と学校。地域全体で教育を進める取り組みが少しずつ広がりを見せています。

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